「音楽をもっと育てて届けていく」

渡辺美里とゴスペラーズ

渡辺美里とゴスペラーズ

 89年にリリースされた「ムーンライトダンス」を演奏。そして、メンバー紹介を経て「昨年、種を植えていった点が線に繋がって、いっぱい花を咲かせればいいな」とアルバムの中から「点と線」を披露。楽曲の雰囲気に合わせるようにスクリーンの映像がモノクロームに変わった。軽快なパーカッションに艶やかなブラスの音色がが乗る。

 続いて16ビートのギターカッティングが心地よいアッパーチューン「虹をみたかい」でパワフルな歌声を聴かせる渡辺美里。オーディエンスも手を振り上げ「オーオー」とテンションは上がっていった。立て続けに「今夜がチャンス」へ。ビートの効いたロックンロールナンバーで存在感のある歌声、更にマイクスタンドを巧みに使いステージングでも魅せていく。音源も良いが、ライブだと更にドライブ感が増していた。

 ドラムのパワフルなリズムから「涙を信じない女」へ。渡辺美里もマラカスを持ってリズミカルに決める。高音パートもファルセットでセクシーに聴かせた。そして、初めてオリコン1位を獲得した曲「My Revolution」を披露。何百回も歌ってきたことであろうこの代表曲をファンに手を振りながら笑顔で歌い上げた。30年を語るのに欠かせない楽曲がエンディングを迎えると大歓声が起こった。それに応えるかのように深くお辞儀をする渡辺美里。

 「去年は舞台を務めることが念頭にあったから自分自身のことは後回しにしてきた。2016年はもっと自分自身の時間を大事にしながらも、音楽を育てていって届けていくそんな1年にしたい」と今年の決意を語った。

 盛大な拍手が鳴り響く中、ピアノのフレーズに導かれ本編ラストの「オーディナリー・ライフ」を披露。ステージ後方からゴスペラーズが登場し、厚みのある濃厚で美しいコーラスを聴かせてた。そのコーラスをバックに渡辺美里も横浜アリーナの隅々に届けるようにしっとりと歌い上げ、大きな拍手の中ステージをから去った。

 アンコールを求める手拍子とウエーブが巻き起こると、再び渡辺美里がステージに。「今日ここに集まってくれた皆様の為に、私の全身の思いをこの曲に託します」と告げ始まったのは「すき」。歴代のライブシーンがスクリーンに映され、熱を帯びた歌声で心を込めて歌い上げた。

ハンガーを改修工事前に返しに来れて良かった

多くの観客で埋め尽くされた横浜アリーナ。星空のようなカーテンがステージを包み込む演出も

多くの観客で埋め尽くされた横浜アリーナ。星空のようなカーテンがステージを包み込む演出も

 「サンキュー!横浜アリーナ!」とシャウト。ここで渡辺美里が「ず〜っとうちに気になるものがあったんです。横浜アリーナの楽屋のハンガー...衣装を何かのイベントで掛けてあったのをスッと持って帰ってきて、ウチのじゃないなあコレと思ったらハンガーに横浜アリーナって書いてあった」と告げると会場から笑い声が。「度胸がなくてそれだけの為に来れなかったけど、改修工事前に返しに来れて良かったです」と話すと会場から拍手が起こった。

 和やかな雰囲気になったところで「ここから」。ゲストを全員ステージに呼び戻し、スペシャルな歌を聴かせた。WEAVER、Carvan、ゴスペラーズとコーラスを回していく。

 「このパワーがあれば2016年突き進んでいけますね」と語り、ラストナンバー「Lovin'you」を披露。渡辺美里の30年の思いをすべて注ぎ込んだといっても過言ではない、21年振りとなった横浜アリーナ公演の幕を閉じた。

 このステージを体感して音楽の原点はやはりライブだと再認識が出来た公演であった。31年目のスタートとなった渡辺美里。このライブで巻いた新しい種がこの先どのように育つのか非常に楽しみだ。このアリーナ公演の模様は4月にWOWWOWで放送予定となっている。(取材・村上順一)

セットリスト

▽第一部
01.10years
02.サマータイムブルース
03.恋したっていいじゃない
04.センチメンタルカンガルー
05.鼓動
06.夢ってどんな色してるの?
07.いつかきっと
08.Glory
09.ムーンライトダンス
10.点と線
11.虹をみたかい
12.今夜がチャンス
13.涙を信じない女
14.My Revolution
15.オーディナリー・ライフ

▽第二部
16.すき
17.ジャングル チャイルド
18.恋するパンクス
19.JUNP
20.ここから
21.Lovin'you

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