SHE IS SUMMER「根底にあるシンプルな気持ち」MICOが音楽で表現する核心
INTERVIEW

SHE IS SUMMER「根底にあるシンプルな気持ち」MICOが音楽で表現する核心


記者:榑林史章

撮影:

掲載:19年05月17日

読了時間:約10分

 MICOのソロプロジェクトSHE IS SUMMERが5月15日、3rd E.P.『MIRACLE FOOD』をリリースした。2016年に1st E.P.『LOVELY FRUSTRATION E.P.』でデビューし、ユニクロのWEB CMに出演、女優の浜辺美波が出演する「an」のテレビCMの歌唱を担当するなど多方面で活躍しアーティストからの注目度も高い。今作にはGREAT3の片寄明人、相対性理論の永井聖一、シンガーソングライターの向井太一、台湾のPuzzle ManやSimon、ヤマモトショウ、フレンズのひろせひろせ等のアーティストが参加。「自分にとって意味があると思うものを大切にして制作した」と語る、最先端のポップとレトロ感が融合した今作について話を聞いた。【取材=榑林史章】

泣きながら踊れる曲を

『MIRACLE FOOD』ジャケ写

――まず『MIRACLE FOOD』というタイトルは、どういうイメージで付けたのですか?

 今までは、ラブソングでも少しひねってあったり、見る角度を変えた表現が多かったんですけど、今回はもっと根底にあるシンプルな気持ちを書いた歌詞が多いなと思ったんです。それが、食べることと似ているくらい根本的で健康的なことだと思ったので、『MIRACLE FOOD』と付けました。

――それほど大切なことが、歌詞には詰まっていると。

 例えば「Darling Darling」という曲は、人生でたった1時間のことでも、すごく尊くて意味深いものに感じることがあるなと思って書きました。その1時間は人生の中ではほんの小さな点みたいなものだけど、ずっと記憶に残るし、それまでの人生がその1時間のためにあったんじゃないかと考えるくらい、すごく意味のある1時間なんじゃないかって…。単位にすると1時間だけど、もっとそれ以上に中身が詰まっていて、それを引き延ばして見つめることに意味があると思って書きました。

――そういう時間を大切にしようぜって?

 この曲に関しては、誰か聴く対象を意識して書くことよりも、個人的なことを曲に変換しました。なので、翻訳作業みたいな感じかな。それに音楽というものでしか表現出来ないこともあると思って。たくさんの人が音楽を作っていて、その中で意味があるものは何かって考えると、こういうことに意味がある気がしたんです。

――他の曲も、そういう意識で作詞を?

 「TRAVEL FOR LIFE」は、少しメッセージっぽくなったかもしれないけど、「Darling Darling」や「Highway Records feat.向井太一,Simon」は、時間みたいなものを曲に変換しています。

 その曲が流れている時間が、みんなにとってどういう時間になるか、というようなことを考えて。だから「Highway Records」は、それこそドライブする時に車で聴いて欲しいです。ドライブの時って、何の曲を流すか考えるじゃないですか。その場を彩れるのは音楽だけだから、空間を作れる音ってすごく価値があるなと思うんです。だからメッセージと言うよりも、そういう気持ちで作りました。

――「Darling Darling」は、昨年8月にリリースしたミニアルバム『hair salon』のプロデューサーである片寄明人(GREAT3)さんがプロデュースしていますね。他に相対性理論の永井聖一さん、LITTLE CREATURESの鈴木正人さんが参加していて。“渋谷系”音楽をリアルタイムで経験している人間にとっては、この3人の名前が並んでいるだけで、すごく胸がアツくなりました。

 私もです(笑)。個人的には、相対性理論さんからすごく影響を受けているので、今回のタイミングで永井さんに参加していただけて感激でした。本当に豪華な1曲になりました!

――曲を作るにあたって、何かテーマはあったのですか?

 最初の大きなテーマとしては、“泣きながら踊れる曲”というのがありました。前作の『hair salon』をリリースした時に、片寄さんと制作した「CALL ME IN YOUR SUMMER」という曲に対して、“エモい”という感想をすごく沢山いただいたんです。それで、エモいと言ってくれた人にも、それ以前の私のポップな曲を好きな人にも、どちらの人にも好きになってもらえる曲を作ろう、と。それでポップな印象がありながら、エモーショナルな雰囲気もある曲ができたらいいねと話をして作りました。

――MICOさん的に、“エモい”とはどういう解釈ですか?

 人によっても違うと思うんですけど、感傷的な気持ちになれる感じかなって思います。切なかったり泣きたい気持ちになったり。世代によっては、ノスタルジックな感覚も入るのかなって思いますね。心が揺れる感じと言うか。

――それが、“泣きながら踊れる”ということ?

 それも1つの要素という感じです。私も上手く言葉に出来ないんですけど、以前にお世話になったプロデューサーの加茂啓太郎さんから、「本当に感動するということは、訳も分からず涙が出てしまうことだ」と言われたことがあるんです。その言葉は、今でも私の中でふとした瞬間に甦るんですよね。一昨年に初めてフジロックフェスティバルに行って、音の振動とか周りの空気感だけで、訳も分からず涙が出てしまったんですよ。その時に、「これが、加茂さんが言っていた、本当の感動なんだな」って。

 「CALL ME IN YOUR SUMMER」には、私のお気に入りポイントがあって。ラスサビが終わって最後に一度転調するんです。転調だけでグッとくるというのは、こういうのだなって思いました。

――「Highway Records feat.向井太一,Simon」は、中国語のラップが出てきます。

 この曲は、向井太一さんと台湾のトラックメイカーのPuzzle Manさん、同じく台湾のラッパーのSimonさんが参加してくれています。向井さんとは去年初めて対バンをしたんですけど、同世代のソロアーティストは少なくて、音楽的にも近いところで活動しているから「いつか一緒にできたらいいね」と話をしていたんです。それで向井さんはアジアツアーもやっているから、Puzzle ManさんやSimonさんと面識があって、今回紹介していただきました。

 それと、今作からサブスク(サブスクリプション=定額制)でも配信するので、それも大きな要因でした。と言うのも「CALL ME IN YOUR SUMMER」に対して海外から、特にアジア圏からの反応がすごくあって、SNSのコメント欄が「早くSpotifyで配信してほしい!」の嵐みたいな(笑)。それで、アジア圏の方にもっと身近に私の曲を感じて欲しかったのもありますね。向井さんとの出会いや、サブスクでの配信が始まることなど、いろいろなパズルのピースがハマってこの曲ができました。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事