INKTの深層部

[写真]INKT初ツアー完遂(5)

明らかな進化を魅せたINKTツアー最終公演のもよう

 9曲目「Dreamcatcher」以降はINKTの深層部が垣間見えた。メンバーの個性が全面に押し出されたサウンドの数々だったように思えた。ドラムのカウントが響き渡る。序盤が終り、スピードを上げていく。刹那ゆったりに流れるサウンド。激しさを伴ったサウンドに押され、KOKIも観客に身を乗り出す。「乗り方が分からない人もいると思うけど」と前回話していたKOKIだがそんなことはない。乗りまくっていた。曲が終わる毎に鳴る高い声。

 それとは真逆の重いギターサウンドが始まる。「Survior」。KOKIの世界観を触れてバンドの深化に入り込む。これが彼らの真価なのだと感じる。体を横に揺らしながら激しく頭を揺らすギター、ドラム、ピアノ、ベース。そしてベースはアルペジオをも披露する。あらゆる音が交差する。コードをもってマイクをまわすKOKI。

 ここでドラムのソロが始まる。嵐のような轟音。ストロボ。終えると同時にメンバーが白いタオルを放つ。ドラムサウンドが入り込む、ベースのmACKAzが続く。ドラムが刻むリズムに合わせてコールアンドレスポンス。これにベースが加わる。そして、「サイサリス」に見立てた赤色の練シャツに着替えたKOKIが登場。

新たなキャラ開花?kissy

[写真]INKT初ツアー完遂(2)

INKTツアーファイナル・恵比寿LIQUIDROOM

 キーボードのkissyが前に出てKOKIと並ぶ。「一番今日声出てるぜ!俺たち一つになれるか!」と荒々しいKOKIに対して、「盛り上がっている?」と優しい声で叫ぶkissy。「続いては…」とKOKI。kissyが「Shangri-La」と楽曲コールを告げると、そのまま歌い出した。突然のことにメンバーも笑みをこぼす。予定調和を外した演出に会場は歓喜。それで迎える彼らのキラーチューンの「Shangri-La」。盛り上がらないはずがない。サビで手を振る。ギターソロをお膳だてするKOKI。風が起こる。ここから佳境を迎える。

 「45'」では一気に音が変わった。電子音が響く。タオルを回す。ギターのKeiとベースのmACKAzが前に出る。笑顔を見せるKei。ギターソロではKeiとmACKAz、KOKIが体をあわせる。ドラムのSASSYと向き合うKeiも印象的だ。

 そのまま「Trigger」へと流れる。「ファーストツアー、ラスト、ラストあと2曲!あと2曲で嫌な事も置いて帰れ!」と叫び、「そんなもんか!もっと!後ろの方ももっと!全員もっと!俺らと一緒に歌えるのかよ!」と煽る。定番のKeiの軽快なダンス。KOKIも共に踊ってみせ、Keiは「グッド!」のポーズをとる。

 最後は「サイサリス」。「今日もありがとう!俺らが一緒に考えて、お腹を痛めて生み出した音楽。皆が描き出した声、俺たちのライブを何色にも染め上げてくれる」とKOKIが語ると、会場は赤色のライトに染まる。激しく頭を左右に振る。歌詞にある「からみつく」のように、観衆もKOKIも腕で絡みつく。激しさを伴ったまま最後まで走り抜けた。最後に投げキッスを送って「ありがとうINKTでした」とステージを後にした。

ツアーにかけたメンバーの想い

[写真]INKT初ツアー完遂(1)

熱唱するKOKI

 凄まじいアンコールが会場に響き渡る。Tシャツ姿で再び登場するメンバー。見渡すKOKI
「アンコールありがとう! ツアーの前にブラジルに行って来て。そのカバー曲を特別に歌わせて頂きます」と語って、テレビアニメ『進撃の巨人』のオープニングテーマ「紅蓮の弓矢」(Linked Horizon)を披露した。

 INKTはインタビューで「『サイサリス』はライブで完成する」と言っていたが、ファンと共有する時間が長くなればなるほど楽しめるポイントが増える。結成から1年9カ月、CDデビューから9カ月。「バンドやろうぜ!」というノリでスタートしたINKTはCD制作、ライブを経験することで磨いていった。そうした意味においては、今回のツアーはそれを実現するに相応しい環境でもあった。その思いはこの後のメンバーの挨拶にも込められていた。

 ◆Kei(GUITAR、リーダー) すごく良い感じ!楽しいですか!良い汗も流せてデトックスできてるね。今回のツアーで4キロ増えたけど、体脂肪は6%落ちた。キレイに、そして可愛くなるのがINKTのライブ。元気になってくれると嬉しい。初のツアー。集まってくれて嬉しい。有難う。僕たちのことを支えてくれるから前に進める。「INKTの事を好きなってくれる皆に良いライブみせたい。一つになれたら嬉しい」と、ツアー前に最初に始めたのがそれ。「良かった」と言ってくれると救われる。まだ力不足だったこともあって会場を埋めることはできなかったけど、次こそはもっともっと人を集めて、汗かいて楽しめるように。ソールドアウトしたら「なんであのツアー来なかったんだよ!」、「すげえ良かった」と言えるのはお前らだけだ。

