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俳優の杏が、日本・フィンランド共同製作ドラマ『連続ドラマW BLOOD & SWEAT』(WOWOW、4月5日午後10時放送・配信開始※第1話無料放送・配信)に出演する。フィンランドの国民的俳優ヤスペル・ペーコネンとW主演を務める本作で、杏が演じるのは、日本とフィンランドで発生した連続猟奇殺人事件の真相を追う警視庁捜査一課の刑事・涼宮亜希だ。
本作は、2022年にハリウッドとの共同制作で話題を呼んだ超大作『TOKYO VICE』シリーズに続き、WOWOWが新たに挑む海外共同製作プロジェクト。日本の制作会社「AX-ON」と、フィンランドの「ICS Nordic」がタッグを組んだ完全オリジナルのクライムサスペンスとなっている。
インタビューでは、推理シーンの台詞(せりふ)に隠された意外な苦労や、キャラクターの個性を象徴する「アウター」へのこだわりなど、ドラマをより深く楽しむためのヒントを伺った。俳優としての現在地、そして未来を見据える彼女の視線の先にあるものとは――。「記憶をなくしてもう一度観たい!」と本人をも驚かせた、緻密な物語の裏側に迫る。(取材=村上順一)
「記憶をなくしてもう一回観たい!」
――今回の日本とフィンランドの共同製作という、壮大なプロジェクトに参加を決めた経緯を教えてください。
もともと海外の作品に参加したいという思いはありました。ただ、連続ドラマとなると撮影に3、4ヶ月を要するため、育児中の身としては高いハードルを感じていたのも事実です。ですが今回は、「家族を連れてフィンランドへ行ける」という体制を整えていただけたことが大きな決め手となりました。また、2つの国を結ぶミステリーという物語自体にも、非常に興味深いエッセンスを感じました。
――国際共同プロジェクトならではの、台本の特徴はありましたか。
脚本は主に英語、日本語、フィンランド語と3つの言語で書かれていて、日本の台本と違って「横書き」であることに最初は慣れるまで時間がかかりました。そもそも「冊子として製本する」こと自体が日本式らしく、海外ではデータ共有、あるいはその日に撮影する分だけをプリントアウトするスタイルが一般的だそうです。そのため、スタッフの方が両国を往復される際には、わざわざ日本で印刷した台本を運んでくださっていました。
――ストーリーの印象や魅力は、どのような点に感じられましたか。
文字で読んでいる段階では、ストーリーが非常に複雑に感じられました。しかし、その複雑さが映像になったとき、これほどまでに躍動感があって面白いものになるのかと感動しました。自分の役については深く掘り下げて作り込んでいきましたが、物語の舞台には日本やフィンランド、さらにドイツも絡んできます。それらの歴史的背景をすべて把握している監督やプロデューサー陣の手腕も、本当に素晴らしいと感じました。
――完成した映像をご覧になっていかがでしたか。
ストーリーを知っている私でさえこれほど驚くのだから、「記憶をなくしてもう一回観たい!」と思いました。これからご覧になる視聴者の方も、毎話の終わりに「えっ!」と思わず声が出てしまうのではないでしょうか。
――演じるにあたり、特に苦労された点はありますか。
捜査の推理で使う英語は日常会話では使わない言葉ばかりで、非常に苦労しました。単に単語を覚えるだけでなく、どこで区切るか、どこを強調するかでニュアンスが全く変わってしまうんです。セリフ指導の際にはシェイクスピアを例に、「To be, or not to be」という短い一節でさえ、強調する場所によって意味合いが変わると教わりました。日本語でも同様の感覚はありますが、言語が変わるだけでこれほど表現が難しくなるのかと、大きな学びになりました。
――バディを組むフィンランドの俳優、ヤスペル・ペーコネンさんとの交流はいかがでしたか。
フィンランドでは街の至る所でポスターを見かけるほど、まさに国民的なスターなのですが、現場ではとてもフレンドリーでした。また、ヤスペルさんはフィンランドでサウナレストランを経営されていて、おすすめのサウナを教えてくださるなど、日々の暮らしをとても気遣ってくださいました。逆に彼らが来日した際には、私がサポートできるように心がけていました。
生活習慣の違いの連続が興味深かったフィンランドでの生活
――約3カ月の滞在で、特に印象に残っている現地の文化や生活習慣はありますか。
驚いたのは、冬は朝でも真っ暗なのに、小さなお子さんだけで登校している光景です。治安が良く安全だからこそ可能なのでしょうが、暗い道は危ないので、みんなリフレクター(反射板)を身につけていました。また、学校の給食が午前10時半だったり、寝る前も含めて一日に4、5回食事をする習慣があったりと、生活習慣の違いの連続がとても興味深かったです。
