ファゴットの様な人間になりたい、女優・間宮夕貴が語る音楽
INTERVIEW

ファゴットの様な人間になりたい、女優・間宮夕貴が語る音楽


記者:桂 伸也

撮影:

掲載:17年12月06日

読了時間:約14分

 『第26回日本映画プロフェッショナル大賞』(2016年)で「新進女優賞」を受賞するなど役者としての評価を上げている、グラビアアイドルで女優の間宮夕貴(26)が、12月9日公開の映画『ビジランテ』に出演する。普段は大の音楽好きでもあるという間宮。中学校の時は吹奏楽部に所属し、今も趣味で楽器を奏でることもあるとか。今回は合わせて役柄の印象や撮影時の所感などをたずねてみた。【取材=桂 伸也/撮影=大西 基】

入江悠監督オリジナル脚本による最新作

 『ビジランテ』は、『SR サイタマノラッパー』『22年目の告白―私が殺人犯です―』などを手掛けた鬼才・入江悠監督のオリジナル脚本による最新作で、町の自警団団長・市議会議員である印刷会社社長の次男、デリヘル業を営む三男のもとに、行方をくらましていた長男が父親の死をきっかけに現れ、運命に翻弄されていく姿を描く。

 トリプル主演として、長男・一郎を大森南朋、市議会議員で自警団の団長を務める二郎を鈴木浩介、そして風俗店の雇われ店長・三郎を桐谷健太が担当。さらに二郎の妻・美希を篠田麻里子が演じるほか、嶋田久作、吉村界人ら豪華な俳優陣が出そろう。ヒロインを務める間宮は、長男・一郎からDVを被りながらも、付きまとい続ける女性・サオリ役を演じる。

 目をそむけたくなるほどのバイオレンスな暴力シーン、さらにかなりの過酷さが垣間見えるハードなセクシーシーンと、作品からは出演者全員が全身全霊で演じた様子がうかがえる。さらにそうして物語に真摯に向き合った成果が、映画で見られる人間の本質に現れているようでもある。

 間宮は当初グラビアアイドルとしてデビューしながら、徐々に本格的な俳優としての転身を試み、時にはヌードも辞さぬ体当たりの演技で、2016年には『第26回日本映画プロフェッショナル大賞』で「新進女優賞」を受賞するなど高い評価を受け、近年その活躍フィールドを広げつつある。今回は以下の要旨で話を聞いた。

〇楽器に、サントラに…音楽がないと落ち着かない
〇自分にピッタリ、「サオリ」はまさしく「ファゴットのような人間」
〇仕事が一番。入江監督との戦いで得た成長

 インタビューは以下から。

楽器に、サントラに…音楽がないと落ち着かない

――間宮さんと音楽という接点からお話をうかがっていきたいと思います。普段は音楽などはよく聴かれますか?

間宮夕貴(撮影=大西 基)

間宮夕貴(撮影=大西 基)

 そうですね…結構どんなジャンルでも聴きます。最近ハマっているのはTHE ORAL CIGARETTESとか。あとMUCCが好き。すごく声質が似ていて「カッコいいな!」と思っているんです。ずっと今聴いていますね。

――ロックはわりと好きですか?

 そうですね、結構。それとビジュアル系、中でも声が低めなものが好き。でも実は一番好きなジャンルがあって、それは映画なんかのサントラ系なんです。

――なかなか渋いご趣味ですね。

 大好き。もともと中学校の時、吹奏楽部を3年間やっていたこともあって。

――そうでしたか。では楽器もプレーされていたと?

 やっていました。その影響でサウンドトラックって、気になっちゃうんです。映画とか見ていると「あっ、この楽器を使っているんだ!」とか。

――最近のお気に入りのは?

 『コードネーム U.N.C.L.E.』という映画があるんですけど、その映画のサントラが好きで。ヘンリー・カヴィル(俳優=映画『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』でスーパーマンを担当)が出演している映画のものです。

――それは本当にサントラという感じのものですか?オーケストラサウンドなんかの…。

 これはそうではないですね。70年代、60年代っぽい感じの曲で、まあガイ・リッチー監督(『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『スナッチ』などを手掛けた映画監督)作品にある「コジャレているな~音楽まで」みたいな。おしゃれな映画なんです。

――わりと軽快な方が好みでしょうか?

 いや、それだけではないです。オーケストラだと『ハリー・ポッター』シリーズとか、一番好きなのは『ロード・オブ・ザ・リング』。ああいったものを聴いて、スコア(譜面)とかあれば買って、一人でずーっとニヤニヤしながら見たりとか(笑)していますね。

――楽しみ方も渋いですね(笑)。ご自身で歌うということではどうでしょうか? 例えば今作で共演されている桐谷健太さんや、篠田麻里子さんも歌手として歌われた経験がありますが。

 歌うのは苦手です…聴くのは好きなんですけど、自分が歌うのは…カラオケも年一回あるかないかというくらいで、あまり行かない感じですね(笑)。

――でも楽器を演奏されていたということもあり、またやってみたいという気持ちはあるのではないでしょうか? 何をプレーされていたんでしょうか?

 そうですね、マイ楽器を持っているので、なにか機会があれば吹きたいとは思うんですけど。楽器はファゴット(木管楽器)をプレーしていました。なかなか見かけないもので…。

――ファゴット? それはまたレアな楽器ですね。逆に本格的な楽器という感じがあります。それをマイ楽器として所有されているというのは、スゴイですね。

 クラリネットやトランペットだったら使いやすいんですけど、だいぶコアな(笑)。オーケストラや吹奏楽でも、一本あるかないかというくらいの楽器ですし。中学校の時に、買っちゃいました(笑)。

――そうでしたか。ではかなり音楽と深い関係で毎日を生活されていますね。間宮さんにとって、音楽とはどのようなものだという認識を持たれていますでしょうか?

 実は私、台本を読む時も何か音楽をかけて聴きながら台本を覚えた方が早く覚えたりできるんです。だから音楽って、癒やしというか、心を落ち着かせるためのものというか。感情を変えるためのものかな。

 モチベーションを上げる時には、マキシマム ザ ホルモンやTHE ORAL CIGARETTESなどを聴いて、モチベーションをガーッと上げるとか、落ち着きたい時にはクラッシックを聴いてみたり。自分の気持ちを切り替えるためのものかな、と。

――では、今何か音楽が鳴っていないとすごく落ち着かない?

 落ち着かないですね。家に帰ると、まず絶対にテレビをつけて、MVを流しながら何か作業をする、という感じだし。本当に無くてはならないもので、お風呂に入る時も曲を流して、みたいな。本当にないと落ち着かないし、聴くのは大好きなんです。

――そういう意味では、なかなか今回の『ビジランテ』は、音楽という部分ではそれほど派手なところはないですが…。

 そうですね。でも、ちょっと途中でロックな曲も時々入っていて、気になっていますよね。

――ちゃんとチェックしてますね(笑)。

 そう。車の中で女の子が「CDをかけて」というシーンがあったけど、あの曲はカッコいいな、という。本当にサントラが好きなので、気になっちゃうんです。この前好き過ぎてドキュメンタリー映画、『すばらしき映画音楽たち』を見に行っちゃいましたし(笑)。ジョン・ウィリアムスとか、ハンス・ジマーとか、そういう有名な作曲家の人たちのインタビューがある映画がありまして。メチャクチャ面白かったです。今回の『ビジランテ』のサントラがあれば、私は欲しいです(笑)。

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間宮夕貴(撮影=大西 基)
間宮夕貴(撮影=大西 基)
間宮夕貴(撮影=大西 基)

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