<記者コラム:オトゴト>
 東京五輪まであと1000日を切りました。それまでに日本の音楽はどうなっていくのでしょうか? 椎名林檎さんがリオ・デ・ジャネイロ五輪の閉会式などで提示した『ネオ渋谷系』的な世界感が優勢になるのでしょうか。それとも、海外のヒットチャートを席巻しているヒップホップ/R&Bが日本でも影響力を持ったり。

 未来の事は全く想像もできません。さて、このところ、私の周りには、昭和のアイドルや歌謡曲に魅了される10代の人が多いです。彼らに理由を尋ねると大体が「メロディが○○」という様な答えです。確かに80年代や90年代のJポップはメロディが綺麗ですよね。

 とすると最近の曲は「メロディが弱い」という事でしょうか。そうとも言えそうなものもなかにはありますが、それよりも「リズムが強い」と言った方が良いのかもしれません。特に海外のヒットチャートを聴くとヒップホップ/R&Bの影響が強いからか、フック(サビ)部分以外はラップである事も多く、Jポップよりももっとメロディの影響力が低くなっている(メロディから解放されている)様にも感じます。

 ラップの場合は『フロウ』というテクニカルタームがあって、個性的なリズムでラップしたり歌うとクールとされます。先日、フジテレビの『めちゃ×2イケてるッ!』で三浦大知さんが岡村隆史さんにダンスを教えながら「カウントじゃなくて歌に合わせる」と話していました。これは「1&2&3&4&」というカウントでなく、もっと細かい歌でリズムをとるという意味。つまりダンス的な『フロウ』の実践なのではないでしょうか。それだけリズムの研究がされているという事です。

 振付が当たり前のアイドルソングはもちろん、Jロックも「ディスコ」という言葉を獲得し、ファンクやダンスミュージック的なリズムも随分定着しました。ただ、若者の80年代音楽への興味の持ち方を見ていると、普段から踊らない我々日本人が段々疲れてきて強メロディ回帰が起きるのでしょうか。東京五輪の頃には、もしかしたらアンチダンスミュージック的なポップスが花開くかもしれません。ただの笑い話的な憶測ですが。【小池直也】

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