THE ORAL CIGARETTES「仲間とともに一緒に駆け上がっていきたい」

THE ORAL CIGARETTES(撮影・Viola Kam/鈴木公平)

THE ORAL CIGARETTES(撮影・Viola Kam/鈴木公平)

 そして、THE BAWDIESの熱いロックショウをTHE ORAL CIGARETTESが引き継ぐ。会場が暗転しシリアスなSEが流れると、ブルーのライトからストロボにライティングが変化するとTHE ORAL CIGARETTESのメンバーが登場。大歓声が巻き起こった。

 山中が「初っ端から“キラーチューン祭り”やっていいですか?新木場帰ってきたよ!!」とおなじみの“4本打ち”を経てオープニングナンバーは「起死回生STORY」で幕を開けた。オーディエンスに「怪我すんなよ!」と山中。オープニングからクラウドサーフも起きるほどの盛り上がりを見せた。そして、立て続けに「A-E-U-I」、「Mr. ファントム」とノンストップで突き進む。オーディエンスのコーラスに「めちゃくちゃ気持ちいいわ」とご満悦な様子を見せる山中。「廻る廻る、新木場STUDIO COASTのフロア」と告げ「STARGET」を披露。サークルピットがフロアに出来上がり、テンションはさらに上がっていく。まさに“キラーチューン祭り”というセットリストで展開していった。

 あきらかにあきら(Ba. / Cho)の激しいステージング、鈴木重伸(Gt.)のスリリングなギターフレーズ、中西雅哉(Dr.)のタイトでパワフルなドラミングに会場の温度はどんどん上昇していく。「オーラルワッショイ!BAWDIESワッショイ!唇ツーマンワッショイ!」とオーディエンスとコールアンドレスポンスもし、「モンスターエフェクト」へ突入。ギターソロではフロアがヘドバンで埋め尽くされる。「32歳童顔」に入ったかと思いきや曲の途中で中断。「疲れた〜お前らが思ってるより“キラーチューン祭り”しんどいんやからな」と山中。

 ここでちょっと休憩のMC。3月2日に山中が誕生日を迎え、たくさんのメッセージをもらったことを報告。それをこの日にお祝い返しをしようと3月20日が誕生日の人をフロアから探し、その中から選ばれた1名をお祝いし「32歳童顔」をしめた。その後「もしもあなたが愛した人が自分のことを忘れてしまったら、そういうことを思って書いた曲です」と「通り過ぎた季節の空で」を披露。切ないメロディで、さっきまでとはまた違った空間を作り出す。オーディエンスも両手を伸ばしステージのメンバーに想いを届ける。

そして、MCでは山中の女性に対する腹筋の好みを切実と語る場面も。腹筋はちょっとお肉が付いていて柔らかいのが好きだと語った。逆にドラムの中西は「バッチリ8パックぐらいが」と筋肉好きをアピール。そして「楽しいだけで十分ですか?楽しいだけの時代なんてもう終わりです」と感情をぶつけたナンバー「嫌い」へ突入。めまぐるしく変化しプログレ要素もある曲で畳み掛けた。

「ほないこか」の山中のコールから「mist...」へ。所狭しと暴れまわる山中とあきら。オーディエンスの大合唱に山中が「泣きそう」と感極まる場面も。そして、「ツアーファイナルだから特別なことをしたい」と語り、新曲を初披露。「カンタンナコト」「狂乱 Hey Kids!!」で切り開いた今THE ORAL CIGARETTESらしさを更に昇華させた様なナンバーでオーディエンスを楽しませた。自分たちのフィルターを通して色んな音楽を好きになってもらいたいと語っていたように、意欲的で挑戦的な楽曲は新たなバンドの方向性を示した。

山中は「喉のポリープ摘出の手術をして初めてのツアーでした。ちゃんと無事に10カ所回って新木場STUDIO COASTに戻ってきました。本当に歌わせてくれてありがとう」とファンに感謝を述べ、沢山の仲間に助けられて、ここに立てているということを伝えたかったと語る山中。そんな沢山の仲間とともに一緒に掛け上がっていきたいと確固たる決意を語った。「今いる仲間を大切にしろ。それが今回のツアーで一番伝えたかったことです」と本編ラスト「狂乱 Hey Kids!!」を全身全霊で演奏しステージを去った。

アンコールでは訪れたファンに「息大丈夫、酸素ある?」と気遣う山中。ファン同士で体調が悪くなった人をお互いに助ける姿を見て「ありがとう」と感謝。そして、バンド初のメドレーを披露。山中が優しい眼差しでファンを見つめる姿が印象に残る。ラストは喉の不調によりライブを中断せざるを得なかった昨年7月14日のZepp Diver City Tokyoがあったから書けた曲「Everything」を演奏し、大盛況の中、ツーマンツアーの幕を閉じた。

山中の喉のポリープ手術を終え、ツアーを完遂したTHE ORAL CIGARETTESからは、新曲からも読み取れるように、新たなステージに向かおうとしている姿勢が伺えた。バンドの今後の動向に期待が高まる。4月からは唇ワンマンツアー、地元奈良では初となるホールワンマンライブも行われる。

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