――日本とフィンランドの現場で、撮影スタイルの違いを感じることはありましたか。
フィンランドは労働基準が非常に厳格で、労働時間や休憩のタイミングが厳密に管理されていました。例えば、撮影開始から6時間以内に必ず食事を摂らなければならず、たとえ夜10時であっても、その休憩を「ランチ」と呼んでいるんです。一方、日本での撮影では、フィンランドの監督たちが「日本式なら思う存分撮れる!」と、じっくり時間をかけて向き合えることを喜んでいたのも印象的でした。
――ドラマの「隠れた見どころ」があれば教えてください。
亜希が着ている「アウター」に注目してほしいです。彼女は凄まじい記憶能力の持ち主で、余計な物を持たない主義なので、メモを入れるためのポケットを必要としません。そのため、あえて非常にスタイリッシュなコートを選んだり、逆に現地で調達したようなえんじ色のコートを着たりと、スタイリストさんと相談して細部までこだわりました。
――特に気に入った現地のアイテムはありますか。
メリノウール製のインナーは、今も愛用しています。フィンランドは防寒製品の技術が本当に素晴らしく、背の高い私にもぴったりのサイズがありました。その暖かさに感動して、たくさん買い込んでしまいました。
――劇中には杏さんが歌うカラオケのシーンもありますね。放送では音声は入っていませんでしたが、何を歌っていたのでしょうか。
その場所で「中打ち上げ」も行ったのですが、本番ではイーグルスの曲を歌った記憶があります。また、スタッフの方が『ドラゴンボール』の曲を歌われて非常に盛り上がっており、日本のサブカルチャーが浸透していることを肌で感じて嬉しくなりました。
俳優としての現在地と理想像
――今、杏さんが思う「俳優としての目標や理想像」、そして「現在地」をどのように捉えていますか。
「次はこういう役をやろう」と毎回自分でコントロールしているというよりは、「次は何が来るか全くわからない」という状態を楽しんでいるのが今の私です。それこそ「まさかフィンランドへ行くことになるとは!」という驚きもありました。これから先、自分がどんな役を演じることになるのか、いつも予想がつかないことばかり。だからこそ、どんなお話が来ても全力で取り組めるように準備しておくことを大切にしています。一見、何もしていないように見える時期も、実は大切な「準備期間」なのだと考えています。
――常にニュートラルな状態でいらっしゃるのですね。
例えば、役が決まっていない時期にあえて髭や髪を伸ばしっぱなしにするというのも一つの「何もしないという準備」ですよね。私も同じで、「お話が来たら全力で、何もないときは常に興味の幅を広げておく」というスタンスでいたい。それは自分自身の好奇心でもありますが、いざ新しい挑戦が目の前に現れたとき、躊躇(ちゅうちょ)なく飛び越えられるよう、自分の中のハードルを少しでも低くしておきたいと思っています。
――そんな杏さんが、いま追求されていることは何でしょうか。
私は熱しやすく冷めやすいのですが、今はサツマイモです。あと、イルカにも興味があります。
――なぜ、サツマイモに?
これまでは特に意識していなかったのですが、フランスではいわゆる日本で言うサツマイモがなかなか手に入らないんです。ですから、サツマイモのクッキーやチョコをフランスへ持ち帰っています。また、最近『サツマイモの世界』という本を読んで驚きました。葉や茎の成分のことや、そもそもサツマイモが甘いということを知らない文化圏の方がいたり……まだまだ世界に広がっていく可能性を感じています。
――ありがとうございます。最後に、放送・配信を楽しみにしている視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
フィンランドの雄大な雪景色と、日本の伝統的な風景や都会的な街並みが一つの作品に凝縮されており、視覚的にも非常に贅沢な仕上がりです。ストーリーも「一体どこが軸になっていくのか」が終盤まで分からないほど、驚きに満ちています。ぜひリアルタイムで、この想像を絶する真実を一緒に追いかけていただければ嬉しいです。
(おわり)
日本×フィンランド共同製作ドラマ「連続ドラマW BLOOD & SWEAT」
4月5日(日)放送・配信スタート 毎週日曜午後10時00分(全8話)
第1話無料放送【WOWOWプライム】
第1話無料配信【WOWOWオンデマンド】【YouTube WOWOWオフィシャルチャンネル】
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