THE YELLOW MONKEYが4月27日、東京ドームで『THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024“SHINE ON”』を行った。ライブは、5月29日にリリースされる10枚目のアルバム『Sparkle X』からの先行配信曲「SHINE ON」、「ソナタの暗闇」、メジャーデビュー曲「Romantist Taste」や大ヒット曲「JAM」など全21曲を披露した。そのライブの模様を以下にレポートする。

皆さんと俺たちが最も輝く日でありたい

 2020年11月に行われた東京ドーム公演は、コロナ禍での開催となり、声出し不可、収容人数制限があったため、約1万9千人というドームとしては小規模で行われた。その中で印象的だったのはファンが録音した歌声や歓声を事前に募集し会場で流すという企画「Sing Loud!」を実施。その時にできる最大限のアイデアでステージを作り上げた。それはパンデミックの中で行われたライブとして、一つの希望を作り出したはずだ。

 本公演では、自身過去最多動員数となる約5万人を動員。声出し解禁でステージを届け、THE YELLOW MONKEYが新たなフェーズへと歩みを進めたことを感じさせる公演となった。

 スクリーンに表示された開演を告げるカウントダウンが100秒を切ると、会場から手拍子が巻き起こる。さらに60秒を切るとBGMも大きくなり、カウントが0になると会場は暗転。いよいよ始まるステージにオーディエンスの興奮、エネルギーが伝わってくる。

 ピアノの伴奏をバックに吉井和哉(Vo&Gt)は、「ついにこの日がやってきました。今宵は「SHINE ON」。皆さんと俺たちが最も輝く日でありたいと思います。2020年に声が出せなくなったとき、皆さんからたくさんの声を集めて、この東京ドームで約2万人、小規模で集めてやらせていただきました。その時の声も今夜ここで一緒に復活させたいと思います。今日は遠慮なく大きな声で騒ごうぜ!」と、オーディエンスに呼びかけ、「バラ色の日々」のシンガロングからスタート。2020年の「Sing Loud!」の声と今の声が混ざり合い、バンドとファンの絆を確かめ合うかのような瞬間だった。

吉井和哉(撮影=Masato Yokoyama / Takeshi Yao / Yukitaka Amemiya)

 オープニングからクライマックスのような幕開けに、心が大きく揺さぶられるなか、2曲目に届けられたのはニューアルバムから先行配信された新曲の「SHINE ON」。サビでのクラップの一体感、これまでのTHE YELLOW MONKEYと今のTHE YELLOW MONKEYが見事に融合したサウンドで会場を沸かせた。

 MCで吉井は、「ここまで長かったです。言いたいことはたくさんありますけど、今夜はTHE YELLOW MONKEYのロックンロールをぶちかましたいと思います。代表曲のオンパレードで行きます!」と期待感を感じさせる言葉からデビュー曲「Romantist Taste」、「Tactics」を披露。「Tactics」のイントロでは、吉井が「前回は声が出せなかったから、身体だけでもらったけど、今夜は両方でいただくぜ。声も身体もほしいです」と呼びかけ、グルーヴィな演奏をバックに繰り広げられたオーディエンスとのコール&レスポンスも印象的だった。前回のドーム公演でできなかったことを、一つひとつ埋めていくよう。

 菊地英昭(Gt)による荘厳でダークな雰囲気、終盤で見せたテクニカルなプレイがアクセントになっていた、ギターソロセクションを経て、2000年にリリースされた20枚目のシングル「聖なる海とサンシャイン」へと流れる。ここまでの流れからガラッと空気感を変え、緩急のあるセットリストで魅了していく。

菊地英昭(撮影=Masato Yokoyama / Takeshi Yao / Yukitaka Amemiya)

 情熱的な「BURN」に続いて、オーディエンスがビートに合わせ交互に腕を上げる躍動感のある光景が広がった「ROCK STAR」。キャリアを重ね成熟した心地よいロックサウンドでさらに会場はヒートアップしていく。

 ライブは中盤戦に突入し、さらなる盛り上がりを見せた「SPARK」へ。上がらずにはいられないインパクトのあるイントロのリフ、そして疾走感のある至高の8ビートが身体を自然と揺さぶりかける人気ナンバーだ。吉井はメインステージの下手から伸びた花道を通ってパフォーマンス。途中ステージから降り、オーディエンスと触れ合う場面も。楽曲のスピード感と演出の相乗効果で、会場の一体感はより高まっていく。

廣瀬洋一(撮影=Masato Yokoyama / Takeshi Yao / Yukitaka Amemiya)

 廣瀬洋一(Ba)と菊地英二(Dr)のリズム隊による極上のロックビートに満たされる中、「ソナタの暗闇」を披露。スクリーンには同曲の歌詞が無作為に敷き詰められ、曲の進行に合わせ文字が白く変わっていく演出。視覚と聴覚の両方で楽曲の世界観、メッセージを伝えていた。

