来年デビュー50周年を迎えるシンガーの矢沢永吉(72)が12月25日、神奈川・横浜アリーナで全国ツアー『I'm back!! ~ROCKは止まらない~』のツアーファイナル公演を行なった。2019年の『ROCK MUST GO ON』ツアー以来、約2年ぶり。ツアーは10月5日の石川・金沢歌劇座公演を皮切りに、12月25日の横浜アリーナまで全国31公演をおこなうというもの。ライブはキャロル時代のナンバー「最後の恋人」や代表曲「止まらないHa~Ha」を含む全22曲をパフォーマンスし、会場に訪れた13000人のファンを魅了した。このライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

とうとう来ちゃったよ。ファイナルの夜が――

ライブの模様(撮影=平野タカシ)

 開演のアナウンスが流れると、観客はSEに合わせ手拍子で矢沢の登場を待ちわびていると、仮面を被った多くのパフォーマーがステージに登場。観客を盛り上げる演出から、黒のジャケットを羽織った矢沢がステージに現れた。そのジャケットを脱ぎ、「ラスト・シーン」でツアーファイナルの幕は開けた。序盤から圧巻の歌声で、早くもクライマックスかのような空間に。マイクスタンドを使ったパフォーマンスも鮮やかで目を奪われる。

 矢沢は「とうとう来ちゃったよ。ファイナルの夜が――」とぽつり。過酷なツアーをここまでロードしてきた矢沢が届けたのは「背中越しの I LOVE YOU」。ついにファイナルまできたという、その気持ちは歌声にも表れていた。熱量の高い歌声がアリーナの隅々まで響く。そして、アコースティックギターを抱えた矢沢が届けたのはキャロルのナンバー「最後の恋人」、「やりきれない気持ち」の2曲を立て続けに披露。ノスタルジックさも相まって胸を打たれる。

 さらにガラッと空気を変えたバラードナンバー「愛しているなら」。スポットライトを浴びながら歌う矢沢。切なさ、儚さが滲み出るその歌声に観客も静かに耳を傾け聴き入る。MCでは「自分でもなんとも言えない気持ちがあります。(ツアー)“31回の山”を越えられるかもしれない。20代、30代の時はイケイケだったけど、その時にないものが今出てきている」と、キャリアに裏打ちされたものがあると語った。その31回という山を一気に登るかのような勢いを感じさせた「恋の列車はリバプール発」。エネルギッシュな歌声を終始轟かせ、熱いステージを繰り広げた。

矢沢永吉(撮影=平野タカシ)

 そして、中盤戦のハイライトとなったクリスマスにピッタリなナンバー「Last Christmas Eve」。聖なる夜を彩るように丁寧にピアニッシモで優しく歌い紡ぐ矢沢。多彩な表現力を感じさせてくれた。間奏ではミラーボールが幻想的な空間を作り上げ、この日ならではの選曲で、我々への最高のクリスマスプレゼントとなった。

 「DIAMOND MOON」を、エモーショナルに歌い上げた矢沢は、「今日はなんかくるね」とツアーファイナルということで、これまでにない何かを感じている様子。そして、「ステージに立てることは幸せなことですね。ここ一番という時に横浜で歌えるというのは、すごく大事なものを感じます」と縁を感じることを述べ、「YOU」をパフォーマンスした。

僕らはそれを越えていける

矢沢永吉(撮影=平野タカシ)

 矢沢とバンドの一体感がえもいわれぬ空間を作り出していた「GET UP」。抑えきれないエネルギーが溢れ、会場に降り注ぐような熱いパフォーマンスを展開。さらに、メッセージ性の強い「だから、抱いてくれ」と、緩急のあるステージで観客を扇情させる。「夜間飛行」では、手拍子を煽る矢沢とそれに応える観客の相乗効果で作り上げていく。その勢いは「BIG BEAT」へと引き継がれ、体を動かさずにはいられない、といったライブならではの臨場感に包まれた。コーラスで参加しているアネットとアージー2人と矢沢の掛け合いもみどころだった。
 
 色気が滲み出たナンバー「AZABU」と「この海に」をしっとりと届けた矢沢は「最初はどういうコンサートになるんだろうとすごく心配でした。このツアーはものすごく色んなことがありました。改めて思ったんですけど、これからも色んなことがあると思いますけど、僕らは必ずそれを越えていけるんだなと思います」と、ツアーを振り返った。メンバー紹介から、ライブは「世話がやけるぜ」でラストスパートへ。ギアをどんどん上げ限界という言葉が当てはまらない矢沢のパフォーマンス。

 「今日はどうもありがとう! 最後にもう一曲いくぜ!」と本編ラストは「PURE GOLD」を投下。感極まり歌に詰まる矢沢の姿が、ここまでツアーを回ってきた想いを切に感じさせ、その目には涙が滲んでいるようにも見えた。

矢沢永吉(撮影=平野タカシ)

 トレードマークの真っ白なスーツで再びステージに登場した矢沢。アンコール1曲目に披露したのは「サイコーなRock You!」。ライブが今スタートしたばかりのような勢いだ。歌声もさらに力強く轟き、そのエネルギーに会場のテンションはさらに高まっていく。ラストはライブ定番曲「止まらないHa~Ha」。この曲は観客がタオルを上空に投げるジェスチャーが有名だが、コロナ禍ということもあり観客はタオルの代わりに曲に合わせて両腕を挙げて楽しんだ。楽曲も佳境に迫ると矢沢は、花道の先端に用意されたトロッコに乗りアリーナを直進。会場中央でのパフォーマンスにボルテージが最高潮。『I'm back!! ~ROCKは止まらない~』は大団円を迎えた。

 あっという間の約2時間。矢沢の歌声、パフォーマンスはこのパンデミックという状況の中、活力を与えてくれた。そして、未来も素晴らしいステージを届けてくれることを期待させるには十分過ぎる一夜だった。最後にスクリーンに投影された「矢沢必ず帰ってきます」というメッセージが、それを確信させた。

セットリスト

01.ラスト・シーン
02.長い黒髪
03.背中越しのI LOVE YOU
04.最後の恋人
05.やりきれない気持ち
06.愛しているなら
07.恋の列車はリバプール発
08.TOKYO ZOO
09.Last Christmas Eve
10.DIAMOND MOON
11.YOU
12.GET UP
13.だから、抱いてくれ
14.夜間飛行
15.BIG BEAT
16.AZABU
17.この海に
18.世話がやけるぜ
19.JEALOUSY
20.PURE GOLD

ENCORE

21.サイコーなRock You!
22.止まらないHa~Ha

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