INTERVIEW

菅井友香

「セリフ全てが挑戦だった」映画『女神降臨』撮影の裏側


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:25年03月20日

読了時間:約9分

 菅井友香が、映画『女神降臨』(3月20日公開)に出演。主人公・谷川麗奈を演じるKōki,の同級生で、麗奈をライバル視する川島愛美を演じる。韓国発の大ヒットWEBマンガ「女神降臨」(yaongyi 著)を映画化。本作は前編となる『Before 高校デビュー篇』(3月20日公開)と後編『After プロポーズ篇』(5月1日公開)の二部作。「なりたい自分」を叶えるために、メイクで人生を変えた女の子の‟恋“と‟夢“を追いかける、17歳から25歳までの9年間の物語。‟わかりみ“と‟憧れ”の詰まったメイクアップ・ラブコメディ。インタビューでは、櫻坂46の初代キャプテンで、卒業後は俳優業を中心に活動する菅井に、自身のコンプレックスを敢えて活かして撮影に臨んだことや、Kōki,からもらった干し芋が撮影に欠かせないものになっていたという、撮影の裏側に迫った。(取材・撮影=村上順一)

 【写真】菅井友香、撮り下ろしカット

一人の女性として見習いたいと思った

©映画「女神降臨」製作委員会

――本作に出演が決まったときの心境は?

 LINEマンガで配信されている原作が、私の周りでも話題になっていて、私も夢中になって読んでいました。それが日本で映画化することに驚きましたし、愛美役で出演させていただけて嬉しかったです。今まで出会ったことがないキャラクターを演じさせていただけることが嬉しかったですし、とにかく頑張ろうという気持ちでした。

――原作を読んでの印象は?

 私もメイクは好きですし、メイクのビフォーアフターがコミカルに描かれていて、恋愛模様にキュンキュンしながら読んでいました。そのキュンキュンの中にも生きる上で大切な、“自分自身をもっと愛そう”というメッセージもあり、「ありのままでいいんだ」と思える素敵な作品でした。

――完成した映画を観て感じたことは?

 麗奈のメイクのビフォー、アフターを大きなスクリーンで見て、ここまでできるんだ! と驚きましたし、なりたい自分に向かって努力していくところ、いろんな人と出会って、人のために動いていくなかで、自分や周りも輝かせる前向きなエネルギーをもらえる作品だと思いました。

――特に好きなシーンは?

 麗奈が俊の家を訪れるシーンが好きです。メイクを通じて人を元気にする、温かい気持ちになりました。

――愛美にアプローチするにあたり、考えていたこと、取り組んでいたことを教えてください。

 Kōki,さん演じる麗奈とは対照的な存在でいられるように、映画版ならではの愛美像というのを模索していました。原作、韓国版ドラマ、そして今回の映画版それぞれの愛美を取り入れられたらいいなと思っていました。原作の愛美はセクシーで、ちょっと意地悪なところ、ドライなところも魅力だなと思ったので、衣裳合わせのときに、髪型も含めて、クールなイメージも考えていました。

 特に意識していたのは、愛美は「自称・女王」ということで、周りからちょっと嫌な目で見られてしまうところもあるのですが、SNSのフォロワーが多かったり、カリスマ性、スター性がある人物です。周りに笑顔で接していく中で、自分が欲しいものを手に入れるためのガッツや行動力はすごいです。好きな人に認められたいけど、それがなかなか叶わないもどかしさや悔しさ、悲しさというのも、自分の中で取り入れたい、大事にしたいと思ったところでした。

――愛美の欲しいものを手に入れる、目標に向かって邁進する貪欲さみたいなところは、菅井さんも共感できたのでは?

 はい。愛美は最初、自分とは正反対な人物だと思っていたのですが、愛美はとても一途で欲しいもののために努力できるところが素敵だなと思い、自分も一人の女性として見習いたいと思った部分でした。後編も含めて愛美の成長、過去の自分と向き合って、人を引っ張っていくかっこいいところも見せられたらと思っていたので、女性からも憧れていただけるような愛美になっていたら嬉しいです。

――今回、9年間のストーリーとなっていますが、学生時代と社会人の愛美をどのように演じ分けましたか。

 私にとって高校生は10年前のことになってしまうのですが、自分が思ったことをまっすぐ突き進めていくフレッシュさや素直さというのを思い出しながらやりました。年齢が上がっていくと心も落ち着いてきたように、愛美もいろんな経験を経てどっしりとした女性になっていきます。見た目や声色も変わっているので、後編ではしっかりした大人の女性に見えるように意識しました。

――本作の前編で見られるご自身の制服姿はどう感じていましたか。

 久しぶりに制服を着させていただいたのですが、ピンクの制服というのは学生時代もグループ時代も含めてなかったので、とても新鮮でしたし、映画を観た方に学生に見えていたらいいなと思います(笑)。

ネガティブな感情を愛美に投影させたいと思った

菅井友香

――麗奈への嫉妬心というのは菅井さんの中でどう解釈して演じられましたか。

 愛美は麗奈の美しさに憧れがあるのですが、俊くんへの想いから、“この人さえいなければ”“自分の方が俊くんのことを知っている”といった、麗奈への嫉妬心や目障りに感じる気持ちで演じていました。

