昔から考えることは好き
――今そのピアノをプレーして、作曲をしているということで、たとえばゲームを楽しんでいるときに、その音楽的センスが反応することもありますか? 例えばどこかの場面で「俺だったら、ここでこんな音を入れて」みたいな?
まらしぃ それはありますね。本当に突発的に。僕が曲を作るときとかで、ゲームの中に出てくるキャラクターなんかが、「この子はこんなイメージだよな」ということで曲がポッと出てきたりすることはあります。
――この「風パズル」での楽曲提供は、現行版がリリースされる前に、実際にトライアルとしてプレーされたことはありましたか
まらしぃ やりましたね。ただ曲を作るためのイメージ作りが目的ではなく、トライアルは曲作りの後でやらせていただきました。最初に「こういう世界観です」みたいな資料をいただいて、「風」「猫」「すごくおしゃれな感じ」みたいなイメージを膨らませた要素で、自分であればこんな感じみたいな形で練ったものを提案したら、採用していただいたという。で、いざプロトタイプをやったときに「わりと的外れじゃなかった」っぽかったので、良かったなと胸をなでおろした感じ(笑)。
――ただピアノって、たとえばゲームに比べるとかなりアナログですよね。その意味ではピアノとゲーム、まったく正反対な感じのものではあるかという気もします。近年では、たとえばゲームでもオーケストレーション的な音を入れるケースなどもあるかもしれませんが、ソロピアノをゲームに入れるということは難しいのではないかと思いましたが、そういう部分で違和感をおぼえることはありませんでしたか
まらしぃ いや、特に違和感というものはなかったですね。でも確かにそういわれると離れたイメージもありますね。それと、音楽を作る際には「重要な役をいただいたな」という意識がある中で、「僕のプレーは合うのかな?」という気持ちが、なかったといえばうそになりますけどね。まあ、でもあまり考えずにチャレンジしました。
――リニューアル前のゲームの音楽も拝聴したのですが、なにか宮崎駿アニメの挿入歌にもできそうな、ファンタジックな雰囲気がありますね。ピアノ一本でこんなにできるんだと。こういうイメージは、最初に世界観というものをもらっただけで、大体のイメージはできるものなのでしょうか
まらしぃ 宮崎アニメだなんて、恐縮です(笑)。そうですね、昔から学校の授業中にも、妄想というか「自分がこんな世界にいたらどういうことをするか」「自分にこんな能力があったら、どうするか」とかいうことを、授業を聞かずにそんなことばかり考えていましたから(笑)。昔からそういうイメージを考えることは好きで、ずっとやっていました。
――かなり入れ込んでいる様子がうかがえますね。先程ゲームの話でもあった「やり込み要素」という部分にもつながるのでしょうか
まらしぃ そうですね。たとえば今回も最初に考えて提案させていただいたプロトタイプからいろいろ手を加えて変わっているんですけど、提出後に改めて聞いたら「こっちの方がいいかな?」「こっちの方がもっといいぞ」みたいなのをゴチャゴチャやり続けた結果なので、ある意味「やり込み感」ではあります(笑)。
――作るその過程自体が「やり込み感」ですね(笑)。そんな中で、あえて「ピアノ」というのは、やっぱりこだわったところなのでしようか?あえてピアノなのか、あるいはご自身としては「ピアノが基準なので、そこまで考えなかった」という感じなのか…
まらしぃ 絶対考えていないですね(笑)。まあピアノ一台でも結構いろんなことができますから。メリハリをつけるにしろ、音数を増やすにしろ、それこそ単音から和音、いろんな表現はできますから。「ここを聴かせたいです!」というところに焦点を当てるということは、考えていますし。
――なるほど。でも作った音が、ゲームにどんな風に乗ってくるのか?と考えると、楽しみになってきますよね
まらしぃ そうですね、本当に楽しみです。