トークに舌を巻き、思わず「年下の先輩」

 続いてのお題は「カラオケで一発目に歌う曲」。鬼龍院は、新入社員で会社の初めての飲み会のカラオケに行った場合、というシチュエーションで、大事MANブラザーズバンドの「それが大事」を、「若い子が知らない懐メロは、上の世代と若い世代の会話が生まれる利点がある」という理由でチョイス。

 対するマキタは氣志團「one night carnival」を、「これはある程度みな知っているから、上司も振付できるし、コミュニケーションが生まれる」という鬼龍院と対照的な理由で推薦。今回も両者一歩もひかずの引き分けで終わったが、音楽の「売り方」「受容のされ方」に鋭い慧眼をもっている鬼龍院のトークに舌を巻き、思わず「年下の先輩」と敬意を込めて呼んでしまうマキタであった。

 鬼龍院のコーナーが終わり、ふたたびマキタの歌唱コーナーが始まる。Fly or Dieの「矛と盾」に収録されている、大森靖子作詞の「あいしてみやがれ」アコースティック・バージョンを披露。いつものバンドバージョンとも異なり、ミドルテンポで、歌詞の内容がきちんと浮かびあがる秀逸なアレンジが光る。

 そして、CDが売れまくっていた90年代の思い出の名曲を織り交ぜながら、世の中の流れとハマっていなかった若きマキタの思いと心象風景を描いた「1995 J-POP」で本編終了。

 アンコールは、マキタと、鬼龍院翔がふたたび登場。「音楽じゃんけん」で取り上げた沢田研二「カサブランカ・ダンディー」をデュオでカバー。事前のリハーサルも十分にできないまま臨んだというこの共演だったが、ブルージーなマキタの歌声と、鬼龍院の艶のあるセクシーな歌声が絡み合い、印象的なコラボとなった。

 アンコール2曲目は、マキタのソロで「俺はわるくない」。マキタのシリアスでダイレクトな歌詞がこのエンターテインメント性たっぷりの2時間半のステージを締めくくった。

 世間と折り合いがつかないまま、引きこもりの生活を送っていた90年代。その時代への、マキタ自身の切なさ思いが、笑いの絶えないステージの中で、通奏低音のように響き続けていた今回のLIVE@マキタスポーツであった。次回のLIVEは7月23日に同じく東京・青山CAYで開催予定。

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