自分の中で光を見つける、浅井健一 & TIK 現代で生きる意味とは
INTERVIEW

自分の中で光を見つける、浅井健一 & TIK 現代で生きる意味とは


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年02月09日

読了時間:約16分

自分の中で光を見つけること

――「Ginger Shaker」を11月のライブでも披露されていました。個人的に<強くなくちゃ 生きてゆけぬ>というフレーズが印象的に響いてきまして。今“生きる”ということに対して考えることがあるんです。浅井さんは、生きるということはどういうことだと考えますか?

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS

 動物的に言うと、子孫を残すために生きるじゃん? 一般的な考え方ではそこじゃないかな。 子孫を残して自分の子供を養っていくのが、生き物としては生きる目的だよね。でも、現代社会では結婚しない人もいっぱいおるし、子供がいない人もいっぱいおるじゃん? そういう人も生きていく目的がいるんだよね。

――そうなんです。子孫繁栄が動物としての生きる意味のひとつだとは思うのですが、現代社会ではその根本的なところが薄れてきています。

 それは自分の未来に向かって希望というか、楽しみというか、そういうものを自分で見つけ出さないとね。そういうのがあると生きる力も湧いてくるしさ。まとめて言えば、基本的には子孫を繁栄させるためだけど、そういうケースではない人もいっぱいおるから、そういう人は自分の中で光を見つけることだよね。

――インターネット、SNSの時代の今、情報量が多過ぎて、何をやったらいいのかと思う人が多いと思います。

 メチャクチャ凄いもんな。

――浅井さんも一時期Instagramをやっていたそうですね。

 やってたけど、俺はガラケーなんだよね。あれは一緒に旅をしていた人に頼んでアップしてもらってたの。ハマらないようにしてた。やっぱり自分の時間を奪われるからね。でも、スマホ持ったら電車や移動中にやってしまうよね。電車の中は基本的に暇だし、その時間を利用しない手はない。俺もスマホに替えたら100%やっちゃうと思う。

 楽しいから仕方がないのはわかるんだけど、自分はやってない人間だから周りが目に入るじゃない? 最先端の街の人達がみんな下向いてるのって、あの光景は異様だね。「世の中こうなってきたか」というか。このまま行ったらどうなるんだろうと。

――その感情を曲に落とし込むことはありますか?

 いくらでもあると思うよ。生きていてあらゆることが自分の中に入ってくるじゃん? 歌詞を作るときは自分の心の色んな所から言葉が出てくると思うから、日々目にしている光景や情報がやっぱり歌に影響してる。

――では、「Ginger Shaker」はどういったシチュエーションのときにできた曲でしょうか?

 「Ginger Shaker」は、昔知り合って、しばらく共にすごした恋人のことを思い出して書いた歌だね。その人は俺と別れてから結婚もせずに東京のどこかで暮らしていると聞いたから。どうしているかな…という。そういう思いから。彼女の事が気がかりで、俺もそのときちょっと辛くてさ、でも弱かったらやっていけないじゃん。だから強くなろうと、前向きに生きて行こうと、そういう歌だね。

――思い出を歌詞に出すということはよくあるのでしょうか?

 俺は結構そうだね。そのまま自分が考えていることが歌詞になっちゃうよね。あと、空想的なことも多いよ。1曲にそれが混ざることもあるから、色々なパターンがあるよね。

――“前向き”という言葉が先ほど出ましたが、浅井さんはネガティブな方向にいくことはあるのでしょうか?

 基本ないね。常に明るいから。

――現代は全体的にネガティブな方向に行ってしまってますよね。未だに自殺されてしまう人も多いですし、中にはSNSでわざわざ予告をしてから命を絶つ人もいるようで、異常な事態だと感じるんです。

 そうだね。インターネットの見過ぎは本当に気を付けた方がいいと思う…。永平寺のお坊さんが言っとったらしいんだけど、インターネットは人々の心を暗くしたと話していて。それは、本来その人が知らなくても良かった情報をその人に教えてしまうから。だから全然知らなくても一生を終えていたはずなんだけど、余計な暗くて酷い情報がその人にインプットされてしまう。それが世の中を暗くしてるって。この話は鋭いなと思った。

――まさにその通りですよね。完全に情報過多です。

 部屋にネットが繋がっていれば、ケータイは別にガラケーで俺は十分だけどね。調べる必要があることは家でやればいい。

――常に“オン”の状態でいると何でも情報が入ってきてしまいますものね…。

 新種の伝染病なんだよね。きっとスマホって。

――確かに伝染病ですね。さて、先行配信された「Beautiful Death」という曲がありますが、“美しい死”とは浅井さんはどのようなものだと思いますか。

 「こういう死に方が綺麗」だとか「綺麗に死ぬ」って説明できないけど、真っすぐ生きて綺麗に死ねばいいんだと思うな。愛するものを愛して、たくさん笑ってね。やっぱり人間笑いたいじゃん? 笑うことってみんな好きだし。

――みんなお笑いも好きですしね。

 お笑いもたまに面白いけどさ、最近は微妙かな。たまに笑う人はいるけどね。

――浅井さんのお笑いのハードルが高そうです…。

 自分の“笑いのハードル”は高いよ(笑)。面白かった人でもたまに面白くないときあるし。でも、お笑いの人もネタとか考えるの大変だよね。

――音楽もそうですけど、どの分野も産みの苦しみはありますよね。浅井さんが愛を感じる瞬間は?

 子供に対する愛が一番強いかな。

――恋と愛の違いってなんでしょう?

 言葉での説明は難しいけど、人間って自然に使い分けているよね。みんな感じているのと多分同じ感じ。恋は、好きな異性とかオンリーだけど、愛というのは色んな場面に出てくるじゃん? 愛の方が幅が広いってことかな。

――確かに分け隔てなく色んな場面で愛という言葉は使いますね。

 そこだよ。子供に対しては恋じゃないから愛じゃん? その違いだよね。恋というのは恋愛の対象となる人に対することに限定される。

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