INKT、熱狂という接吻 感情をぶつけ合ったツアーファイナル
剝き出しの感情をぶつけ合ったINKT LIVE HOUSE TOUR 2016ファイナル
INKTが11月中におこなってきたツアー『INKT LIVE HOUSE TOUR 2016』、そのファイナル公演が11月19日、東京・渋谷のTSUTAYA O-WESTで開催された。
そのライブはKOKIの絶叫から幕を開けた。昂る感情を突き付けるように歌うKOKI。彼の意志を熱した音と感情で支えてゆく演奏陣。INKTが「Let me hold you」を通し叩きつけた衝撃。理性を忘れ、熱くなることがこの日のルール?! その想い、しかと受け取った。
ほとばしる感情を抑えきれずに、いや、吐き出さずにいれないとばかりに身体を激しく揺さぶるKOKI。勢いを携えたまま演奏は「Fight For Freedom」へ。挑発してゆく?!、いや、彼らは戦いを挑んでいた。この気迫に、お前ら何処まで本気でぶつかってこれるのか?! と言わんばかりに…。
「おい、ここがスタートラインだからな。ここから下がるなよ、ここから右肩上がりに盛り上がっていくぞ!!」。KOKIの煽りに続いて流れたのが、疾走するラウドな演奏の上で、力強い想いを突き付けた「A Whole New World」。身体がバラバラに張り裂けんくらいの勢いを持ってぶつからないと、みずからの理性をキープなど出来ない。いや、理性なんて壊してしまえばいいことか。もっともっと場内が熱してこそ、舞台上もフロアーもあるべき自分になれる。KOKIに合わせ場内から飛び交う歌声、そう、これがライブというものだ。
「今日、この日で3年が経ちました。2年前もここに立って、またここに沢山集まってくれてライブが出来るのも、みんなのおかげです。自分が昔、いじめられていたときのことを思い返して書いた歌。嫌なことも貴重な経験だし、それが今の自分だと思ってる。心から最強といえたら」。
「Ugly Duckling」は、KOKIの内なる感情を解き放つように歌った楽曲。次第に熱を帯びてゆく演奏の上で、揺れる感情のままにKOKIは歌い続けてゆく。そのひと言ひと言に熱を感じるのも、それだけリアルを持った言葉だから?!
気持ちを開放するように、心を束縛から解き放つように「Past & Future」が響きだした。その歌や演奏は、気持ちを嬉しく高みへ連れてゆく。けっして派手でも激しい楽曲でもない。むしろ、シンプルかだからこそ、詰め込んだ想いが感情にグサッと突き刺さってきた。
熱いメッセージを感情的な歌声にのせ、INKTは「Nobody Knows」を解き放った。歌声が、想いがスーッと胸に響きながら、同時に、開放的な歌に喜びを覚えてゆく。光をつかむ感覚?!。この歌に、そんな嬉しい手応えと意識を覚えていた。
「まだまだ暴れられるか!!」。スリリングでハードな音が炸裂。なんて身体を嬉しく掻きむしる歌と演奏だ。心地好い緊張感と高いテンションを持った「Wanderlust」が、熱した感情をもっともっとと沸騰させてゆく。何処まで熱狂すればいい?! そんなの失神するまで上がっていけばいいんだよ。そんな気持ちにさせるほど、ラウドな音に激しく酔い狂っていた。
ラップ&ラウドな「FTW」を激しく突き付けながら、INKTは場内に黒い熱狂を染み渡らせてゆく。気持ちが踊る?!。さらにさらに爆発したいとばかりに感情が沸き上がってゆく。何時しか飛び跳ねるメンバーらの動きに合わせ、一緒に飛び跳ねる人たちも場内に大勢生まれていた。
