桑田佳祐が11日・12日に、東京ドームで全国ツアー『桑田佳祐 LIVE TOUR 2017「がらくた」』の東京公演を開催した。2日間で11万人を動員。同ツアーでは8月にリリースしたソロアルバム『がらくた』を引っ提げ、全国10カ所18公演で40万人の動員が予想される。約30年前のソロデビュー曲「悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)」から『がらくた』収録の最新曲まで桑田のソロの歴史を総括したステージで観客を魅了した。【取材=松尾模糊】

久しぶりの東京ドーム「でっかいね~」

桑田佳祐(撮影=岸田哲平)

 ソロとしての全国ツアーは2012年の『桑田佳祐 LIVE TOUR 2012 I LOVE YOU -now & forever-』以来、5年ぶり。この日は陽も差す行楽日和で、会場には開演の1時間前から大勢の人々が詰めかけ、賑やかな様子からも彼の不動の人気ぶりが窺えた。

 ハット帽にジャケット姿で登場した桑田を大きな歓声と拍手が迎える。桑田は「ういーす!」と挨拶。そして、「8時だよ」と呼び掛け「全員集合!」とコール&レスポンスで冒頭から一体感を演出。そして、「でっかいね~。久しぶりに東京ドームのステージに立たせて頂いています。遠路はるばる来て下さった方もありがとう。61歳になりましたが、この日の為に体調を整えて参りました」と体調も万全であることをアピール。

 ステージ前にライトによる光の柱がそびえ、片山敦夫のピアノ伴奏から「大河の一滴 」を紡ぐ。サビでは青い光がステージを照らし、金原千恵子によるエモーショナルなバイオリンも曲を盛り立てる。コーラスで参加のTIGER(タイガー)との台詞のやり取りで曲の持つ世界観を彩る。また、「簪 / かんざし 」では片山のキーボードの伴奏と西村浩一によるトランペットのソロも哀愁を掻き立てた。

人を虜にする天性の才

ステージの様子(撮影=岸田哲平)

 前半戦を終えたところで、今回の桑田サウンドを支えるバンドメンバーを紹介。「恋人も濡れる街角」ではその一節を<東京は今 どんどん街が変わる オリンピックが始まるんだなぁ>と東京公演ならではのフレーズに変え、<あっという間に変わる街 東京都、東京都!?…京都かいっ!!>とギャグで締める遊び心も見せた。

 桑田が観客に向け「60と言っても、まだまだ若い。みんな楽しんでいきましょうよ! 60過ぎてもまだまだ“ひよっこ”!」と掛け声をかけると、お馴染みのイントロとともに今年放送されたNHK連続テレビ小説『ひよっこ』の主題歌「若い広場」を披露。観客からは合唱も起こり、温かみのある雰囲気が会場を包んだ。

 そして、『がらくた』から情緒あふれるメロディが印象的な「オアシスと果樹園」を桑田が61歳とは思えない伸びと張りのある歌声で歌い上げる。観客もその至上の音楽にただただ聴き入っていた。そして赤いライトがステージを照らし、ムーディーな前奏からオリエンタルなリズムをベースとしたダンスチューン「ヨシ子さん」を披露。体を揺らすグルーヴィな演奏で観客を楽しませる。

 約30年前のソロデビュー曲「悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)」では、前奏が始まったと同時に歓声が上がった。新旧織り交ぜた様々テイストの楽曲を存分に披露し、老若男女すべての観客を虜にする彼の天性の才能は30年間変わらないどころか、ますます進化を遂げていることを痛感させるステージだった。

 桑田は、今年12月30日・31日の神奈川・横浜アリーナでの公演まで全力でツアーを駆け抜ける。

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