独特な世界観を持つピアニスト「まらしぃ」の実態を探る
INTERVIEW

独特な世界観を持つピアニスト「まらしぃ」の実態を探る


記者:編集部

撮影:

掲載:15年11月09日

読了時間:約17分

演奏動画の再生数は2億回。ピアニスト・まらしぃ

演奏動画の再生数は2億回。ピアニスト・まらしぃ

 最近、にわかに巷をにぎわせている一人のアーティストがいる。彼の名は「まらしぃ」。2008年から動画サイトにピアノ演奏動画を投稿、その総再生数は2億回を超えるという、異常なほどの注目を集めている作曲家、ピアニストだ。

 2010年にボーカロイド楽曲をピアノカバーしたアルバム『V.I.P』をリリース、2013年秋にはトヨタのハイブリッドカー「AQUA」のCMソングの演奏を担当。「チョコレイト・ディスコ」、「千本桜」、プレリュード(FINAL FANTASYシリーズより)といずれも大きな話題を集めた。

 さらにセッション活動としても、人気ピアニスト、キーボーディスのH ZETT Mらとのコラボでアニメソングカバーアルバム『3D-PIANO ANIME Theater!』『4D-PIANO ANIME Theater!』を発表、加えてクレモンティーヌとのライブ競演、武部聡志&鳥山雄司とのセッションなど、ジャンルを超えて幅広い活動を展開している。

 私見ではあるが、ソロピアノと聞いて、クラッシック音楽で聴かれるような細かいニュアンスや抑揚、まるで定規で測ったような正確さ、そこから見える緊張感、そんなイメージを想像していた。しかし、筆者が「まらしぃ」の音源に感じたものは、もっと素直なものだった。

 クラッシックの評論家に聞いてみれば「常套手段から考えると、この表現は正しくない」そんな言葉が出てくるかもしれない。ところが、固定観念を捨て、彼のピアノに耳を傾けると、意外にも「こっちの表現の方が自然かもしれない」と感じられる箇所がいくつもある。そして、その素直な抑揚に気持ちをどんどん持っていかれる。

 たとえば海外では2 cellos、日本では葉加瀬太郎など、弦楽器を大胆に現代ポピュラーに導入したものが近年、大きな人気を集めているが、ピアノという楽器にも大きな魅力があることを忘れてはいけない。アコースティックな楽器の中では最も広い音域を持ち、かつ同時に叩く鍵盤の数で、豊かなハーモニーをかなで出すことが出来る。そして強く、弱く、鍵盤を叩くニュアンスにてさらに繊細な表現を可能にする。楽器の中では完成度の高いものといっても過言ではない逸品だ。

 ゲームにも非常に造詣の深い「まらしぃ」は、昨年に配信を開始したスマホゲーム「風パズル 黒猫と白猫の夢見た世界」で、テーマ楽曲を提供、デジタルなゲームの世界で、一味違った独自の風を吹き込んだ。続いて、この10月に第2作目としてリリースされる「風パズルColorful~黒猫と白猫の幻想曲~」の中でも新曲を披露、さらに第一作のソロアルバム『marasy piano world』に続き、9月には自身2作目となるフルオリジナルのソロアルバム『The Pianφ』をリリースと、活発な発表活動を展開している。

 今回は彼の作品に対するアプローチの考え方や、その音楽的な生い立ちをたずね、その彼の独特な音楽的世界観の秘密を探ってみた。  【取材・桂 伸也】

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