 ◆kissy(KEYBOARD) 盛り上がってますか!すげえ盛り上がている!初めてのツアーでファイナル。これは最初で最後しかない場所。皆と一緒に演奏できたことが嬉しい。今までの集大成。7公演を回ってきて、今までで一番盛り上がった。今回のテーマは「進化」。試行錯誤して演出や声出すところタオルまわすところとかも考えた。勝手に前に出て。皆も感じ取ってくれた。2回目以上という人はINKTの進化を肌で感じたと思う。初めて見た人も楽しんでくれていると思う。声援があってこそ僕らがここにいれる。みんなのおかげ。大阪で飴ちゃんまいたら好評だった。だから配ります。

 ◆SASSY(DRUMS) Keiさんが僕らの想いを言ってくれたけど。このライブは、バンドとして始動していたけど、バンドの形態とも違くていきなり音源をもってライブ。右も左もわからないままやり出した。参加型バンドというのかな。皆と一緒に作っている感じがする。気持ち的に怖いと思うところもあった。初めてライブに来たお客さんのなかには「なんだこんだもんなのか」と思われているんじゃないかなって。でも、ここに来てくれたお客さんたちはふるいにかけられたファン(笑い)。最後までできたことが感慨深い。チームが出来上がった感じもする。会場の皆と作っている。もっとガツンと進化していきます。

 ◆mACKAz(BASS) 皆には感謝しかない。ステージの上からこれだけの笑顔が見れる。今日初めてINKTを見た人にはこう言いたい。「初めましてINKTです」。2回目以上の人には「久しぶり!」。回を重ねるごとに歌ってくれて、踊ってくれて、タオルを回してくれて右肩上がり。自分の成長は自分では分からない。でも、みんなが声を出してくれると実感する。ファイナル、これだけの人に来てもらって。皆の歌声が聞こえた。一番タオルを振ってくれて、鼻がむずむず。有難うございます。

 メンバーがそう語るとKOKIは「本当感謝しかない」と述べてから「感謝の想いを込めて発表があります。冬にツアーが決まりました。年末ツアー。今までに行ったことがない場所に行くので。地元でINKTが見れるぜ。遠くて残念ながら見れなかった人にもお知らせして。みんなにかかってます」と12月から全国ツアー開催することを発表した。

 それぞれ想いを語ったところで、KOKIは「アンコールで出てきたからこんなじゃ帰さないぞ!」と言って、「The Gift」「Iron Heart」を披露した。確実に進化を遂げている彼ら。記者はライブ後に楽屋を訪ねた。メンバーの顔には清々しさがあった。ツアーをやり遂げたこと、そしてファンの表情から確信が持てたこと、その達成感にあふれているようだった。  (おわり)

セットリスト

M1 Wanderlust
M2 Fight For Freedom
M3 A Whole New World
M4 Past & Future
M5 FTW
MC
M6 Hide and Seek
M7 Flower of life
MC
M8 Nobody Knows 
M9 Dreamcatcher
M10 Survior
M11 Shangri-La
M12 45'
M13 Trigger
M14 サイサリス

EN1 紅蓮の弓矢
EN2 The Gift
EN3 Iron Heart

INKTライブハウスツアー『Re:birth of INKT TOUR2015-2016』

▽日時 12月5日(土)OPEN 16:30/START 17:00
▽場所 埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
※問い合わせ:ディスクガレージ(050-5533-0888)

▽日時 12月12日(土)OPEN 16:30/START 17:00
▽場所 宮城・HooK SENDAI
※問い合わせ:ニュース・プロモーション(022-266-7555)

▽日時 12月13日(日)OPEN 16:30/START 17:00
▽場所 新潟・Live Hall GOLDENPIGS-BLACK STAGE
※問い合わせ:FOB新潟(025-229-5000)

▽日時 12月20日(日)OPEN 16:30/START 17:00
▽場所 福岡・福岡DRUM SON
※問い合わせ:GreeN Music(092-714-0230)

▽日時 12月21日(月)OPEN 18:30/START 19:00
▽場所 広島・広島ナミキジャンクション
※問い合わせ:夢番地 広島(082-249-3571)

▽日時 12月23日(水・祝)OPEN 16:30/START 17:00
▽場所 大阪・umeda AKASO
※問い合わせ:グリーンズコーポレーション(06-6882-1224)

▽日時 12月26日(土)OPEN 16:30/START 17:00
▽場所 愛知・名古屋Electric Lady Land
※問い合わせ:名古屋Electric Lady Land(052-201-5004)

▽日時 1月4日(月)OPEN 16:30/START 17:00
▽場所 東京・渋谷CLUB QUATTRO
※問い合わせ:ディスクガレージ(050-5533-0888)

■チケット料金 全公演共通
▽前売 5000円(消費税込み/ドリンク代別)
▽当日 5500円(消費税込み/ドリンク代別)
※オールスタンディング
※小学生以上有料/未就学児童無料

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