ほとばしる熱を、昂った感情を抑えるなんて出来やしない。誰もがKOKIの煽りに合わせ、<WOWOWOWOWOー!!♪>と歌い叫んでいた。INKTの演奏が、興奮と恍惚の頂点へと熱狂を持って連れ出した。暴れ狂う観客たち。そこにはすでに理性なんてものは存在しない。いや、そんな洋服を脱ぎ捨てなきゃ、ここにいる意味がない。熱した観客たちの感情へ笑顔の花を咲かせ加えるように、とても開放的な「Shangri-La」が流れた。掲げた右手を想い入り左右に振りながら、満面の笑顔で歌いかけるKOKI。その動きにシンクロするよう、場内を埋めつくすように無数の手の穂が大きく揺れていた。
この日は、ブラジルやフランスから訪れた人たちも。続く「東京」は、出会いと別れを通して感じた想いを記したミドルバラード。ひと言ひと言を触れた人たちの胸に響かせるようにKOKIは歌いかけてゆく。その言葉に確かな真実があるからこそ、歌声や演奏がジンと胸に染み込んでゆく。その言葉たちに、さまざまな想いが心の中を駆け巡っていた。
「もっといろんな景色を見せたいし、その自信を俺は持って演っている。俺らの音楽を完成させてくれますか?!。かかってこい!!」。KOKIの言葉に続いて身体へ襲いかかったのが、猛々しい感情のままに疾走する「サイサリス」だ。舞台最前線まで踊り出ながら観客たちをけしかけてゆくKOKI。気迫?! いや、魂と魂をぶつけあうことが何よりも大切なこと。その姿勢をINKTは、荒ぶる音に乗せ示していた。
会場中の人たちがタオルを振りまわし絶叫の声を上げながら、熱狂に溺れた「45’」。凛々しく、激しく攻めてゆく姿勢に、気持ちが嬉しく武者震いたってゆく。
ラウドな音の衝撃が、気持ちを荒ぶらせた。「The Gift」に触れながら、<WOWOWOW♪>と声を上げずにいれなかった。上半身裸になったKOKIが煽り続ける、<WOWOWOWOWWOW♪>と。その雄叫びは、互いの気持ちを一つに結びつける最強の言葉だ!!
共に作り上げた熱狂へエールを送るように、INKTは最後に「Yell」を届けてくれた。会場中の誰もが、もちろんメンバーたちも演奏に合わせ飛び跳ねながら、一つに溶け合ったこの瞬間を永遠の記憶としてしっかり心に、身体に刻み込もうとしていた。笑顔で手を振るファンたちの姿を見ていたら、そんな気持ちにさせられた。「何時だってお前らの側にいたいんだ!!」。その叫びが、熱く熱く胸に突き刺さってきた。
ギターのKei、ベースのmACKAz、ドラムのSASSYによるセッションからアンコールはスタート。そのまま演奏は「Trigger」へ。荒ぶる感情を撃ち放つように轟く音の数々。感情がどんどん熱く昂ってゆく。INKTの弾いた引き金は、あまりにも嬉しい狂喜と熱狂に満ちていた。
「自分の人生だと思っていたものが失くなった…俺、みんなとさして変わんねぇと思ってるし、同じように悲しむし、むかつくし。でもここは、ロックは自由だと思ってるし。俺は自由に生きてるぜと思ってる。それくらい濃厚な人生を送ってるから俺は負けねぇと思ってる。ロックが人生と言うならば、俺は、そのロックに全部賭けるつもりでいるし、俺は120%でやるし、みんなに何かを伝えたらなと思ってやっている。みんな嫌なことがあったら逃げればいい、負けなきゃいいんだから。でもみんなが何かを感じたり求めてくれるなら俺は逃げないし、その姿勢を見せていきたい。嫌なことがあったらここに来てくれ。俺らが絶対に支えるし、助けるし、希望を与えるからさ。みんなに何かを届けようと思ってるし、すげぇものを見せるから。最後に一つになって帰ろうぜ!!」
その言葉を示すよう、最後にINKTは開放的な超ポジティブナンバー「letter」を届け、会場中の人たちと心を一つに抱きしめあっていた。KOKIと交わす大きな合唱の声。一つになる…それは裸の感情を互いにさらしあうこと。それを全力で相手にぶつけること。それを互いに笑顔で受け止めたとき、本当に一つになれた喜びを……この舞台に、会場に、INKTのライブに感じていた。
この熱狂というキスを全身で、心で感じたいなら、INKTのライブに足を運べばいい。ただ、それだけでいい。(取材・長澤智典)