sads加入のYUTAROがシーンを斬る、開拓者・清春が与えた影響とは
INTERVIEW

sads加入のYUTAROがシーンを斬る、開拓者・清春が与えた影響とは


記者:木村武雄

撮影:

掲載:17年06月12日

読了時間:約16分

巌流島の戦い

YUTARO

――ロックシーンを斬って頂きましたが、CDという媒体についてはどう思われますか? ゼリ→がデビューした頃はCD売上げがピークの頃でしたよね。今のようなミリオンセールスがまずありえない時代が来ると予想されていましたか?

 斬ってませんけど(笑)CDについてはちょっとは思いましたね。生まれた頃にはレコードがあって、カセットテープやCDが登場して、DVDが出たり。記録媒体は色々と変わっていくんだなとは思いました。CDも形を変えていくのかなという想像はしましたけど、さすがに「配信」とまでは思いませんでした。

 配信になってくると曲ごとに買えてしまうし、全曲買うにしても配信(iTunesなど)で買った方がCDを買うよりも安いじゃないですか。パッケージやブックレットの印刷もかからない分、コストも抑えられるし、何よりその場で買えてしまう。リスナーにとって便利な方が選ばれていきますからね。だから別にCDやミリオンセラーにこだわる必要はないというか、そもそも表現を届けるという部分は変わらないので。しかしずいぶん変わったなと思います。

――そういった流れの中で、ライブについてはどう思われますか?

 ライブは嘘をつけないですからね。今色々話しいて、最近のバンドはきれいにまとめているって言ったじゃないですか? ライブも凄くきれいだと思うんですよね。僕も色々ライブを観ていますけど、みんなだいたい同じ感じの見た目で同じ感じのライブで。お決まりパターンがあって、なんだかミュージカルみたいというか。まあ、ミュージカルは僕好きなんですけどね。でもロックバンドというのは、何が起こるか分からないドキドキしたものがあった方がいいと思うんですよね。アクシデントやイレギュラーが許されないステージより、それらを味方につけてしまうステージ。そんな余白がロックバンドにはあってほしい。

――アンコールをやるやらない、というのが物議にもなりました。

 僕は7月のライブではアンコールでチェーンソーを持って出ていこうと思っているんですよ。それで(ドラムの)シンバルスタンドを切るんですよ。「ウィィン!」って。でもそんなことしたら、GOさん(ドラムス)にボコボコにされちゃうだろうと(笑)。それでも次のライブでも果敢に取り組んで、毎回毎回、GOさんにボコボコにされて、最終日のLIQUIDROOMの時は全身骨折みたいな。

――昨年か一昨年のとき、YUTAROさんは肩を事故で骨折していながらもライブツアーを最後までやり抜いたそうですね。

 いや、痛かったですよ。細い骨だったからそんな腫れはしなかったけど、スラップ(ベース奏法)って意外と肩に振動くるので、やると激痛が走るんですよね。シシド・カフカのサポートでフェスやツアーを回っていた時期だったので、みんなから「大丈夫?」と心配されたけど、折れてないと思っていたので平気な顔を装ってやってました。正直痛かったですけど(笑)。あまりにも痛いので病院に行ったら「肩、骨折してますよ」って。療養の選択肢もあったんですが、やれそうだったのでそのままやってました。

 そういえば、昔もありましたよ。ジャンプの際に勢い良く、ベースのペグが右目の上にあたって。あまりの衝撃に一瞬、意識が飛んで、気づいたら倒れていているという…。それで立ち上がって、演奏を続けたんですけど、目の前に、ドロって流れる汗ではない液体が。そう、血だったんです。僕の前にいた観客は「………」ですよ(笑)それで8針縫って臨んだ次の公演がLIQUIDROOMでした。LIQUIDROOMは“因縁”があるかもしれないですよ。

sexpistolsに認められる!?

――ではLIQUIDROOMは、プロレスでいうところの「巌流島の戦い」(アントニオ猪木対マサ斎藤)になりそうですね。

 その例え意味がわかりません(笑)でもまぁある意味、破天荒って感じですか? そうとらえたらいいんですかね?(笑)そうそう、破天荒といえばこれも昔の話ですが、バンドでイギリスに行った時に現地のライブハウスでライブして、そこにわざわざsexpistolsのGlen Matlock(sexpistolsのオリジナルメンバーでありメインコンポーザー)が来てくれて、それで1曲ピストルズやったんですけど、チューニングをしていたら何故かなかなか合わず…結局ピストルズの曲は弾かずして終わってしまったという(笑)。狂ったまま弾くわけにはいかないじゃないですか?(笑)終わった後、グレンに「お前、俺の前で、俺の曲弾かないのかよ。クレイジーな奴だな。」的な感じで声かけられたんですけど、そのまま弾いていたらもっとクレイジーな音楽になって、喜ぶか怒るかもっと面白いリアクションだったろうと後悔しています(笑)。

 まあとにかく、ライブを観に来てください。“清春”という生きざまもそうですけど、sadsとしてそれぞれの個性に化学反応が起こるステージになるので。

(取材=木村陽仁、村上順一)

公演情報

『try out a new blade』
6月10日(土)10時 チケット一斉発売開始

7月15日(土) Nagoya ReNY limited
Open 17:00/Start 18:00
http://eplus.jp/sads-0715/

7月21日(金) 恵比寿LIQUIDROOM
Open 17:30/Start 18:30
http://eplus.jp/sads/

7月23日(日) 梅田CLUB QUATTRO
Open 17:00/Start 18:00
http://eplus.jp/sads-osaka/

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