活動20周年・横山だいすけ、被災地での原体験が変えた歌「自分だからできることがある」
INTERVIEW

横山だいすけ

被災地での原体験が変えた歌「自分だからできることがある」


記者:村上順一

撮影:

掲載:26年06月18日

読了時間:約9分

 2026年、芸能活動20周年という大きな節目を迎えた横山だいすけが5月27日、これまでの歩みを凝縮したアニバーサリーアルバム『笑顔晴れ —20th Anniversary—』をリリース。劇団四季でのデビューから、日本中に笑顔を届けた「うたのおにいさん」としての9年間、そして表現者として歩み続けたソロ活動――。『笑顔晴れ ―20th Anniversary―』は、今まで応援してくれたみんなへの恩返しであり、彼がもがきながら見つけた今の答えのような作品だ。声が出ない苦悩、被災地での原体験、そして闘病中の先輩・佐藤弘道との絆。節目を迎えた彼が今だからこそ語れる、歌への飽くなき情熱と、ファンと紡いできた今まで応援してくれたみんなとの「家族のような愛」の軌跡に迫る。(取材・撮影=村上順一)

20年の月日が紡いだ、ファンとの「家族のような愛」

横山だいすけ

――歌手生活20周年、おめでとうございます。改めてこの20年を振り返ってみて、いかがですか?

 ありがとうございます。本当にあっという間だったな、というのが率直な感想です。劇団四季で初めて人前で歌う仕事をしてから、念願だった“うたのおにいさん”になり、卒業後もそれと同じだけの時間(9年間)を様々な場所で歌い続けてきました。最近では、当時番組を見てくれていた子たちが「就職しました」とか「受験合格しました」と報告してくれることも増えて。そんな声を聞くと、20年という時間の重みを感じます。

――その重みは、喜びでもありますよね。

 はい。当時はとにかく「元気を届けたい」という一心でしたが、今、成長した彼らから想いが返ってきているのを感じます。まるで家族のような愛を届け続けていたら、それが巡り巡って自分のもとに帰ってきた、そんな幸せな気持ちでいっぱいです。

――劇団四季、うたのおにいさん、そしてソロ活動と、環境が変わるたびに歌い方も変えてこられたのでしょうか?

 意識して変えたというよりは、目の前のことに一生懸命向き合ってきた結果だと思います。合唱、クラシック、ミュージカル、そして子どもの歌。ジャンルが変われば歌い方も聞き手も変わりますが、その一つひとつの現場が僕にとっては真剣勝負であり、最高に楽しい時間でした。

――これまでの道のりは、決して平坦なものではなかったはずです。声が出ない時期もあったとお聞きしています。

 もちろん、声が出なくなって辛い時期もありました。特にうたのおにいさん時代はプレッシャーもありましたし、冬場に風邪をひいてしまったり、歌いすぎて喉を壊したり。でも、そうした経験があったからこそ、自分の声との向き合い方や、不調から早く回復するための経験値を積むことができました。このアルバムは、20年間で変わってきた歌い方や向き合い方のすべてを詰め込んだ、まさに集大成なんです。

ファンと共に作った「アイデンティティ」としてのアルバム

横山だいすけ

――今回のアルバム『笑顔晴れ —20th Anniversary—』は、ファンの皆さんからのリクエストで収録曲が決まったそうですね。

 まずは僕が選んだ40曲の候補から、皆さんの投票で20曲に絞っていただきました。中でも意外だったのは、僕が作詞を手がけた『だいすきがいっぱい』へのリクエストが多かったことです。自分が歌うための曲ではなく、後輩に向けて作った曲なので「だいすけさんの声で聴きたい」というコメントがあって驚きました。同時にすごく嬉しかったです。僕は3歳から歌が大好きで、その「好き」という気持ちを人生の真ん中に置いて活動してきました。だからこそ、今の子どもたちや、僕を見て育った世代の子たちにも「好き」という前向きなエネルギーを大切にしてほしい。そんな願いを込めて作った曲なんです。

――タイトル曲の「笑顔晴れ」についても教えてください。

 「笑顔」は僕が最も大切にしてきたものです。歌を通して目の前の人が笑顔になってくれる瞬間に、僕は歌手としての幸せを感じます。この曲には「これが僕なんだ」というアイデンティティが詰まっています。すがも児童合唱団の子たちの歌声も入っているのですが、彼らがブースで笑いながら歌っている情景が目に浮かぶような、明るい仕上がりになりました。

迷いの中で見つけた「人生の正解」

横山だいすけ

――RADWIMPSのカバー曲『正解』も非常に心に響きました。横山さんのこれまでの歩みが重なるような説得力を感じました。

 ありがとうございます。この曲は、卒業を控えた子どもたちに向けて歌ったのが最初です。成長していった子たちが一歩新しく踏み出すときに「だいすけお兄さんの声で自分たちは成長してきたんだ。そして今また踏み出すときに聴けてよかった」と思ってもらえるような曲をプレゼントしたいと思いました。成長していった子たちが、「おかあさんといっしょ」の頃とは違うメッセージをこの曲から感じ取ってくれるかもしれない、と思って選んだ曲でした。「だいすけお兄さんの声で聴けてよかった」と涙を流して喜んでくれる子たちがいて…。そこから大切に歌い続けてきました。

――横山さんはこれまで、歌手としての「正解」をどのように見つけてこられたのでしょうか?