――菅井さんも嫉妬など、そういった感情はありますか。

 憧れからうらやましいという気持ちに変化することはあります。認めてもらいたいといった気持ちが強く芽生えるときがあって、これまでの自分の活動を含めて、どうしたら自分を見つけてもらえるのか? どうしたら評価してもらえるのか? と考えていました。努力が報われなかったこともたくさんあって、悲しかったり、悔しくて自分に対して怒りが湧いたりもするのですが、逆にそのネガティブな感情を愛美に投影させたいと思っていました。

――ご自身の中で挑戦だったことはありますか。

 今回一つひとつのセリフ全て挑戦だったなと感じました。日常ではなかなか言うことがないセリフ、たとえば「虫を駆除しなきゃ」というセリフは、自分が楽しみにしていたポイントの一つでした。最初は闘志メラメラな感じで、撮影に挑んだのですが、監督からは闘士を出すよりも、余裕な笑みを浮かべてセリフを言った方が逆に怖くなるとアドバイスをいただいて、いろいろなパターンにトライしました。

――愛美を演じていく中で、新たな発見はありましたか。

 ライバル心が強い役というのは初めてだったのですが、演じていてとても楽しくて、普段は絶対できないこと、社会を生きていく上で抑えるような気持ちや行動を役を通してやってみてスカッとしました。こういう役に出会えて本当に良かったですし、もっと挑戦していきたいという気持ちが芽生えたのは発見でした。

 また、今まで自分の目があまり好きじゃなかったんです。きつい表現などグループ時代に強い曲をパフォーマンスするときは良かったのですが、ちょっと自分の目がきつく見えるんじゃないかと思っていて。今回あえてそれを役でいかせたらいいなと思いました。役を通して自分が今までコンプレックスだと思っていたこともどんどん出していきたいと思いました。

Kōki,から干し芋をプレゼント

菅井友香

――Kōki,さんと共演して感じたことは?

 現場でのKōki,さんはとても明るくてお話ししやすく、私も楽しい時間を過ごさせていただきました。学校で撮っていたときは、教室が控え室になっていて、お昼の休憩時間ではKōki,さんと一緒にお昼ご飯を食べたりもしました。日数的にはあまりご一緒できなかったのですが、とても深いお話ができました。

――撮影は大変だったと思うのですが、今回の撮影を乗り切るためのアイテムなどはありましたか。

 私、干し芋が大好きなんです。私が現場で干し芋を食べていたらKōki,さんが、「私も干し芋、大好きなんです」と話しかけてくださいました。次にお会いしたときに「これ美味しいからおすすめだよ」とおすすめの干し芋をプレゼントしてくださって、食の好みがすごく似ていて嬉しかったです。食べてしまうのが、もったいなかったのですが、美味しくてあっという間に全部食べてしまいました(笑)。

――菅井さんが食べたことがない干し芋だったんですね?

 はい。食べたことがなかったものでした。いただいたのは、とても体に良さそうな素敵な干し芋で、新しい発見がありました。私も何かお返しできたらと思って、自分が好きな干し芋を買い集めてお返ししました。

――Kōki,さん演じる麗奈とライバル関係ですが、菅井さんがライバルだと思っている人はいますか。

 ライバルは自分です。弱音を言ってしまう自分がいるのですが、常に今の自分を越えていきたいと思っています。固定観念にとらわれず、柔軟に何でも受け入れながら、新しい自分に出会えるように、前向きにチャレンジしていきたいです。

――今回の舞台は学校ですが、もし菅井さんが学生時代に戻れるとしたら、しておきたいことはありますか。

©映画「女神降臨」製作委員会

 私が通っていたのは女子高だったのですが、女子高ならではの青春を味わえたと思っています。ただ、少し後悔しているのは、もっとしっかり授業を聞いておけばよかったことです(笑)。頑張って授業は聞いていても、だんだん眠くなってしまい、途中からノートが書けなくなったり、隣の席の子とおしゃべりをしてしまうこともあったので、もっと授業に集中して、わからないことは先生に恥ずかしがらずに聞きに行けばよかったなと思います。学べる環境のありがたさというのを大人になって実感しています。

――作中で愛美は「自称女王」ですが、菅井さんが「自称●●」とつけるとしたら?

 「自称料理上手」かなと思っています。私を知っている方は、料理はできないんじゃないか、というイメージがあると思うのですが、ちゃんとレシピを見ればできるんです。肉じゃがやカルパッチョはけっこう美味しく作れたので、「自称料理上手」にさせていただきます(笑)。

――本作は主人公の麗奈と出会うことで、人生が大きく変わっていくストーリーですが、菅井さんの人生を大きく変えたものは?

 所属していたグループです。19歳のときに、学生時代にオーディションを見つけて、この世界に飛び込んで、今年で10年になるのですが、10年も続けさせていただけるとは当時思っていなかったので、思い切って飛び込んで本当によかったなと思います。私を見つけて応援してくださった方々には感謝してもしきれないです。

――“なりたい自分になる”というキャッチコピーがありますが、菅井さんはどんな人になりたいですか。

 いつも上機嫌でいられる方です。人生を楽しんでいる方々とか、年齢を重ねてどんどん輝きが増されている方とお会いすると、とても素敵だなと思います。いつも笑顔でいられるようにしたいです。

(おわり)

菅井友香

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村上順一

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