ロックシンガーの矢沢永吉が14日、東京・日本武道館で『EIKICHI YAZAWA CONCERT TOUR 2023 ~Welcome to Rock'n'Roll~』の東京公演を行った。この日は前人未到の日本武道館150回目の公演で、代表曲「止まらないHa~Ha」などをパフォーマンスし、ロックスターの真髄を届けた。(※ネタバレあり)

 9都市全18公演をまわるアリーナツアー『EIKICHI YAZAWA CONCERT TOUR 2023 ~Welcome to Rock'n'Roll~ 』は、11月11日宮城・ゼビオアリーナ仙台からスタート。現在ツアーは佳境に入り、本公演を合わせて残り6公演。12月24日の横浜アリーナで千秋楽を迎える。

 12月14日の日本武道館は、記念すべき武道館150回目のアニバーサリー公演。1977年8月26日の初武道館から2007年12月16日には100回を数えた。そこから16年、150回を迎えた。開演前から「永ちゃんコール」で大きな盛り上がりを見せている超満員の日本武道館。早くもお祝いムードが漂っていた。

 開演時間になるとバックバンドの演奏に乗って矢沢がステージに登場。1曲目から伝家の宝刀、マイクスタンドを使ったアクションも冴えわたった。矢沢は、「たまんねえよ、たまんねえよ! 150回目の武道館ようこそ! いまから2時間一緒に行こうと思います! 最後までゆっくり楽しんでください」と矢沢のテンションのギアもすでにトップに入っている。衝動を抑えきれない、といったパフォーマンスでオーディエンスを魅了していく。

(C)HIRO KIMURA

 「愛はナイフ」のようなバラードではオーディエンスも先ほどの盛り上がり方とは一転、矢沢の歌声にしっかりと耳を傾け、その世界観に陶酔。

 MCでは、「去年50周年をやりました。改めてこの場で矢沢を応援してくれてありがとう! それが今日150回目の武道館を迎えることができる男として最高だよ!!」と喜びを伝えた。

 「小悪魔ハニービー」では、ブラス隊のゴージャスなサウンドが印象的で、矢沢はフラッグをマントにし、スーパーマンのようないでたちで会場を沸かせれば、ストリングスの包み込むような音色が沁み渡る「Please, Please, Please」と、バンド編成を変化させながら楽しませていく。

(C)HIRO KIMURA

 去年行われたツアーの最後が日本武道館150回目の予定だったが、喉の不調で延期に。悔しそうな表情で、「本番まで時間があったからやるだけやったけど、ダメなときは何をやってもダメだよね」と振り返る。「でも、今年1回目の武道館が150回目。皆さんにまた会うことができました。ありがとう!」と感謝を述べた。

 本編終盤のMCでは、矢沢は「すごくいいメールをもらった」と嬉しそうに語り出した。その内容は“もし生まれ変われるとしたら、また自分に生まれ変わりたいですか”というものだ。矢沢はその質問に言及しながらも、「自分もそのことについて考えたことはある」と話し、照れくさそうに「大変だけどまた(矢沢永吉を)やるよ」と会場を沸かせた。

 初武道館、100回目の武道館公演でオープニングで披露された「カモン・ベイビー」も披露された。オーディエンスもクラップで応戦。ライブ定番曲「止まらないHa~Ha」では恒例のタオル投げも。無数のタオルが宙に舞う圧巻の光景が広がり、武道館はえも言われぬ一体感に包まれた。

(C)HIRO KIMURA

 矢沢の熱いエネルギーは、ライブを体感したものたちの活力になっていることを帰路につくファンたちの表情から感じた。そして、日本武道館150回という偉業は、矢沢が真摯に活動と向き合ってきた証で、矢沢とファンの絆で達成できた記録。それを実感させてくれたステージだった。【取材=村上順一】

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