Perfumeが世界で評価される理由がこの作品から垣間見える

Perfumeが世界で評価される理由がこの作品から垣間見える

 昨年10月に劇場公開された、Perfume(パフューム)初のドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』が映像作品化され、7月6日に、DVDとBlu-rayでリリースされる。2014年から15年におこなわれたワールドツアーの裏側を完全密着した内容で、昨年は第28回東京国際映画祭パノラマ部門にも選出された。米ミュージシャンから「芸術」と讃えられる彼女たちのステージはどのように作られていくのか。

世界各国で愛される存在に

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 昨年、結成15周年、メジャーデビュー10周年を迎えたPerfume。仏エレクトロデュオのDaft Punkによって世界に広められた“エフェクティブヴォイス”を駆使し、更に、CAPSULEの中田ヤスタカが作り出すポップでダンサブルな楽曲に合わせてハイヒールで踊る姿が特長的だ。足の負担を顧みず美しさを追求したダンスはPerfumeらしさを一層、際立たせている。

 テクノポップとは、海外ではKraftwerk、国内ではYMOやTM NETWORK、電気グルーヴ、TOWA TEI(テイ・トウワ)などのアーティストがシーンを作ってきたジャンルの一つ。シンセサイザーを使用し、様々な音を組み合わせたカラフルなサウンドという印象を持つ。日本にも海外に通用するアーティストが多数存在する稀有なジャンルだ。Perfumeもその海外に通用するアーティストの一組に挙げられるだろう。

 なぜ海外進出を決めたのか。その動機には、2011年に、映画『カーズ2』のワールドプレミアに参加したことがあげられる。『カーズ2』に「ポリリズム」が挿入歌として使われ、その縁があってワールドプレミアに参加。そこでのファンとの交流が彼女たちをワールドツアーへ導くことになった。そこから3年、念願の米ツアーにのっちは「アメリカはラスボス」と米公演に対する特別な思いを語っている。

最新のテクノロジー

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 Perfumeは2012年に、初のワールドツアーを実施。これまでに3度のワールドツアーをおこなってきた。プロジェクションマッピングを使用するなど最新テクノロジーを駆使したステージも注目されている。その彼女たちが日本国内に留まらず、世界各国でも愛されているのはなぜだろうか。その理由は本作品からのぞくことができる。

 Perfumeの魅力の一つに、最新のテクノロジーを駆使したステージも忘れてはいけない。プロジェクションマッピングと呼ばれる、CGを建物や空間に映し出す技術を積極的に取り入れ、ライブを“異世界”に導いていく。

 ただ、最新技術はトラブル発生も起こりうる。オープニングでのLED故障にはハッとさせられるが、ハプニングを乗り越える彼女たちの力も垣間見えた。数々のステージをこなしてきたキャリアが逆境をはね返していく力となる。

開催地ごとにセットリスト

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 人々を魅了するステージはどのようにして、作られていくのか。裏方の仕事にも注目したい。Perfumeの完成度の高いステージが作り上げられる要因の一つに、長年、スタッフが変わっていないことが挙げられるだろう。メジャーの世界では、スタッフが変わることは多々ある。それが単純に新しい要素をもたらすことに繋がることもあるが、また一からのスタートとなり、安定性に欠けることもある。表に立つ3人が最高のパフォーマンスが出来る理由も、その長年のスタッフとの絆が重要なファクターになっている。

 常にファンのことを考えたセットリスト、そこには感謝の気持ちが全面にあふれていた。その国の趣に合わせて組み替えていく。あくなき葛藤から導き出した答えが、海外のオーディエンスにも伝わり、そこには壁がないことを実感させた。「Perfumeのおかげで人生が変わった」と涙ぐみながら語るファンの姿もあった。

 スタッフとセットリストの構成やパフォーマンスの魅せ方を、ファン目線になって試行錯誤を繰り返す。こうした姿は、何気なく観ていたライブへの印象が変わる瞬間でもある。

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