[写真]UKロンドン注目「Wolf Alice」を考察

注目を集めるUKロンドンの4人組バンド「Wolf Alice」。圧倒的存在感を放つボーカルEllie Rowsell。画像はGiant Peachのミュージックビデオ(ユーチューブより)

 先日3月12日、英ロンドンのオルタナロックバンド「Wolf Alice」の『サマーソニック2015』への出演が発表された。オルタナやシューゲイザー、ガレージロックといった90年代のロックシーンを築いてきた、オルタナティヴサウンド直系のバンドサウンドで注目を集めているWolf Aliceの初となる来日。日本ロックシーンにどのようなインパクトを与えるか、気になるところだ。そこで、ここでは彼らの魅力を紐解いてみたい。

Wolf Aliceとは?

 女性ギターボーカルEllie Rowsell率いる「Wolf Alice」。尖った硬質なサウンドでありながらも、「非常に聴きやすい」といった魅力を持ったバンドだ。ニルヴァーナに代表する「グランジ」のテイストや、ソニックユースに代表する「ノイズ、シューゲイザー」といったサウンドテイストを展開し、イギリスでは「Alternative Rock」(オルタナロック)としてカテゴライズされながらも、とっつきやすいサウンドを聴かせてくれる。90年代オルタナ直系サウンドの中に妖艶な華やかさ、清潔感と気品を感じる印象だ。

 昨年2014年、Wolf Aliceは世界的規模のフェス『グラストンベリーフェスティバル』に出演し、同国イギリスで一気に注目を浴びた。2010年に活動を開始したWolf Aliceのこれまでのリリースには「Blush EP」2013年発表、「Creature Songs EP」2014年発表があり、6月22日には遂にファーストアルバムとして「My Love Is Cool」のリリースが予定されている。シングルカットとしての楽曲「Giant Peach」のPVも今月3月に発表された。


(参考:シングルカット楽曲)

ボーカルEllie Rowsellの圧倒的存在感

 UKはロンドンで活動中の4人組ロックバンド「Wolf Alice」のつかみとしては、何と言ってもボーカルEllie Rowsellの存在感だろう。なんだか気だるそうな雰囲気でフェンダーギターを中段に構える、妙にカッコいい美人のお姉さん。あまりにも威風堂々とした物腰、たまにみせる鋭く気難しそうな表情。見ようによっては少しおっかなくも映るクールビューティー。

 グランジのテイストを基調としたボーカルでありながらも、フォークな柔らかさと艶やかさもある。特徴のあるメロディーをポップに歌い回し聴き手を引き込むその歌唱は、アウトサイダーな魅力と大衆性を拡く兼ね備えている。また、リードギタープレイを神妙につま弾く姿はあまりにも印象的だ。

 Wolf Aliceのバンドビジュアルは非常にUKクールな感じで、「オルタナティヴロックの新鋭」と誌面の見出しにすると、何ともしっくりくるだろう。不安定な動きのギタリストがうつむいてギターをコリコリ擦ったり、かがんで足下の機材を弄りながら轟音を醸す。さっきまで結構おとなしかったのに急に暴れ出す、など、グランジやシューゲイザーのバンドを踏襲したステージスタイル。紳士的なイケメンといった面々に、神秘的な紅一点Ellie Rowsell。バンドとしての見た目には、気品が漂う中にも只者ならぬ空気感がある。

90年代ロックファン必聴のサウンド

 リアルタイムで90年代のイギリス圏を初めとする、オルタナティブシーンの音楽を聴いてきたロックファンにとって、Wolf Aliceというバンドはドキッとするサウンドだ。ソニックユースやナインインチネイルズ、ポーティスヘッドなど、グランジやオルタナ、ポストロックというシーンを産み出し確立し、混沌の中で過ぎ去った怒濤の革変期1990年代。その環境下で生まれ育ったWolf liceのメンバー。90年代の色濃いサウンドを更なるバージョンアップをもってして2010年代に展開する。

 只の「90年代サウンドオマージュの若手バンド」とは決して表現出来ない。Wolf Aliceはこれからどの様なロックを産み出し、心躍らせてくれるのだろうか。

 ロンドンのインディーズシーンから飛び出したWolf Alice。デビューから待ちに待った1stアルバム「My Love Is Cool」のリリース、更には初来日となる『Summer Sonic 2015』8月15日・16日のライヴパフォーマンス、この夏必見のバンド「Wolf Alice」の動向には要注目だ。  【平吉賢治】

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