20年続けて来られた事は誇りで誉れ、Dragon Ash 新作は初心感覚
INTERVIEW

20年続けて来られた事は誇りで誉れ、Dragon Ash 新作は初心感覚


記者:榑林史章

撮影:

掲載:17年06月06日

読了時間:約14分

「よくぞ20年やらせてくれているな」という感覚

HIROKI

――そして、ラストの「A Hundred Emotions」。これは、すべてをやさしく包み込むような感じで、まさしくラストに相応しい曲だと思いました。

Kj これは、アルバムのラストに入れると決めて、作りました。最初と最後は決めておいて作ることが多いんです。

――力強さと優しさの両方が感じられる、Dragon Ashの良いところが全部詰まっていて、実にDragon Ashらしい曲ですね。

HIROKI おっしゃる通りで、メロウだけどアッパーで。壮大でもあるし、僕もDragon Ashらしいなと思いました。

Kj この間ライブでやったんですけど、俺もDragonだなって、すごく感じました。アレンジも全部含めて、まさにDragon Ashだなって。

――20年のキャリアの中で、どの時期にこの曲があってもおかしくない感じと言うか。

Kj うん。分かります。アルバムのラストの曲と言うのは、アルバムを作っていく短い期間の物語を締めくくるために作っている感覚があって。映画のエンドロールも含めてみたいな。アルバムの轍(わだち)を全部通って来たからこそ出来る、みたいなこともあるかもしれないです。

 でも基本的には、全曲そうですけど、なぜそのときこういう曲を作ったかという、理由みたいなものはありません。最初からこういう曲を作ろうと思って作ることもあるけど、それ以上に、やっている間に流れで思いつく方が、クリエイティブの現場においては多いと思います。ストリングスを入れたのも、作っている途中で「合うかも」と、思いついただけだし。

――『Dragonash Live Tour 2017 MAJESTIC』もありますが。

Kj 取材期間中は、ずっと「ツアーはどうですか?」と聞かれ続けていて。でも、まだ1回もリハに入ってなかったから、「アルバムが出来て一週間くらいで、ツアーについてなんてまだ答えられないです」と、ずっと答えていたんです。でもこの間、2日間だけリハをすることが出来て、すごくスイッチが入って。早くツアーに出たいなって気分が、メンバー一同すごく高まってます。

――では最後に、20周年というところで、Kjさんにとっては、どんな20年でしたか?

Kj 簡単に形容出来るものではないので、ここで総括は出来ないですけど。たとえば良い曲を作るとか、良いライブをするとか、ヒット曲を出すとかは、何かの拍子に手に入るものだと思っていて。長くやっていれば、1曲くらいは名曲が書けたりするだろうし、何かの拍子に瞬間的に手に入るものだと思います。

 でも20年バンドをやることって、365日バンドマンでいることを20回繰り返さなきゃいけないから、自分で言うのはおかしいけど、ハンパじゃないことなんです。ましてや我々は、一度も休止していない。だからこそ20年続けて来られたことは、何よりも誇りだし、誉れだと思っています。

――ファンに対しては?

 20周年という部分では、自分たちが頑張った、とかいうことよりも、20年も板(ステージ)の上に立つことを許してもらってきたことへの、感謝の念のほうが7人とも強いと思いますね。「みんな、よくぞ20年やらせてくれているな」という感覚です。

 プロミュージシャンって、文字通りプロだから、技術も表現力もすべてにおいてプロだけど、まずは人に受け入れてもらわないと始まらない。人に喜んでもらって、そこで初めて報われる職業だから。ライブに来てくれたりCDを買ってくれたりする人が、こんなにも長くいてくれることが、何よりもありがたいという気持ちが一番ですね。

――ミュージシャンの方はみなさん言いますが、あまり区切りの感覚はないと。

Kj それは、俺も同じです。前人未踏の領域に達していれば、それはまた別だと思いますよ。たとえばムッシュかまやつさんが、78歳で亡くなるまで死ぬまで現役でいたのは、どういう気持ちだったのかな、とか。俺らのライブも、普通に見に来てくれていたし、大先輩ではあるけど、上も下もないただのバンドマンとして接してくれていた。あの感覚はどういうものだったのかなって、聞いておけば良かったなと、今さらながら思っています。

(取材=榑林史章)

 ◆Dragon Ashとは Kj(Vo、Gt)、IKUZONE(Ba)、桜井誠(Dr)の3人で、ミニアルバム『The Day dragged on』でメジャーデビュー。後にBOTS(DJ)、HIROKI(Gt)、ATSUSHI(Dance)、DRI-V(Dance)が加入し、7人編成になるも、2012年にオリジナルメンバーのIKUZONEが急逝。現在は、RIZEのKenKen(Ba)がライブサポートメンバーとして加わり、『MAJESTIC』のレコーディングにも全面参加した。

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