天手古舞になって最高に楽しい瞬間を作りたい
――ニューシングル「天手古舞」の話をおうかがいしたいのですが、まず「天手古舞」というキーワード、この言葉が最初に出てきたのではないか? という印象がありますね。それくらいインパクトがある言葉で
ユキ そうですね。やっぱりサビがベースになっているんですけど、この曲は恋や学校、仕事に毎日てんやわんやな女の子の歌なんです。実はこの曲を作ったのが、6月にワンマンライブをやった直後で、今までは自分の気持ちを曲に込めていましたが、今回は「自分じゃない人の日常を歌にしたい」と思って。
――そこにはなにかエピソードのようなものはあったのでしょうか
ユキ 握手会や6月のリリースイベントで、いつも応援してくださる、「みみめメイト」と呼んでいるファンの方々のお話を聞く機会があって、手紙ももらったりしていましたが、そこで「みんな笑顔で握手会に来ていただいたりしているけど、こういうことで悩んだりしているんだな」と思う節があったんです。なんか友達に久しぶりに会って、仕事で「こういうことがあって」みたいなことを聞く機会もあったし、私もですけど、いろんな日常の中で心がてんやわんやとすることと向き合いながら生活していることがあったときに、なんかそういうものを、敢えてすごく明るくハッピーに、ポップに歌う曲が欲しいと思って、この曲を書きました。
――「天手古舞」というのは、ユキさんご自身も感じられている感情ではないかと思うのですが、あくまでまったく別の女の子の視点でこの曲は書かれたということなのでしょうか
ユキ いや、もちろん私自身もスタッフさんに聴いてもらったときに「天手古舞っていうタイトル自体が、まさにタカオユキ自身だね」と(笑)。私自身、気づいてはないけど、私の曲でもある。私の中では結構友達やファンの方々の日常をキーワードに書いたつもりなんです。実はこの「天手古舞」というキーワードは、友達とのLINEでのやり取りで「最近天手古舞でせわしないな」という言葉をもらったときに、「この四字熟語、かわいいなあ」と思って。それがきっかけでタイトルに使うほどに気に入りまして。
――そのエピソードからするととても実感が湧きますが、Aメロ部分はもう息継ぎする暇もないんじゃないか? というくらいに言葉が詰め込まれていますね(笑)
ユキ そうですね、本当に私のイメージはお祭りということで、日々「天手古舞」とするようなことがあると、人間ってブレーキをかけてそれを消したいと思うところがあると思うんですが、「好き+嫌いは大好き」という歌詞にも表現したように、「天手古舞」となっていることっていうのは自分にとっても大事なものでもあるし、急ブレーキをかけるのではなく、さらにアクセルを踏もうっていう。
――その先になにかがあるのでしょうか
ユキ そう、アクセルを踏み続けたあとには、「天手古舞」を通り越して、いっそうそんな「天手古舞」するということも楽しんでしまえばいいじゃん?って。そこには楽しい道が開かれるんじゃないか? という期待も込めました。そんなお祭りのイメージですね。
――「ちょっと傷つきながらも元気に」みたいな雰囲気も読み取れたのですが、余計に深みがあるなという感じがありますよね。あとブリッジの部分でブレイクが入ってお祭りばやしが入りますよね?『視聴覚アカデミーVol.3』でもみなさんにご教授されていたパターンですが
ユキ そうなんです! あそこはライブを意識したパートで、ライブでタオルを振って、みんなで天手古舞して楽しもう!って。ライブをここまで意識して、斬新にパッと入れたのは初めてじゃないかなって思いましたね。
――代表曲の一つにもなりそうな感じですかね
ユキ そうですね、そうなるといいですね。でも、それよりみんなとライブで楽しめる、そんな一曲にしたいですね。
――アニメとのタイアップがありますが、このアニメ自体も一度見られてイメージされたところもあるのでしょうか
ユキ そうですね。原作は拝見してOVAも見させていただきました。そのストーリーの中で感じた「天手古舞」するようなイメージと合致すればいいなと思っています。
――このジャケットに書かれている女の子もぴったりですよね、なんか困ったような表情をして。これもちゃもーいさんの作ですか
ユキ ありがとうございます! まさに。この女の子はMIMIちゃんっていうんですけど、彼女が「天手古舞」として、かつ楽しいことにも「天手古舞」としている、テンションの高い様子を描いています。今回、結構「和」をモチーフにしているんですが、ちゃもーい曰く「日本人は、『和』っていう表現の中には、同様に洋のものも取り入れる傾向がある」と思っているらしくて、ちょっと洋なものを取り入れてポップな雰囲気にもしています。
――面白いですね。なんか「天手古舞」というキーワードからは、言葉だけ聴くと辛いイメージがありますが、この曲を聴くと楽しくなっちゃいますよね
ユキ そう言っていただけると嬉しいです。天手古舞っていう言葉は、結構あわただしく忙しくて、マイナスなイメージの言葉なんですが、この曲を聴いたみなさんには、ハッピーな言葉になってもらえたらいいなと思っています。
――カップリングの「相対性レプリカ」は、またイメージがガラッと変わりますが、ちなみに曲作りはこのクレジットされているまふまふさんが作られたのでしょうか
ユキ そうですね、まふまふさんが今回、作曲と編曲をやってくださって、作詞もご一緒させていただいたんですけど、まふまふさんの作っていただいた曲に私も参加させていただいたんです。
――どちらかというと、まふまふさんの持たれているイメージの方が強いのでしょうか? かなり哀愁味の強い曲だなという感じがしました
ユキ そうですね。でも私の中では、この曲は初めてこうやってコラボをしたものなんですけど、自分が作曲をしなかったからこそ、新しい一面を出せたと思っているんです。私は内面を大事にしている曲が多いんですけど、この曲は世界観を重視されていると思って、その世界観につられて、普段だったら出ない言葉とか、こんな風にセリフとかもつられて導かれながら出た部分もあって、新しい一面が出せたと思いましたね。
――すごく激しいけど、詞だけ読んでいると、悲しくて涙が出そうな感じですね。それが魅力なのかなと
ユキ そうですか? 嬉しいです。今言っていただいたように、たとえばプラスチックとか、ガラスみたいな繊細で、ちょっと触れたら壊れそう、みたいな歌詞になっていると思います。
――ちなみに来年以降の活動はいかに考えられているのでしょうか? それはまだ秘密?(笑)
ユキ そうですね、それはまだ秘密ということに。でも今は絶賛曲は書いていて…今回コラボさせていただいて、まったく違う切り口の曲でも「自分にはこういう感じの曲でも合うんだ」という新しい空気も感じられたので、もっと違う切り口の曲もみなさんに届けられたらいいなと思うし、さらにパワーアップしてみなさんに楽しいライブをお届けできればと思います!
――では最後に、そういった意気込みをドカンと一発いただければと思います
ユキ この度、「天手古舞」という新しい、初めて和をテーマにしたお祭りのような曲を書かせていただきました。ライブでみなさんと一緒に「天手古舞」して、最高に楽しい瞬間を作っていきたいと思いますので、是非この曲を聴いてライブに遊びに来てください! 私自身は全力で「天手古舞」していきたいと思います! 年末まで。来年は「天手古舞」しないように頑張りたいですけど(笑)
(おわり)