DISH//、野音で大雨のコンディションも吹き飛ばす白熱のライブ
日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ『DISH// 日比谷野外大音楽堂公演17’秋『MUSIC BOIN!!』』を開催したDISH//
5人組ダンスロックバンドのDISH//が17日に、東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ『DISH// 日比谷野外大音楽堂公演17’秋『MUSIC BOIN!!』』をおこなった。初披露曲「コトダマ」などを含む全24曲を披露。この日は台風18号の影響に見舞われ大雨と、最悪のコンディションであったにもかかわらず、白熱のライブ演奏とダンスパフォーマンスで熱い夜を演出した。
スタートの盛り上がり
DISH//は北村匠海(Vo、Gt)、矢部昌暉(Cho、Gt)、小林龍二(Rap、Ba)、橘柊生(Fling Dish、Rap、 DJ、Key)、泉大智(Dr)の5人からなる。2011年に事務所タレントで構成されたアーティスト集団EBiDANのメンバーが集結し結成、2013年にメジャーデビューを果たす。音楽活動とともに俳優としても個々で活発に活躍しており、リーダーの北村が、7月に公開された映画『君の膵臓が食べたい』に出演したことでも注目を集めた。またドラマとのタイアップで、近日放送されているドラマ『僕たちがやりました』(フジテレビ)の主題歌を担当、OKAMOTO'Sのオカモトショウが作詞・作曲を担当した楽曲「僕たちがやりました」を歌っていて、ドラマのクライマックスには日比谷野外大音楽堂でのロケが敢行され、DISH//のメンバーも出演したことで話題となった。
レンガ積みの瓦礫、金網、そして立ち入り禁止を示すテープ。荒廃した街角の一角を表したステージセットが見える中、定刻を15分ほど過ぎたころに大きなサイレンが鳴り響く。警備員風のスタイルの者たちが、慌てたような表情であたりを見回す。ステージに流れる映像、そして大きな空砲の音とスモークがもくもくと広がる中、5人は観客の前に現れた。
彼らの姿が見えたと同時に、雨で少し消極的にも見えていた観客席側からは「ワーッ!」と大きな歓声が上がり、大きな手ぶり身振りで彼らの登場を熱狂的に迎えた。この日のステージは、サーフサウンドを彷彿とさせるポップなリズムとは対照的に、力強いサウンドが聴く者の気持ちをがっちりつかんでいく「僕たちがやりました」でスタート。
彼らの目は、ステージを楽しむというより真剣勝負に挑むといった雰囲気。時にキーボードのピットから飛び出し、時におどけながらステージを盛り上げていた橘ですら、そのニヤッとした表情の奥に、時々何か強い覚悟を決めたような面持ちをのぞかせる。台風の影響によるアクシデントに見舞われたステージに対する不安もあったかもしれない、しかし彼らの見せた表情の奥にある信念は揺るがない。「僕たちがやりました」のサビにある<生きろ!>という言葉が、まるでその言葉以上の様々なことを、観客に向けて訴えているようでもあった。
そして観客の歓声も止まらない。リズムに合わせて腕を動かし、DISH//の存在そのものを満喫する人々。そんな観客にとって、この日の雨は障害ではない。むしろ雨に降られたために余計に興奮が増している、そんな様子すら見えた。「FLAME」まで一気に走り抜けた序盤は、ポップでありながら、泉の叩き出すズッシリした思いリズムで、ソリッドなロックの風味もふんだんに見せ、観客はエキサイトする。疾走する8ビートで分厚いサウンドを作り上げた「FLAME」では、「もっと来いよ! てめえら!」「そんなもんか!?」という泉の叫びが、さらに観客のテンションを上げていった。
“コトダマ”を信じて突き進む未来
ここで一度、衣装チェンジ。序盤の統一感のある制服スタイルから、カジュアルなスタイルに着替えて、北村が一言「雨の日にもかかわらず、来てくれてありがとう!」と、この日ステージがおこなえたことへの礼を告げる。台風自体は東京を逸れたが、雨の勢いは増す一方。しかしこの盛り上がりからは、そんな雨ですらDISH//と、そのファンの味方であるかのようにも見えた。そして「HIGH VOLTAGE DANCER」から再びステージはスタートする。北村、矢部、小林それぞれの楽器には、DISH//の“D”の文字がデザインされている。そして3人は演奏しながらもクロスし、揺れ、踊りながら熱いプレーを聴かせる。
さらに「It's alright」「JUMPer」でバンドサウンドを聴かせる一方、泉のドラムソロや橘のDJプレーに矢部のギターや小林のベースが絡むセッションなど、プレーでの見せ場も作りつつ、「KLAP」では5人によるダンスも披露、「ザ・ディッシュ〜止まらない青春 食欲篇〜」では、遂に5人がフロアに駆け出すなど、やりたい放題のステージを展開。ときに橘は「みんなの声、ここまで届けてくれ!」と叫び、観客の興奮は高まるばかりだ。
そして後半、さらに気合いを入れるべく北村は観客と声の掛け合いをおこない、観客との絆を深める。前半に連発したロックなナンバーとは対照的に、「モノクロ」などの静かなバラードでもしっかりと北村の声は観客に届き、それまで大暴れしていた観客はその場に立ち尽くし、そのサウンドに耳を傾けていた。さらに、自分たち自身で作詞/作曲を担当した最初の曲だという「また明日。」や、シングル「僕たちがやりました」のカップリングで、ライブ初披露となる「猫」など味わい深いサウンドをしっとりと披露しながらも、ラストは「東京バイブレーション」を炸裂させ、思い残すことがないように見えるほどに暴れ振りを見せる観客に、DISH//のメンバーは何度も礼を見せ、ステージを去った。
さらに続いたアンコールで、北村は語る。これまで武道館公演などの目標が達成できたことは、言葉に力があること=“コトダマ”によるものであることを。そして「今でもなおその言葉の力、“コトダマ”を信じて、僕たちは毎日、前に進みます」と、この日のライブをおこなえたことの感謝とともに語り、初披露となった曲「コトダマ」を最後の曲として披露し、この日のステージを終えた。
2015年元日に初めて単独で日本武道館のステージに立ち、2017年もワンマンを実施、そして2018年にも同じく日本武道館単独公演実施が決定と、当面その勢いは衰える様子を見せない彼ら。悪天候のライブも十分に熱く盛り上げたDISH//は、これからもステップアップしていくことは想像に難くない。果たしてどこまで先に進んでいくのか、是非注目していきたい。
【取材=桂伸也】
セットリスト
『DISH// 日比谷野外大音楽堂公演17’秋『MUSIC BOIN!!』』
2017年9月17日 @日比谷野外大音楽堂
01. 僕たちがやりました(シングル「僕たちがやりました」収録楽曲)
02. Shall We Dance????
03. FREAK SHOW
04. サイショの恋〜モテたくて〜
05. FLAME
06. HIGH VOLTAGE DANCER
07. It's alright
08. 大智ソロ
09. JUMPer
10. ザ・ディッシュ〜止まらない青春 食欲篇〜
11. KLAP
12. 柊生 DJ&龍二&昌暉
13. 愛の導火線
14. 皿に走れ!!!!
15. Running Road
16. 虹のカケラ
17. モノクロ
18. Loop.
19. また明日。
20. 暮れゆく空の彼方に
21. 猫(シングル「僕たちがやりました」収録楽曲 初披露)
22. New フェイス
23. 東京VIBRATION
24. コトダマ(初披露)