「今日はみんなカッコよかったよ!」観客と共に、「カッコよさ」を見せた内田

 ステージ中盤には「みんなで盛り上がれる、おなじみの曲」コーナーとして、2ndアルバム『Blooming!』のオープニングナンバー「Blooming!」と1stアルバム『アップルミント』の「Growing Going」を披露。これまで披露されていた内田のキュートな雰囲気がそこに漂うことでホッとするようなひと時が生まれるとともに、この日披露された『Bitter Kiss』のコンセプトによる世界観が、対照的なイメージとともにそのコントラストをはっきりと映し出していた。

内田彩

内田彩

 そしてステージは終盤へ。ダークで荒々しい雰囲気を持った「キリステロ」で、観衆はタオルを振り回し、サビでは大きな声を張り上げ、ライブの空気をさらに重厚なものにしていく。スタートから11曲、打ち鳴らされるビートは途中で緩められることなく、内田のメロディをますます瑞々しいものにしていく。いや、それは内田の声が瑞々しかったからこそ、ステージから発せられる音に緊張感が生まれたのだろうか?何か新しい魅力を見せる内田の声を中心に、ステージから注ぎ込まれるサウンドがラストの「絶望アンバランス」まで観衆をひと時もじっとさせてはくれなかった。

 アンコールは「ドーナツ」に続き、いよいよ最後の曲へ。「最後はもっと盛り上がって、熱いライブで閉めたいと思います!」観衆に語り掛ける内田、そしてそれに応える観客。曲は本編でも大きな盛り上がりを見せた「キリステロ」。少しショッキングにも見えるタイトルだが、内田の呼びかけに応え、さらに鋭く大きな声を上げる観衆の姿で、そんなネガティブなイメージすら払しょくされ、この曲が前向きなものとしているようにも見えた。このステージではいつもと違う表情を見せると宣言していた内田だが、最後に見せた彼女の表情はいつものライブで見られた、明るくはじけるような笑顔だった。「ありがとうございました!今日はみんなカッコよかったよ!」プレイの終わりとともに、内田はそのメッセージを観衆に送りステージを去った。

『Sweet Tears』無機質さを新鮮さに変える伸びやかな歌

内田彩

内田彩

 『Sweet Tears』では、内田は『Bitter Kiss』よりも高く積まれた櫓の上に立ち、皆の前に現れた。「Floating Heart」でスタートしたこのセット、エレクトリック・ポップの明るいハーモニーが、観衆の振る白いサイリウムの上を舞う。内田の白いドレスに合わせたその白い波のような光景には、まさしくそのタイトル通り心がフワフワと浮いてくるようだ。「みなさん、Sweet Tearsのステージにようこそ!思い切り楽しんでね!」内田の声に、さらに気持ちが高揚していく。そして観衆の掛け声に合わせて、内田は階段を一つ一つ降り始めた。

 2曲目の「color station」では、中間部にまるでPerfumeを思わせるようなスタイリッシュなダンスを披露。内田の新たな一面を見せたひと時だ。カラフルに変化する背景の色の前で、白に包まれた内田の姿がしっかりとした存在を見せている。さらに重々しいダンスリズムの初披露曲「リードを外して」と、また変わった内田の一面を表していく。見せ方によっては無機質なエレクトリック・ポップのサウンドだが、内田の伸びやかな声とそのあふれんばかりの笑顔が「無機質」とは違う新鮮さを表し、聴くものに新たな印象を見せる。ステージには内田一人だったが、それが不自然にならないくらいに内田の存在感がステージを満たしていった。

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