舞台挨拶に登壇した、左から石橋杏奈、渡辺大知、松岡茉優、北村匠海、大九明子監督

 歌手で俳優の渡辺大知(27、黒猫チェルシー)と北村匠海(19、DISH//)が30日、東京・六本木で開催中の『第30回東京国際映画祭』内でおこなわれた、コンペティション部門ノミネート作品『勝手にふるえてろ』の舞台挨拶、記者会見に、松岡茉優(22)、石橋杏奈(25)と作品でメガホンをとった大九明子監督とともに登場。松岡演じるこじらせ女子のイメージをきっかけに見えてきた、自身の内面性を明かした。

 映画『勝手にふるえてろ』は19歳で芥川賞を受賞した作家・綿矢りささんの恋愛小説を実写化した映画作品で、突然告白してきた職場の同僚と、中学時代からの、片思いの相手との狭間で悩む女性の恋の行く末を描くストーリー。ヒロイン江藤良香を松岡、職場の同僚“ニ”役を渡辺、中学自体の片思いの相手“イチ”役を渡辺が担当、石橋は良香の友人、月島来留美役を演じる。また渡辺が所属するロックバンド・黒猫チェルシーが、主題歌の「ベイビーユー」を映画に楽曲提供している。

渡辺大知

 渡辺と北村は、それぞれ黒猫チェルシー、DISH//と、バンドに所属するミュージシャンであるという共通の面を持っている。自身の演じた役柄に関して渡辺は「マイペースで暑苦しい感じというか、猪突猛進型な男の役なんですけど、自分が心掛けのは、この人はそういうマイペースで暑苦しくてというところだけを意識するのではなく、そういうキャラにあてはめずにというか、その裏側、心にひそかに思っているところとか、そういうことも考えながら、やりました」と。

 また渡辺は、松岡演じるこじらせ系女子の良香のイメージについて「(大九)監督と初めてお話しした時に、この役は、主人公の良香に似ている部分もあるんだということを、おっしゃってもらったこともあって、原作を読んだ時に自分と遠い存在だと思っていたけど、その言葉をきっかけにより自分の中に近い感覚でやろう、と思えた。そういうことも考えながら演じた」とその性格にかなり共感したという印象をコメント。

北村匠海

 対して北村は「監督からイチは残酷な男だといわれ、僕自身もすごく理解できるキャラクターというか、大地君とは逆に芳香への理解が脚本を見た時に理解できず、逆に残酷だというイチという男が理解できたので、それを100%北村匠海として出し切りました」と、全く正反対の雰囲気を自身の役に感じ、それに強く共感した様子を語る。

 さらに「この映画を見ると、それぞれのキャラがすごく際立って濃いんですけど、それでもリアリティを感じるというのは、普段きっと日常的に僕らが感じているけど、表に出ない感情みたいみたいなものの象徴のような気がしたんです」と作品を俯瞰してみた印象を語りながら「僕が演じたイチという役も、例えば『この会早く終わらねえかな』とか、そういう思ってしまうけど、自分の理性的なもので口に出してはいけない気持ちを表情、声のトーン、目つきだったりで前面に押し出すという役だったので、なんて自分は残酷なんだろうと気づきました」と思わぬ自身の内面に気づく機会を得たというエピソードを語っていた。【取材・撮影=桂 伸也】

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