音楽グループ・ふぇのたすの元メンバーであるMICOのソロプロジェクト「SHE IS SUMMER」が、6月7日に2nd E.P.『Swimming in the Love E.P.』をリリース。2013年から、ふぇのたすのメンバーとして活動後、2016年4月にSHE IS SUMMERを始動し、1st E.P.『LOVELY FRUSTRATION E.P.』でデビュー。本作『Swimming in the Love E.P.』には、ヤマモトショウ(元ふぇのたす)、小島英也(ORESAMA)、ひろせひろせ(フレンズ)、奥田健介(ノーナ・リーヴス)ら多彩なアーティストが参加。70年代から現在までの様々なポップスのエッセンスが、キュートなボーカルと絶妙にマッチした作品となっている。MICOはタイトルについて、「愛の力によって、“どこでもないところ”でも泳げてしまいそうという意味」と話す。今回は制作においてインスパイアを受けたものや、自身の恋愛観についても話を聞いた。
岡崎京子さんのリアルさに影響受け
――『Swimming in the Love E.P.』は、これからの季節にぴったりの作品ですね。70年代〜80年代のサウンド感も、大人の世代に響く感じがあると思いました。
くすぐられました(笑)? 今回参加してくださったミュージシャンの方たちが、そういう年代の音楽を好きな方が多くて。ちょっと懐かしい感じを、現代的な感覚でやっている感じですね。自分も、そういう音が好きなところがあるので、曲を作ってくださる方を選ぶときに、自然とそういう音楽が好きで得意な方を選んでいたのかもしれないです。
――1曲目の「出会ってから付き合うまでのあの感じ」には、音楽ユニットORESAMAの小島英也さんが編曲で参加していていますね。
ライブで盛り上がれる曲を作りたいという話から始まり、作曲は前作「とびきりのおしゃれして別れ話を」を、作ってくださったagehaspringsの釣俊輔さんにお願いしました。釣さんとは2作目ということもあり、今後の私の成長にフィットして行けるようにと、前作よりも少し大人っぽくすることもテーマにありました。
――小島さんとは、どんな話を?
「こういう場所に合うアレンジにしてほしい」と、映像的なイメージを伝えました。たとえば「鬱屈とした毎日から抜け出して、夜ドライブしに行く感じ」みたいな。
ずっと蛍光灯の下で仕事をしていた後に見る夜景って、目が疲れているから、余計にキラキラして見えて。現実の中にありながら、夢だったかもしれないと思うような、ちょっとしたファンタジー感が浮かぶアレンジにして欲しいと。でも、あくまでも現実で、非現実ではダメだよって。
――曲のタイトルが長くて、それもどこかキャッチーですね。
前作の「とびきりのおしゃれして別れ話を」も長くて、それは私が考えたんですけど、今回は歌詞を共作したヤマモトショウさんが考えてくれました。
――タイトルが長いのは、何か狙いがあるのですか。
2年ほど前に和訳版が出版された、海外の10代の女子向けオンライン・マガジン『ROOKIE』をまとめたものがあるんです。SHE IS SUMMERをやるにあたって、どういう女の子の世界観を表現するのが良いか考えた時に、その本をモチーフにしました。
ひとつ一つのコラムのタイトルやデザインが本当に素敵で、その世界観が、私が発信したいことと近いかもしれないと思って。それでSHE IS SUMMERの曲名も、コラムやブログのタイトルみたいな感じが良いなと思った結果、ちょっと長いものになりました。
――前作は、その『ROOKIE』から影響を受けたということですね。今作では、何か強くインスパイアを受けたものはありましたか?
今回は、「とびきりのおしゃれをして別れ話を」を聞いてくれた方から、「MICOちゃんって、岡崎京子さんが好きなの?」とか、「角田光代さんの『Presents』という短編小説集に入っている『合い鍵』という話を思い出した」と言ってくれた人がいて。それからお二人の作品が気になって、読み始めたら、面白くてどっぷりハマってしまいました。特に岡崎京子さんの作品は、かなり読んで影響されています。
――岡崎京子さんは、80年代サブカルチャーの代表的な漫画家で、MICOさんの世代のものとは少し違うと思いますが、どういうところにハマったのですか?
きれいごとが描かれていないのが、好きです。ちゃんとリアルが、リアルなまま描かれていると言うか。確かに携帯がなかった時代の作品もあるから、待ち合わせで相手が来なくて連絡が取れないといった描写があったりだとか、そういう違いはあれども、そこで描かれている女の子の感情は、当時も今も変わらないと思います。
ただ作品数が限られているので、一気に全部読んでしまうのはもったいなくて、今ちびちび読んでいるところです(笑)。