渡辺美里21年ぶり横アリ、多彩なゲストと届けた30年分の思い

　【ライブレポート】デビュー30周年を迎えた歌手の渡辺美里が９日、横浜アリーナで『30th Anniversary 渡辺美里オーディナリー・ライフ祭り』を行った。横浜アリーナでのオリジナルライブは21年ぶり。ヒット曲「10years」「My Revolution」など全21曲を熱唱。昨年発売のアルバム『オーディナリー・ライフ』にも参加したゴスペラーズやWEAVER、Caravanたちもゲストで登場し、“オーディナリー・ライフ祭り”に花を添えた。美里は「今年は、昨年植えた歌の種を大事に育てて届けていく１年にしたい」と語り、30年分の思いを歌で届けた。

オープニングナンバーは「10years」

　11日に成人式イベントを最後に改修工事に入る横浜アリーナ。渡辺美里にとっても同所では改修前最後のライブとなった。昨年は、47都道府県ライブを開催しｍ全国52公演を行ってきた。そして、2016年１発目となるベストヒットライブ『30th Anniversary 渡辺美里オーディナリー・ライフ祭り』を見届けようと日本全国から多くのファンが集まった。

　開演前のBGMに、Guns N’Rosesの「Welcome to the Jungle」やEaglesの「Hotel California」などが流れていた。開演時間を少々過ぎたところで、サラ・ブライトマンの「Time To Say Goodbye」が流れ、曲が終わりゆっくりと照明が落とされると、場内には青いサイリウムが光り輝いた。鐘の音が鳴り響くと、その音に合わせ中央のスクリーンに過去のライブシーンが走馬灯のように映し出された。

　シンセのリフがアリーナに響き渡ると、ステージ奥から渡辺美里が眩い光を背にして登場した。オープニングナンバーは「10years」。渡辺美里の力強い歌声に「あれから10年も　この先10年も」の歌詞が胸に響いてきた。続いてヒット曲「サマータイムブルース」を届けた。

　「待ちに待った横浜アリーナ、思う存分心の底から楽しんで行って下さい。ヨロシクー!!」と叫ぶとロックンロールなギターリフから「恋したっていいじゃない」へ。会場全体で「D・A・T・E」と大合唱で盛り上がった。

　ここからアルバム『オーディナリー・ライフ』のプロデューサーを務めた佐橋佳幸がギターで登場し「センチメンタルカンガルー」を披露。渡辺美里と佐橋がステージで楽しそうにアイコンタクトをしていたのが印象的だった。高校の先輩でもある佐橋との絆を強く感じた瞬間でもあった。冒頭の４曲だけでも豪華セットリスト。佐橋も「最初からアンコールのような曲順だね」と絶賛した。

　MCでは「久しぶりの横浜アリーナ。紐解いてみたらオリジナルのライブでやらせていただくのは21年振り」と語ると会場から大歓声。そして、アルバム『オーディナリー・ライフ』について「もっとも渡辺美里らしいアルバムに仕上がった。４年ぐらいかけてじっくり熟考して出来た」とアルバムへの愛着を語った。

オーディナリー・ライフを彩ったゲストが登場

　渡辺美里、佐橋との３人ユニットである三ツ星団の１人、Dr.kyOnこと川上恭生を招いて「鼓動」を披露。Dr.kyOnのアコーディオンと佐橋のアコギ、そして渡辺美里の歌というシンプルな編成。少ない楽器編成によって更に声がダイレクトに届いてきた。

　更にMCでは「うすうす勘付いてると思うんですけど、私はかなり人見知りなんです。そういう部分も、佐橋さんがアーティストと私を取り持ってくれた。プロデューサーという名のお仲人さんみたい」と佐橋がアルバムでコラボした数々のアーティストとの架け橋になってくれたこと語った。

　そして、ここでWEAVERが登場。彼らが提供した楽曲「夢ってどんな色してるの？」を共演。WEAVERらしい趣あるメロディを渡辺美里が伸びやかな歌声で聴かせてた。渡辺美里は彼らの楽曲を「胸の奥の方がキュンとなるような、鼻の奥がツンとなるような、自分の中にある光とか輝きに共通するものがあるなと思った」と表現。そして、出来上がった楽曲は「とても素敵な曲に仕上がった」と嬉しそうに語った。

　続いてのゲストにシンガーソングライターのCaravanが登場。提供曲「Glory」を演奏。渡辺美里とCaravanの声が混ざり、２人のハーモニーがアリーナに響き渡った。ラジオ番組でCaravanの曲を聴いて一目惚れ。出来上がったこの「Glory」はツアーで47都道府県を旅してきて、自分たちと重ねて「ツアーを象徴するような楽曲になった」と語った。