菊地英二(撮影=Masato Yokoyama / Takeshi Yao / Yukitaka Amemiya)

すごいアドレナリンが出た

 ここでスクリーンに吉井が喉頭がんと向き合う姿が映し出された。昨年、吉井は早期の喉頭がんだったことを発表。順調に治療が進んでいることが報告されたのも記憶に新しい。VTRでは吉井とメンバーの気持ちが綴られていくなか、オーディエンスも真剣な眼差しでその映像と向き合う。その映像に続いて披露された「人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)」は、このライブの一つのハイライトだったと感じた。歌詞を噛み締めるように情感を込めて歌う吉井の姿。<血が泣いてるんだよ>と繰り返し歌いながら、遠くを見つめるその目は、一度は死を意識した吉井の感情が流れ込んでくるような感覚があった。

 「LOVE LOVE SHOW」パフォーマンス後のMCでは、5月29日にリリースされる前作『9999』から約5年ぶりとなる10枚目のアルバム『Sparkle X』について語った。吉井は、「当たり前のようにロックをやることが、こんなにいろいろと視界が見えづらくなるのかと思いますが、みんな同じように年齢を重ねるし、自分だけとは思わないし、それぞれみんな大変なことがあると思います。そんな状況の中で思い直すことがあって作ったアルバムです。今までのTHE YELLOW MONKEYの旨み成分はちゃんと残しつつ、みんなで楽しんで作ったアルバムです」と期待が高まる言葉。

THE YELLOW MONKEY(撮影=Masato Yokoyama / Takeshi Yao / Yukitaka Amemiya)

 続けて、「アルバム収録曲の歌詞の中に<人生の7割は予告編で 残りの命 数えた時に 本編が始まる>。本当にそう思ってこの曲を作りました。まだお若い方もいると思いますけど、一緒に本編を楽しみたいと思います」と、その歌詞が綴られた「ホテルニュートリノ」を本編ラストに披露。人生何が起きるかわからない。だけど希望を持って生きていく、そんな力強さを感じさせるナンバーで、現在進行形のバンドのアイデンティティを打ち出し、本編は終了した。

 アンコールに応え、再びステージに登場した4人。吉井は「まだここでやったことがない大ヒットナンバーがありましたよ。『東京ブギウギ』を前置きについた曲でございます。やらせてもらってもよろしいでしょうか?」と呼びかけ、「東京ブギウギ」(笠置シヅ子)の弾き語りから、メジャー2ndシングル「アバンギャルドで行こうよ」をパフォーマンス。さらに「ALRIGHT」、「悲しきASIAN BOY」と立て続けに披露し、ボルテージは最高潮まで高まった。

THE YELLOW MONKEY(撮影=Masato Yokoyama / Takeshi Yao / Yukitaka Amemiya)

 吉井は、「本当にどうもありがとう。すごいアドレナリンが出た。満員の東京ドーム、皆さんの大歓声、俺たちの宝物とかそういうレベルじゃなくて、その歓声のためにずっと音楽をやり続けています。願えば叶うと信じて、これからもTHE YELLOW MONKEYと一緒に人生を共にしてください」と告げ、印象的なギターのアルペジオが鳴り響いた。届けられたのは代表曲「JAM」。叙情的な音楽に、この場にいるそれぞれが身を任せ、バンドが放つ熱を全身で受け止めているようだった。

 ライブもこのまま終演を迎えるかと思いきや、再びメンバーがステージに登場! 吉井は「我がTHE YELLOW MONKEYは永久に不滅です!」と叫び、「WELCOME TO MY DOGHOUSE」を歌唱。妖艶さ感じさせるロックナンバーで、オーディエンスを扇情させ、エキサイティングな空間を作り上げ締めくくった。吉井は「(喉が)治ったら2Daysやるぞー!」と強く投げかけ、大歓声のなかライブは大団円を迎えた。【村上順一】

THE YELLOW MONKEY(撮影=Masato Yokoyama / Takeshi Yao / Yukitaka Amemiya)

【セットリスト】

『THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024“SHINE ON”』

4月27日@東京ドーム

1.バラ色の日々
2.SHINE ON
3.Romantist Taste
4.Tactics
5.聖なる海とサンシャイン
6.BURN
7.ROCK STAR
8.楽園
9.SPARK
10.ソナタの暗闇
11.天道虫
12.太陽が燃えている
13.人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)
14.SUCK OF LIFE
15.LOVE LOVE SHOW
16.ホテルニュートリノ
17.アバンギャルドで行こうよ
18.ALRIGHT
19.悲しきASIAN BOY
20.JAM
21.WELCOME TO MY DOGHOUSE

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