世界征服へ向けた第二章、BAND-MAID　新譜に込めた覚悟と宣告

覚悟や宣告を込めたアルバム

――そんな大変な思いをしたアルバムですが、以前から仰っていた“世界征服"『WORLD DOM-INATION』をタイトルに付けたのは、決意を感じました。

彩姫

小鳩ミク　今までが第一章だとすると、これからの一歩ということで、BAND-MAIDの第二章ですというくらいの覚悟や宣告を込めたアルバムになってるっぽ。

――４曲目「DOMINATION」が今作を象徴している楽曲だと思うのですが、これが最初の方に出来た曲？

小鳩ミク　一番最初に出来た曲は「One and only」なんだっぽ。

彩姫　「One and only」あたりからアルバムの大まかなイメージがあったので、「DOMINATION」はそのあとくらいだっけ？

小鳩ミク　どうしようかという話があったときに、世界征服に向けて彩ちゃんが“世界征服”というイメージをもっと強めてもいいんじゃないかと。

――彩姫さんの一言が決定打になったわけですね。彩姫さん、けっこうダメ出しが凄いと聞いています。

彩姫　アドバイスなんです（笑）。

――では今回もアドバイスはたくさん飛び交った？

彩姫　そうですね。デモ段階でのドラムのパターンなど、リズム隊のことについてが多かった気がします。

AKANE　打ち込みで表されたアイディアも、物理的にプレイが不可能なものも、できるだけニュアンスに近づけるということができるようになったんです。自分オリジナルではなく、ちゃんと応えられるフレーズを作ることができるようになったのは大きいと思います。そこは挑戦ができたなと。

――自身がレベルアップしたと感じた？

AKANE　足技を多くしたのはそういう意味もあります。２年前とかだったら絶対できなかったことなので。

――以前ライブを拝見したときは、ハイハットワークも見事だと感じました。

AKANE　ハイハットも足を使いますもんね。漢字一文字で表したら“足”の１年でした（笑）。

小鳩ミク　シンバル類もこの１年で色々変わったっぽ。

AKANE　機材もそうだし、フォームも改善したので成果が徐々に出たなと思います。

――ベースはどうでしたか？

MISA　「DICE」が人生で一番難しい曲でした。初めてそこでつまずきました。ずっとフレーズが動いているので。

KANAMI　彩ちゃんからベースが難しい曲をというオーダーがありまして。ギターで弾くとそんなに難しくないリフなんですけど、ベースで弾くと指を開く必要があったりと大変なんです。そうしたら「難しくて弾けない」と言うので、ヨシ！　と思いました（笑）。

MISA　でも嬉しかったですよ。やりごたえがあって楽しかったです。ドMなんですかね（笑）。

――きっとSとM両方だと思いますけど…。全体的にベースは大変そうです。

MISA　「FATE」も難しかったです。

KANAMI　「FATE」は、私たちがハード路線への転機にもなった「Thrill」でお世話になった阿久津健太郎さんと共作させて頂いた曲なんです。けっこう阿久津さんから求められることが多くて、最初にベースのおおまかなフレーズも一緒に考えていたんですけど、それが既に難しかったんだよね？

MISA　うん。指弾きとスラップの繰り返しなんです。その切り替えが多くて、そんなの初めてでした。最初ピック弾きのイメージみたいだったみたいなのですが、私は指で練習していて。スラップが入るからピック弾きは物理的に無理でした（笑）。

小鳩ミク　でも阿久津さん「ベース大変そうだねえ」って楽しそうに言ってたっぽ（笑）。

――ギターに関してはどうでしたか？　またレベルが上がったなと感じました。

KANAMI　「Spirit!!」はけっこう難しかったです。自分で作ったんですけど（笑）。リズムの縦をきっちり合わせて練習していたんですけど、「流れで弾いた方がいい」というアドバイスをもらいまして。自分の味を出すためにもそう意識しました。もう一回同じことを弾くとなると、出来るかな？　という感じもあるんですけど、それはライブでまたアレンジもしつつと思っているのが「Spirit!!」なんです。

