独特な世界観を持つピアニスト「まらしぃ」の実態を探る
INTERVIEW

独特な世界観を持つピアニスト「まらしぃ」の実態を探る


記者:編集部

撮影:

掲載:15年11月09日

読了時間:約17分

「ピアノは楽しい」の共感を得られたら

ピアニスト「まらしぃ」の実態を探る[5]

――話は変わって、ニューアルバムをリリースされたということですが、これについてお話をお聞かせ願えますか

まらしぃ 9月30日に僕のオリジナル曲だけのアルバムを出させていただいたんですけど、今回の「風パズルColorful~黒猫と白猫の幻想曲~」のメインテーマ曲「猫ハ風ニ憧レル」も、ゲームバージョンでは1分半くらいのものですけど、それもフルバージョンで入れています。フルオリジナルアルバムは1年半前くらいに一枚作らせていただいたので、今回は2枚目。

――ピアノ一発で完全オリジナルとは、とてもハードルが高い気もしますが…

まらしぃ ハハハ!そうですね。でもそんな格式の高い、作法があるようなものではないので、イージーリスニングみたいに気軽に聴いてもらいたいです。

――作品の作り方としては、コンセプトに従うという方向よりは、一曲一曲いいものを積み上げたので、全部を楽しめるものとして作ったという感じなのでしょうか

まらしぃ まさしくそうです。でもまあ本当はコンセプトを考えた方がいいんでしょうけどね(笑)。ジャケットのイラストとか、カッコいいじゃないですか?宇宙っぽいというか…

――メタルっぽくもありますね(笑)

まらしぃ それはありますね(笑)。でもそういう要素の曲って、一曲も入ってないです(笑)。ジャケットデザインに関して「とにかくカッコよくしてください」ってお願いしたら本当にカッコいいものが出来上がって来て、「カッコいい!」って採用になったのはいいんですが、いざ自分で思いついていくつか作ってきた曲を聴いたら、これっぽい曲ってないな、って思って。どうしたものかと…(笑)

――不安要素ですかね?(笑)。一方で今回のアルバム用の書きおろしもあり…

まらしぃ そうですね。ライブなんかでやった曲もあるし、今回のために新しく書いた曲も。7~8割は書きおろしの新曲ですね。

――なるほど。それはそれなりに意気込みを持って向き合ったということで…

まらしぃ それはもちろん。ただ、もともと僕は「夏休みの宿題タイプ」というか(笑)。追い詰められたときに出てくるものが良かったりするので(笑)

――大変ですね(笑)。一つおうかがいしたいのですが、ご自身としては作曲家という面と、ピアニストという面の、2つの顔があるわけですよね?実際にはどちらの面が強いのでしょうか?…あるいはその道を決めることすら嫌なのか…

まらしぃ そうですね…まずまったくこだわりがないというか、自分の作った曲をたまに聴いてもらって、楽しんでもらえれば嬉しいだけなんです。だからといって「この曲を聴け!」と強要するつもりもない、それくらいの考えです。趣味というと語弊があるかもしれませんが、僕は本当に自分の好きなように楽しんでやっているだけだし。もちろんプロの仕事として、自分のやれる最高のものをやることを心がけていますが、それほど構えてやっているというわけでもありません。

――そういう意味で行くと、曲作りから音を出すところまでをひっくるめて、たとえば「クリエーター」というか、一つには絞りたくないと?

まらしぃ 絞りたくないですね。ただどちらかというとまだピアノを弾いている方が楽しいかな。金輪際、辞めるものをどちらか選べと言われたら「じゃあ曲を作るのを辞めます」って言うかも。

――それはソロピアノだというこだわりもあるのでしょうか

まらしぃ そうですね、最初はあまり考えてなかったけど、今は結構そう思います。自分で好きなようにやって、好きなように解決させられるのがいいし(笑)。楽しいかなって。たとえばバンドや何かのリズムトラックに合わせてやるというのもあるけど、「僕はこうやりたいんです」というものを通しちゃうと、自分が思っていたものと変わったりすることもあるから。逆にだからこそ得られるものがあるというのもわかっていますが。

――確かに。実は難しいところですよね

まらしぃ 僕一人だったら、最悪締め切りの夜11時から始めて完成すればいいわけじゃないですか?(笑)。そんな気楽さがいいんですよね、いろいろと失格なのかもしれないですけど(笑)。でも、それぐらいが自分にはいいのかな、という気がします。

――結構ライブでプレーされるということも、楽しい方でしょうか

まらしぃ 楽しいですね!自分の家にないピアノを弾くというのもありますし、やっぱりどうしてもネット上の活動だけだと、僕が弾いたものを撮影して配信、あるいは生配信とか、ディスプレイ越しになるわけですから。それに対してライブは直接見てもらうわけだし、ちょっと恥ずかしいし緊張もするけど、すごく新鮮なので。で、結構皆さん真剣に聴いてくださるのもわかりますので、ちょっとやる気が出ます。

――たとえば普通ロックバンドみたいなものは求められないにせよ、気持ち的なコール&レスポンスみたいなものもあるんでしょうか

まらしぃ そうですね、たとえば「すごくお客さんが聴いている!」というのがわかるようなときがあって、そんなときはメチャクチャ頑張って聴かせに行きますし、ちょっとその流れから激しい曲が続いたら、自分を若干鼓舞する意味も含めて、アゲていって…気が付いたら自分がその流れに乗っていってる、みたいな。ライブっていうのはそんなリアルタイム感が魅力的。動画なんかだと、「全然撮れねえじゃないか!?」って僕がイラついてますけど(笑)

――では最後に読者に向けてメッセージをいただけますでしょうか

まらしぃ そもそも僕は途中でピアノが嫌になった後に戻ってきた出戻り組なんです。だから昔、同じようにピアノを習った方も多くいらっしゃるかと思いますが、そんな方に「やっぱりピアノは楽しいものだよ」ということを共感していただけると嬉しく思います。たまに僕の演奏をきっかけにピアノを「再開しました」とおっしゃってくれる方がいるのがすごく嬉しいんです! だからこれをきっかけに、久しぶりに自分の好きな曲をえっちらおっちら触ってみるということもやっていただけてもらえると、楽しめるのではないかと思います。

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