言葉はいらなかった、アルスマグナ 幸子の愛に包まれた和サンバ
INTERVIEW

言葉はいらなかった、アルスマグナ 幸子の愛に包まれた和サンバ


記者:村上順一

撮影:

掲載:16年07月11日

読了時間:約15分

「らぶマタドール」は不安を抱えながらのニュアンスで歌っている

泉奏

泉奏

――カップリングの「らぶマタドール」も、カッコ良いアルスマグナらしいアッパーチューンですね。聴いた時に、特にサビなんですけど、アキラさんの歌い方が変わったなと思ったんです。何か意識的に変えた部分はありますか。

神生アキラ この曲はいわゆるスペインのフラメンコサウンドが大元にあって、曲自体もカッコよくて繊細な音に仕上がっていると思うんです。曲のテーマ的にも一人の男性が女性を勝ち取るための様を、闘牛士に見立てているんです。<多少の不安はあるけれども 敵無しでいきたい>という歌詞を読んで、最初に感じたのは強い男だったんですよ。その感じた思いがサビに出ていると思うんです。ただAメロ、Bメロに関しては“独り言”みたいな感覚と言いますか、不安を抱えながらのニュアンスで歌っているんですよ。強い男という虚勢を張っている感じですね。

――サビとそれ以外のパートで表現方法を変えてるんですね。

神生アキラ 最初は全部強めのニュアンス、サビと同じような感じで歌っていたんですよ。色々聴いてみて、「そっちじゃないかも」と思い始めたんですよね。全部を強く歌ってしまうと、想いが強くなりすぎてしまって、最初の2行を聴いただけで疲れてしまうと思ったんですよね。強がった上での紳士っぷりみたいなのは、テーマでありました。

――表現方法に試行錯誤した感じが受け取れますが、レコーディングは何テイクも録り直しましたか。

神生アキラ いや、これは割と早かったですね。歌い方が決まってからはスムーズでしたね。

――「マシュマロ」はまるっと録り直したりしてましたよね。その時の経験が生きた部分もきっとありますよね。

神生アキラ 「マシュマロ」は全員が答えを見出せずに、レコーディングに臨んだ部分もありましたからね。

――「らぶマタドール」は振り付けはどんな感じなのでしょうか。

神生アキラ レコーディングを終えたばかりで、まだ振り付けはないんですよね。どんな感じになるのか僕も楽しみですね。

――通常盤には「サンバDEわっしょい!feat.九瓏幸子」のアルスロイド(ボーカロイド)バージョンが収録されていますよね。幸子さんもボーカロイドで、ボーカロイド同士でのコラボは珍しいですよね。

神生アキラ そうですね。これはなかなか出来ないんじゃないですかね(笑)。

――アルスロイドは昨年に発売されていますが、声の収録は大変だったのではないですか。

神生アキラ 収録は大変でしたね。

――一言ずつ収録していくんですよね。けっこう時間も掛かったんじゃないですか。

神生アキラ 他のアーティストさんもそれぞれだと思うんですけど、僕はあまり休憩を入れたくない人なんですよ。1時間録ったから30分休憩とか。休憩をちょこちょこ入れてしまうと、7時間から8時間ぐらい掛かるらしいんですよね。でも、僕はそれが嫌だったので一気に録ったんですけど、3時間30分ぐらいで録り終えたんですよ。

――それは早いですね。それにしてもクオリティが凄く高くて驚きました。

神生アキラ その辺はケント先生が凄く詳しんですけど、ボーカロイドの調律師と呼ばれる方達のやり方次第で、生声っぽく作ることも出来るし、敢えてボーカロイドっぽく作ることも出来るみたいで、作り手の色がスゴく出るみたいなんですよね。

――ボーカロイドのご自分の声を客観的に聴くと、どういった印象がありますか。

神生アキラ 本当に客観的にしか聴けないんですよね(笑)。自分のキーの範囲内だと俺らしいなと思えるんですけど、自分が出せない音域までボーカロイドで歌わせると、自分がこのキーまで出せたら、こういう声に近づくんだろうなというシミュレーションが出来ますよね。

――これは面白い感覚ですね。

神生アキラ そうですね。誰しもが出来る感覚ではないと思いますしね。

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