 実は、最初から自信満々だったわけではないんです。うたのおにいさんになったばかりの頃は、「聞き慣れない」「受け入れがたい」といった否定的な意見も少なくありませんでした。高校生の頃からの夢を叶えたはずなのに、なかなかうまくいかない。自分が歌う意味は何なのか、ずっともがき続けていました。

――その迷いは消えましたか?

 はい。東日本大震災の後、津波の被害を免れた南三陸町の保育園へ歌を届けに行ったのがきっかけでした。それまでは「メロディや歌詞を正しく伝えること」がうたのおにいさんの役目だと思っていました。でもその時は、「正しさよりも、とにかく楽しさを届けよう。この曲が終わったら倒れてもいい」という覚悟で、「ぼよよん行進曲」を全力で歌いました。

――その時の子どもたちの反応は、いかがでしたか。

 目の前の子どもたちが、本当に最高の笑顔で一緒に歌ってくれたんです。その瞬間、「あ、これでいいんだ。自分だからこそできることがあるんだ」と、心の底から思えました。20年間歌い続けてきたこと、そして音楽を通して出会った人たちに恩返しをしていくこと。それこそが、僕の人生の「正解」なんだと確信できた原体験です。

伴奏(オケ)を徹底的に聴き込み、情景を描く

横山だいすけ

――横山さんの歌声を聞いていると、歌詞カードを見なくても言葉が鮮明に伝わってきます。一つひとつの言葉を大切に届けるために、何か「方程式」のようなものはあるのでしょうか?

 ありがとうございます。実は僕、歌詞と同じくらい、あるいはそれ以上に「伴奏(オケ)」を徹底的に聴き込むんです。インストゥルメンタルの状態で何度も聴いて、その音がどんな響きをしているのか、どんな温度感なのかを体の中に染み込ませてから、そこに歌詞をはめていくんです。

――音から想像を膨らませていくのですね。

  例えば今回収録した『マイ・ウェイ』が良い例です。この曲は、時には情熱的に、力強く歌うアプローチもありますが、今回のバージョンはギターの音色がすごく優しいんです。だから、声を張り上げるのではなく、そのギターの温かさに自分の人生をそっと重ねていくようなイメージで歌いました。僕には歌がある、君たちはどう生きるか、それは君たち次第なんだよというメッセージを歌に込めたのですが、どうしたらそのメッセージが伝わるか、オケを聞いて想像を膨らませていくということはよくやっています。

――「ぼよよん行進曲」では佐藤弘道さんと共演されています。どのような経緯でこのコラボが生まれたのでしょうか。

 昨年末に楽屋でお会いした際、ひろみちお兄さんが「僕もお祝いに声入れようか?」と仰ってくださったんです。佐藤弘道さんは大病と闘われている最中ですが、変わらず優しく接してくださるその姿に、僕ら後輩は本当に勇気をもらっています。一緒に声入れをさせてもらった時に「一緒にやれてよかった」とその場にいた全員が感じることができました。

未来への「21曲目」と、繋がっていくバトン

横山だいすけ『笑顔晴れ —20th Anniversary—』ジャケ写

――20周年なので、収録曲は20曲かと思いきや、21曲収録されています。ここに「未来への一歩」を感じました。

 20周年の20曲で終わるのではなく、もう一歩先へ踏み出す気持ちを込めました。約70分というCD収録時間の限界近くまで想いを詰め込んだので、とても濃密な内容になっています。

――曲順についても、非常にストーリー性を感じます。

 曲順も一つのストーリーとして繋がるようにこだわりました。自分一人ではなく、合唱団の子たちや佐藤弘道さん、そして「終わりなき夜」に参加されたピアニストの吉野ユウヤさんといった、今回参加してくださった皆さんとの「化学反応」で生まれた流れです。すべての音が完成した時に、「あ、この順番が正解なんだ」と確信できました。

――最後に、このアルバムを楽しみにされている皆さんに一言お願いします。

 どんなジャンルの曲を歌っても、僕は歌詞の情景や心の動きを届けることを一番大切にしてきました。時間を経て今の自分だからこそ歌える歌、響きを大切にしていきたいという想いをふんだんに詰めたアルバムになっているので、それを感じてもらえたら嬉しいです。ぜひ、たくさん聴いてください!

(おわり)

作品情報

横山だいすけ芸能活動20周年アルバム
笑顔晴れ -20th Anniversary-

 CD購入:https://store.kingrecords.co.jp/shop/g/gKICG-8928/
 音楽配信:https://king-records.lnk.to/Egaobare_20th

【収録内容】

01.笑顔晴れ(フルver.)
02.あさペラ!
03.だいすきがいっぱい
04.バスにのって
05.ぼよよん行進曲
06.勇気100%
07.ごめんください、めんください。
08.北風小僧の寒太郎
09.ぼくらのうた
10.ありがとうの花
11.アンダー・ザ・シー ~「リトル・マーメイド」より
12.終わりなき夜 ~「ライオンキング」より
13.翼をください
14.上を向いて歩こう
15.正解
16.3月9日
17.いのちの歌
18.You Raise Me Up
19.マイ・ウェイ

(20th Anniversaryスペシャルトラック)

20. げんきのこうかんっこ(20周年ありがとうver.)
21. 笑顔晴れ(みんなのうたver.)

全21曲収録

*M01、21参加:すがも児童合唱団
*M05参加:佐藤弘道
*M20参加:だいすけ応援隊

【先着特典】

複製サイン&コメント入りブロマイド(KING RECORDS STORE限定絵柄)

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