――今回はニュアンスがブルージーになったと感じたのですが、それが影響しているのかもしれませんね。

KANAMI　そうですね。メロディワークもけっこう上手く作ることができたので、お気に入りです。頭に思い浮かんだものがそのまま出来た、という感じで。「Spirit!!」がリード曲でもいいかなと思ったんですけど、“DOMINATION”というテーマがあったので、この曲は惜しくも…。

小鳩ミク　タイトルに含まれている言葉ということもあって、最後にリード曲が「DOMINATION」に決定したっぽ。でも、どの曲がリードになってもおかしくないくらい、いい曲が詰まっているっぽ。今までは「アルバムとしての１曲」というところがあったんですけど、今作はどの曲をとってもメインを張れるという曲がいっぱいあるっぽ。そのへんも今までとは全然違うと思いますっぽ。

――確かにどの曲もリード級です。彩姫さんの歌も新たな次元に突入した感覚があります。特に苦労した曲は？

彩姫　えーと、「I can't live without you.」と「One and only」…。あっ「DOMINATION」と「FATE」と…。

小鳩ミク　いっぱい出てきたっぽ（笑）。

彩姫　あと「Carry on living」「anemone」「DICE」も（笑）。歌い方や歌い回しを変えたりして、今までの作品で、自分の癖がある歌い方を直してもらって録ってもらった部分が多かったです。

――敢えて癖を直してしまう？

MISA

彩姫　直しました。明るい感じに聴かせたりとか、違う言い回しに持っていきたかったということがあったので。もっと違う変化を見せたいなとボーカルテックの方に相談して表現方法を指導してもらいました。特に「I can't live without you.」は最初「余裕だわ」と思ったんですけど、いざ歌ってみたらキーが凄く高いと思って（笑）

小鳩ミク　「この高さは彩ちゃん本当に出るの？」って心配になったっぽ。

彩姫　トップが歌ったことのないキーの高さだったんです。発声としては出る高さだったので大丈夫だと思っていたんですけど、いざ歌ってみたら「めちゃ苦しい」ってなって（笑）。でもこの曲はパートを分けて録らないで、ほぼ一発録りでした。

――勢いや流れ重視のレコーディングだったんですね。キーを下げる案はなかったのでしょうか。

KANAMI　大丈夫かなと思って、半音下げようと思ったんですけど、そうすると曲のイメージが変わってしまったのでそのままになりました。結果大丈夫だというので「凄いな」と。

小鳩ミク　小鳩も凄いなと思ったっぽ。この曲は体力をだいぶ使うということで、レコーディングでも最後にまわしたっぽ。

――「I can't live without you.」はお給仕でも盛り上がるナンバーだと思うのですが、行けそうですか？

彩姫　それまでには普通に歌えるようになるんじゃないですかね？

小鳩ミク　BAND-MAIDは基本的にそうなんですっぽ。レコーディングでまず自分達を鍛えて、最高潮の部分を録って、そこに合わせて練習してお給仕で出すという（笑）

――それはお給仕が楽しみですね。やらなかった場合は色々と察して（笑）。

小鳩ミク　「まだ出来ない段階なんだな」って察してくださいっぽ（笑）。

MISA　ライブではキーが半音下がっているかもしれない（笑）。

――さて、冒頭でも少しお話し頂いていましたが、小鳩さんはほぼ全曲の作詞をしていますが、相当大変だったのではないかなと。

小鳩ミク　ボーナストラックの「ハニー」以外は全部作詞をさせて頂いて、阿久津さんとの共作に関しても、雰囲気だけ相談しながら基本的には私が全て書かせて頂いたっぽ。今までの歌詞の中では「強い女性像」というのを書いてきたんですけど、今回のアルバムはそこはあまり意識しすぎないようにして、世界征服というイメージに合うような、宣告という強いメッセージや覚悟、戦いとか、そういった強いイメージを全曲通して見せられたらいいなと思うっぽ。けっこう自分を追い込みながら書いたっぽ。

――追い込まれて良い詞が出来た感じもありますよね。

小鳩ミク　それが更に今回のイメージに合ったものを生み出したのかなと思うっぽ。追い込まれてなかったら出てこなかったなという言葉も多々あるっぽ。でも凄く楽しみながら全曲書けたということが、自信にも繋がりましたし、もっと色んな曲を書いてみたいという意欲にも繋がりましたっぽ。