3回目となる吉田山田祭りを開催した、吉田山田

 吉田結威(よしだ・ゆい)と山田義孝(やまだ・よしたか)の2人組ユニットの吉田山田が8月26日、東京・上野水上音楽堂で『吉田山田祭り2017』公演をおこなった。同イベントは今年で3回目。彼らは満員となった会場で、既存の曲から11月発売のニューアルバム『変身』に収録予定の新曲まで、全21曲、約2時間40分のステージを披露。MCでは吉田が新譜について「変わる事は怖いことでもありますが、今の吉田山田を詰め込みました」と語り、山田が「(ファンから)いつも力を貰ってばかり。もっと胸を張って生きていける様に頑張りたい」とファンに感謝を届けた。夏祭りらしく、2人が和太鼓を叩く場面も。気温もライブも熱い夜となったこのライブをレポートする。

曲を作っていくことで親孝行したい

吉田山田

 バックバンドが入場すると、彼らによる4つ打ちの演奏からステージがスタートした。ノリの良い演奏を聴かせる『スーパーお祭りバンド』と名付けられた本日のバックバンドはキーボード・BU-NI、ベース・MIYA、エレキギター・草刈浩司、ヴァイオリン・室屋光一郎、ドラムス・髭白健という編成。祭りというだけあって、観客には浴衣姿も目立つ。会場から観客の手拍子が自然発生し、期待が高まっていく。そして、この日の主役である吉田山田が登場すると、大きな歓声が起こった。

 1曲目は「新しい世界へ」。舞台からはキャノンも発射され、開幕が盛大に彩られる。キャノンの発射に驚いた山田が、うろたえた様子を見せるが、観客は暖かい声援でエールを送る。続いて、山田が「最高の夜にしよう!」と叫んで始まったのは「てんててんて」。吉田山田はテンション高めの演奏で快走していく。

 ここで山田が「『吉田山田祭り2017』へみなさんようこそ」と挨拶。続く3曲目は「ガムシャランナー」。吉田のギターカッティングに合わせて、山田が「一緒に歌ってほしい!」と観客席の歌声を促すと、会場中に<走れ走れ>というメロディがこだました。その後も観客は総立ちで盛り上がっていく。バンド陣も顔を見合せて、楽しそうだ。それから吉田山田のステージは、突っ込むリズムが気持ち良い「街」、ギターのリフが印象的だった「押し出せ」へと繋がっていく。

 その後「今日は涼しい日で良かった」と吉田がとぼけると、山田が「痩せ我慢にもほどがある」とお笑い芸人さながらのやりとりで笑いをとる。この日は山田の母の誕生日だそうで、「ハッピーバースデイ」を吉田が即興披露。R&B調に歌い上げた。山田は「親孝行が出来ているかな? 僕の中の8割は母親なので、曲を作っていくことで親孝行したい」と母親への想いを明かした。

 MCを終えると、吉田山田は春の風が吹き抜けるような、爽やかな楽曲「ごめん、やっぱ好きなんだ」を披露。「メリーゴーランド」は吉田のアコースティックギターと山田の歌でしっとり始まった。切ないメロディをもつサビからバンドが合流して、観客の心に訴えかける。赤紫の照明が曲調とマッチしていた。

 さらに歌い上げる曲が続く。吉田山田の優しい歌が会場を包んだ「タイムマシン」、吉田が弾くきれいなアルペジオと虫の音が重なり、自然の演出が印象的だった「キミに会いたいな」、吉田山田とピアノとヴァイオリンの4者によって紡がれた「約束のマーチ」。感情溢れる演奏が展開され、観客はうっとり。

 ここからは11月発売の新作アルバム『変身』からの選曲。吉田は「このタイトルは自分達が変わったと感じたので、それを音にしたいと思ったところから。変わる事は怖いことでもありますが、今の吉田山田を詰め込みました」とタイトルについて語る。

