<写真>矢野顕子 レイ・ハラカミとのエレクトロユニットyanokamiとしてリリースした『遠くは近い』から8カ月、ソロとしては2010年の『音楽堂』以来2年半ぶりとなる矢野顕子さんのライブベストアルバムがリリースされる。新作「荒野の呼び声 -東京録音-」は、近年のブルーノートやNHKホールなどで行われたライブの中から選りすぐりの楽曲を収録したライブベスト盤だ。
 矢野さんのライブの素晴らしさを伝える決定版として企画された本作は、2009年・2010年のブルーノート公演、2009年NHKホール(東京)の「さとがえるコンサート」、2010年の鎌倉芸術館よりのベストセレクト11曲に、2012年4月にニューヨークのスタジオで収録された新曲1曲を加えた全12曲入りで、2012年8月8日に発売が決定した。アルバムタイトルは「荒野の呼び声 -東京録音-」、スタジオ録音メインのオリジナルアルバムとは一味違う、矢野さんのライブパフォーマンス、グルーヴ感を堪能できる1枚。
 収録されるライブ録音では、矢野さん自身のアドリブ感あふれるボーカル・ピアノはもちろんのこと、豪華ミュージシャンとの共演も話題。ブルーノート録音ではおなじみの矢野トリオでの演奏、ベース&ボーカルでウィル・リー、ドラムはクリス・パーカー。ウィルはデヴィッド・サンボーン、B.B.キング、スティーリー・ダン等と共演を重ねたベーシスト/シンガーで、今作に収録されるラスカルズのカバー「People Got to Be Free」やキンクスの「You Really Got Me」では力強いボーカルを披露している。
 クリスは伝説のグループ“スタッフ”のメンバーとして活躍、アレサ・フランクリン、ボブ・ディラン、ナタリー・コール、エルヴィス・コステロ等のサポートも務めた。一方、2009年さとがえるコンサートの録音においてはアルバム『akiko』で共演した鬼才マーク・リーボウ(ギター)、ジェニファー・コンドス(ベース)、ジェイ・ベルロウズ(ドラム)による土臭いアメリカン・バンドサウンドによる迫力の演奏が収録されている。このほか、鎌倉芸術館リサイタルにおいて弾き語りで演奏された「椰子の実」など。
 そして、新たに収録される新曲「こんなところにいてはいけない」は、以前に糸井重里氏と共同で作詞されていた楽曲。このたびNYのスタジオでウィルとクリスとのトリオにギターでボブ・マンが参加し新たに録音されたもので、「迷ってるのは止めにして、僕らは旅に出るべきなんだ」という前向きな言葉とリズミカルなサウンドが、まるで震災後の閉塞感に悩む日本人に対する応援歌のように、心に響く一曲だ。
 なお、発売日の8月8日には'80年代のライブ映像を高画質ブルーレイ化して収録した4枚組のボックスが同時発売予定。また、CDに収録されたメンバーとおなじトリオで、今夏ブルーノート公演等も実施される予定されている。

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