MICOのソロプロジェクト、SHE IS SUMMERが8月1日、1st MINI ALBUM『hair salon』をリリースした。同プロジェクトは2016年に始動。今どきのリアルな女の子の気持ちを歌った歌詞と、東京を象徴するようなポップサウンドが高感度の音楽リスナーの共感を得て注目を集め、昨年リリースした1st ALBUM『WATER』はiTunesエレクトロチャートで1位を獲得した。MICOは、ユニクロの2018SS「ブラトップ」のWEB CMに出演するほか、デンマークのスポーツブランド“hummel”のアンバサダーに就任するなど幅広く活躍。新作は、都会的な洗練されたサウンドと女の子独特のウェット感、そして刹那主義的な感性があいまって生まれた、真夏の蜃気楼のような作品になった。今作で「ネクストステップを踏むという気持ちがありました」と語るMICOに、制作の過程や彼女自身の人生観など話を聞いた。【取材=榑林史章】
ちょっと出た言葉がしっくりきてタイトルに
――『hair salon』は、90年代っぽさや都会っぽさがあるサウンドで、夏にジリジリとした暑さを感じながら街を歩いているときに似合うような感じだなと思いました。今回は、GREAT3の片寄明人さんがプロデュースで参加していますね。
昨年リリースしたアルバム『WATER』で、SHE IS SUMMERの音楽をひとつ作り上げることができたという実感があって、今作はネクストステップを踏みたいという気持ちがありました。そのネクストステップをどうするか、という段階で片寄さんと出会いご一緒させていただくことになりました。
――タイトルは『hair salon』ですが、どうしてこういうタイトルに?
このタイトルは、初めて語感で付けたので、最初は特に意味がなくて。でも、あとからどんどんこの『hair salon』というタイトルが、しっくりくる理由みたいなものが、私の中に沸き上がってきて。
今回は、音を気持ちよく受け取って欲しいなと思って制作した楽曲も詰め込んでいて。ライブのときにみんなで一緒に揺れられる、音が気持ちいいなと感じられる曲を作りたいなと思ったんです。そのためにはどうすればいいかなって考えた時に、音から想像できる色だったり、言葉の語感からにじみ出る雰囲気とかが、あいまった時に感じてもらえるのかなって。それでタイトルも、語感で選びたいなと思ってこのタイトルを付けました。
――でも『hair salon』というタイトルから、おしゃれで東京的なイメージが沸きますよね。
いろんなイメージを皆さんに持っていただけるのが楽しいです。最初は「『hair salon』的なタイトルがいいね」って、会話の中でちょっと出た言葉だったんですよ。そういう方向性と言うか、言葉の硬さとか柔らかさの種類を示すものとして出てきた言葉で。本当にイメージとしての言葉に過ぎなかったんですけど、それがあまりにしっくりきてしまって。他にもう何も出てきませんでした(笑)。それくらい、しっくりきていてお気に入りのタイトルです。
――付けたのは最後に?
途中です。3曲くらい作っているときですね。「未知を探す」を作ったときは、もう『hair salon』というタイトルが出ていて。それで歌詞に、<君の髪の毛が伸びたことに気づく>というフレーズを入れたんです。で、そのあとに「CALL ME IN YOUR SUMMER」を作って、最後に「会いに行かなくちゃ」を作りました。
――まず1曲目の「CALL ME IN YOUR SUMMER」は、片寄さんと河原太朗さんのソロプロジェクトTENDREの共作となっていますね。
作曲はTENDRE、そこにプロデュースで片寄さんが参加してくれました。モチーフ作りから3人で作った作品です。おふたりがボーカルディレクションもして下さったんですけど、その場で見本を歌って聴かせてくれて。それが本当に素晴らしい歌声で、その歌声がコーラスで入っています。みんなと一緒に作るという、音楽の現場ならではの楽しさも感じる制作現場でした。
――今までもいろいろなアーティストが参加して作られていましたが、それとも違っていたんですか?
今回はボーカルディレクションがやはり違いましたね。今まで1曲ずつ楽曲提供をしてくれたアーティストの方と一緒に歌録りをしたことはあったのですが、今回はアルバムを通して片寄さんに参加いただきました。これまではボーカルのOKテイクを自分で選んでいたんですけど、今回はそれを片寄さんにお任せしていて。こういう声の表情のテイクを使うと、全体がこういう雰囲気になるんだな〜と、新しい発見だらけでした。
――メロディは、決まったラインはあることはあるでしょうが、あまりそこにこだわっていない歌い方と言うか。
曲を作るときのテーマの一つとして、聴き入るというよりは、みんなと気持ちよく体を揺らして、同じ感情が生まれるような曲を作りたいというのがあって。それが、反映されているメロディなんじゃないかなと思います。
聴いた人が、うだるように蒸し暑くてジトッとしてるけど、気持ちいいような、そういう気持ちになってもらえたらいいなと思ったところから作り始めた曲です。夏だけど、爽やかではなくジトッとした夏にしようって。実はSHE IS SUMMERで、タイトルにSUMMERが入っている曲は初めてなんです!