見た物を自分らしく曲に、NakamuraEmi 自問自答を続けた1カ月
INTERVIEW

見た物を自分らしく曲に、NakamuraEmi 自問自答を続けた1カ月


記者:村上順一

撮影:NakamuraEmi

掲載:17年05月25日

読了時間:約16分

NakamuraEmi

中学生で叩かれて心を変えるきっかけに

――歌詞にあるような<天狗になってない?>というところはご自身にはありましたか?

 天狗にならないようにという事は凄く考えています。小学生の頃は凄く自己中で“お姫様感覚”で生きていました。

――意外な事実ですね。

 超性格が悪かったんです。とにかく酷くて、中学生になって仲間はずれにされてから「私ってヤバいんだ」と気付いて。そういった奢りとか「自分が、自分が」という事を考えるようになり過ぎて。だから元々そういう部分があり、中学生で叩かれて心を変えるきっかけになりました。

――そういう経験も大切ですよね。そういう時期があって今があるという部分もあると思います。<おいおい子どもがお前を見てるぞ>という歌詞も印象的です。

 自分が幼稚園の先生をやっていた頃の思いもありますし、これくらいはっきり言う、えぐいアニメでもあるなと思っていました。「大人としてそれでいいの? 子どもが見ているよ?」と思う事はいっぱいあります。例えばスーパーで店員さんに向かってそんな口調で喋っていたら、子どもが真似をするようになるということを凄く考える事があります。この歌詞だけは絶対に変えたくないという部分でした。

――結果的に歌詞を変えた部分は<Don't Judge me!><天狗になってない?>というところのみ?

 結局、大きく歌詞は変わったところはないんです。<Don't Judge me!>が「勝手に判断しないでよ」で、その後は同じような事を言っているならば凄くやりやすい曲だったんですけど、「勝手に判断しないでよ」に対して<天狗になってない?>と言う難しさがあって、そこの部分がなかなか決まらなかったんです。色んな所を変えてはみたんですけど、結局、問題はそこでした。

――<Don't Judge me!>のセクションはBメロとのことですが、サビにあたるくらいのインパクトがあります。Aメロ、サビ、大サビという風にも感じるんです。

 最初はここをサビという感覚で作っていました。そう察してもらえると嬉しいです。私はあまりAメロ、Bメロという風に考えないので、よくバンドが「Bメロから」と言っても「どこ?」ってなっちゃうんです(笑)。

 この部分は後からBメロっぽく構築したので、私も最初は「サビ、大サビ」と考えていました。Aメロ、Bメロ、サビという風なものは聴き手の自由で良いと思っていて、そんなの決まるものではないとも思っています。だからそうやって自由に感じてもらえるのは嬉しいです。

――「Aメロ、Bメロ、サビ」は日本だけのような感じもします。HIP HOPはサビもないですし。EmiさんはHIP HOPが好きということもあり、そういう流れもあるのでしょうかね。

 そうですね。HIP HOPに出会ってから「Aメロ、Bメロ、サビ」というのを考えなくなりました。それまではメチャクチャ考えていましたけど。「「Aメロ、Bメロ、サビ、ブリッジがあって……」という感じに。

――ギターソロの時に合いの手というか「オイ、オイ」と入っていますが、あれはどういったニュアンスでしょうか?

 ギターソロを弾いている人に対しても「おいおい、それでいいの?」と突っ込んでいくイメージだったり、「天狗になってない?」という言葉をフックとしてもっと残したかったというのがあります。ギターソロに対しても「ソロとか弾いちゃっているけど、天狗になってんじゃないの?」みたいな感じもあって(笑)。合いの手はギターソロと一緒に録りました。何パターンか録ったんですけど、その中からあれが選ばれました。遊びの部分です。

これからライブで構築されていく「Don’t」

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――現時点(5月11日)ではまだMVは上がってないのですが、どのような仕上がりになっていますか?

 今回<子どもがお前を見てるぞ>という言葉がフックになっているので、お子様にたくさん出演して頂いてます。今までは私がメインでというMVはあまりないんですけど、今回は自分がカメラの目の前ではっきり歌っているという場面がけっこうあります。そういうのは今回が初めてなので凄く緊張しました。後は、私が歌っている姿を子ども達がずっと見ているという場面があって、子ども達も大変だったなと思います。

――子どもたちの年齢はいくつくらいですか?

 幼稚園児から中学生まで幅広いですね。凄く頑張ってくれました。子どもたちがいてこその良いMVになるなと。子どもたちが集中力を切らさないように映像チームのスタッフさんが「これやったら、白いテープあげるから!」と言って、無事やり終えると「ちょうだい!」と言ってただの白いガムテープをもらいに行くんです(笑)。「次のやったら青のテープあげるよ……」と繋げて、最終的にはピンクのテープだったり。そういう風にスタッフさんが凄く上手く子どもたちを盛り上げてくれる場面があって「プロだな」と思いました。

――テープで喜んでくれるんですね。

 そうなんです。ただのガムテープなんですけど盛り上がって頑張ってくれるんですよ。さすがに中学生の子はもらいにいってはいなかったけど、小学生は大喜びでテープ集めてました(笑)。凄く純粋な子どもたちでした。

――最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

 これからも自分が経験したり、自分が見たものをそのまま自分らしく曲にしていくので、それがみなさんの生活だったり、落ち込んだり頑張ろうと思った所に、どこかリンクする言葉があれば私が音楽をやっている意味があると一番思います。私はいっぱい経験を重ねて曲を書いていくので、それがみなさんに届けられるように頑張ります。

 ライブが私にとって一番大事で、特に「Don’t」という曲はこれからライブで構築されていくので、もしかしたらCDとは変わっていくのが最終形になるかもしれません。お客様と一緒にライブをやって曲が変わっていくので、みなさんと一緒に「Don’t」を作っていきたいと思います。

(取材=村上順一/撮影=冨田味我)

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