メロディの音使い

撮影・Daisuke Sakai

撮影・Daisuke Sakai

 「渋谷ァッ!」バンド一元気な表情を見せる砂川が観衆をあおると「まだまだ行けるかな!?」と武井が続き、更なる熱気を生み出していく。この日、先に登場したTRICERATOPSが発生させた空気感の影響かもしれない、しかしその熱気は確実に、彼らのパフォーマンスによって観衆から引き出された。

 武井が歌うメロディラインには、一見、何か強く印象を生み出す意図を含んだ小細工は見られない。しかしその言葉の響きやリズムは、印象的なフレーズを頭に残し次々と聴くものを引きつけていく。牧歌的にも感じられるそのメロディの音使い。日本語の詞もあれど、極端な話、彼らの歌には、その言葉は何であろうとかまわないのではないだろうか? そう思わせるほどに、印象的な韻を踏んだメロディがベースになり、更に多彩なハーモニーによってその個性を鮮やかに輝かせる。彼らならではのキャラクターに優位性を持たせた、独特な雰囲気を持ったステージを演出している。

 「Crazy Crazy Love」をプレーしたあたりから、早めのカントリー風リズム、8ビートと、その調子を曲や展開ごとに変えながらも、とにかく攻めるようにアクティブなナンバーを繰り出してきた。

 さらにポリリズム的なサビを盛り込んだ「MUSIC」のように高度な仕掛けをふっと盛り込んだり、時に八木はギターからキーボードへコンバートしたりするなど、一筋縄ではないそのサウンドの広がり。ほとんどの観衆はそのリズムに乗りながら、ずっと自分の利き腕をステージ側に伸ばし、その指の先が示すものに集中していた。

狂喜

撮影・Daisuke Sakai

撮影・Daisuke Sakai

 そしてタカハシがメインボーカルを務める「For You」より、ステージはクライマックスへ。疾走するビートが突然ディスコのリズムへ移る、その落差にやられてしまう「エンドルフィン」、そして観衆みんなが狂喜するようにジャンプを繰り返していた「Firework」、そしてラストには、タイトルどおりサビの「Yeah!」という言葉で、フロアとステージが一体になる「Oh Yeah!!!!!!!」と、白熱した空気の中で、エンディングは訪れた。

 さらにアンコールに応じて登場した彼らは、初披露の新曲「Dream Beach Sunset」をプレー。サンバ風のリズムに乗せた、これまでの彼らのサウンドにはない新鮮な雰囲気の楽曲。

 そしてラストは「ダイナソー」。ドンドンと響くバスドラのビートが、まさしく「恐竜」を思わせる。それは単なる情景ではなく、明日への一歩を踏み出す前向きな気持ちを表している様でもあった。ステージの最初から最後まで、一時も観衆をじっとはさせなかった、この日のCzecho No Republicのステージ。アンコールで見せた新曲での新しい表情など、彼らには更なる進化が予想される。次はどんな進化を見せてくれるだろうか? 更なる活躍に、大いに期待してみたい。(取材・桂 伸也)

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