 吉田と山田の声のハーモニーでイントロを飾ったのは「浮遊」。彼らとしては珍しい、トロピカルハウス調のビートに音数少な目なメロディ。まさに「変身」と言うのも頷けた。演奏は徐々に熱を帯びていく。会場の反応も上々の様子だった。同じくポップで爽やかな新曲「もし」でもバックバンドの面々が伸び伸びと演奏。暗転後、緑と青の照明がステージを照らして始まったのは「守り人」。吉田が先行して歌い、山田がメロディを引き継いでいく。夕暮れ時にすっと心に染み入る演奏だった。ピアノの音色も美しかった。

もっと自分の言葉で発信してほしい

吉田山田祭りの会場の様子

 ここから後半戦。演奏のテンションが再度上げられていく。カントリー風の速いリズムで演奏された「未来」では、2コーラス目になると吉田山田は観客席に乱入し、ファンも歓喜した。山田が「まだまだ行けるか!」と煽ってから、「涙流星群」へ繋がる。バンドはロックに盛り上げ、観客は手を振って音に乗っていく。疲れ知らずの山田のハイトーンボイスがサビで冴えた。

 続く「YES!!!」では、会場全員が歌いながらジャンプ。何度も繰り返される最後のサビでは、観客の持つ、うちわの赤と青が揺れて綺麗な光景を生んでいた。吉田山田はエンディングと見せかけて、もう一度サビに戻るお茶目なフェイクを入れて楽しませた。

 セットリスト最後は「魔法のような」。山田が名残惜しそうなファンたちに「最後は一緒に歌いましょう」と呼びかけると、年齢層の幅が広い観客が、手を叩きながら「ラララ」と大合唱。そして演奏がが勢いよくエンディングに飛び込むと、観客から大きな拍手が起きた。その後アンコールが発生。

吉田山田

 ファン達の要望を受け、衣装を着替えた吉田山田が再登場し、演奏続行。アンコールは「RAIN」から始まった。2人の声とギター1本だけで、シックに聴かせていく。また、MCで山田は「毎回皆を驚かせたいとか、力になりたいとか思うけど…いつも力を貰ってばかり。もっと胸を張って生きていける様に頑張ろうと思いました」、吉田「変わらないでやることはもうできる。皆さん、SNSやってますか? 僕らが歌う映像を投稿してくれるのも良いですけど、もっと自分の言葉で発信してほしいと思う」とそれぞれ自分の言葉を伝えた。その後、メロディの隙間に入って歌と絡むヴァイオリンがアクセントになった「日々」を届けた。

 バンドが再合流して、この夜のエンディングに向かっていく。「イッパツ」でファンがタオルを回してから、突然、吉田がステージ中央にある和太鼓で祭風のリズムを叩き始めた。それに合わせてコール&レスポンスを繰り返し、山田「最後の最後の曲だ! 準備はいいか?」と叫んだ。最後の曲は「夏のペダル」。その後バンドメンバーのソロから、吉田山田が二人で太鼓を両面打ちすると、観客の熱気は最高潮へ。そして延々と「わっしょい」というコール&レスポンスが続き、演奏が終わった。

 2時間40分という長い演奏を終えた2人だが、疲れの様子は見せず、会場に何回も深々とお辞儀をして退場していった。彼らの『変身』と、来年の『吉田山田祭り2018』にも期待したい。【取材=小池直也】

セットリスト

『吉田山田祭り2017』
2017年8月26日 上野水上音楽堂

1.新しい世界へ
2.てんてんてんて
3.ガムシャランナー
4.街
5.押し出せ
6.ごめん、やっぱ好きなんだ。
7.メリーゴーランド
8.タイムマシン
9.キミに会いたいな
10.約束のマーチ
11.浮遊
12.もし
13.守人
14.未来
15.涙流星群
16.YES!!!
17.魔法のような

ENCORE

En1.RAIN
En2.日々
En3.イッパツ
En4.夏のペダル

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