今年のサマーソニック'15でヘッドライナーを務めるTHE CHEMICAL BROTHERS(ケミカル・ブラザーズ)。過去のフジロックに多数出演した経緯のある、言わずとしれた「フェス常連」だ。THE CHEMICAL BROTHERSは、ハウス、ブレイクビーツ、ドラムンベースにレイヴ、ビッグビートにHIP HOP、アンビエント、ありとあらゆるエレクトロ系の音楽を駆使する、ダンスミュージック・クロスオーバーの大御所。活動開始から20年以上、常にエレクトロシーンの最前線に鎮座しフロアを湧かせるケミカル・ブラザーズは、国内外にて絶大な評価と人気を誇り、ダンスミュージックシーンに多大な功績を残し続ける。今年の『サマーソニック2015』で大トリ「ヘッドライナー」を務めるケミの軌跡と珠玉の名曲達をここで軽くおさらいしワクワク感を膨らませつつ、来るフェスに臨みたい。

THE CHEMICAL BROTHERS

 トム・ローランズ(Tom Rowlands)とエド・シモンズ(Ed Simons)の2人で活躍するケミカル・ブラザーズといえば「ロックとエレクトロミュージックの融合」。世界的飛躍の契機となった1997年発表アルバム「Dig Your Own Hole」を聴けば、そのロッキンエレクトロっぷりは一聴瞭然。以降も様々なエレクトロサウンドをロックなアプローチで展開し、各国で精力的にライヴ、DJセットでのパフォーマンスを行う。洪水の様なエレクトロサウンドと幻想のビジュアルプレイで魅せるステージは圧巻の一言だ。また、元オアシス「ノエル・ギャラガー」やTHE FLAMING LIPSの「ウェイン・コイン」、ニュー・オーダーのバーナード・サムナーやラッパーのQ-Tipなどなど、各方面のボーカリストとのコラボレーションでも話題を集める。

ケミカル・ブラザーズの珠玉の名曲をおさらい

 ここでTHE CHEMICAL BROTHERSの代表曲、珠玉の名曲を改めて確認しておき「この曲はここがイイ!この曲とあの曲は演ってもらわなければ本当に困る!」という熱気を膨らませるべく、フェスを10倍も100倍も楽しという目的で、ケミの曲を一部おさらいしていこう。

「Hey Boy Hey Girl」

 これほど分かり易いダンスミュージックが他にあるだろうか、というくらいシンプルにツボをおさえてくれるケミカルブラザーズの代表曲。「Hey Girl, Hey Boy, Superstar DJs, ….Here we go!」のサンプリングボーカルの繰り返しと、4つ打ちアシッドハウス。おおまかにこれだけで構成されているのだが、とにかくシンプルにカッコ良い!ケミカル・ブラザーズをまだ聴いた事が無いという方には、まずはさわりとして最初にオススメしたい曲だ。

※1999年発表「Surrender」収録作品
「Let Forever Be」

 こちらも1999年の曲。ビートルズの楽曲からドラムフレーズを豪快にサンプリングし、ボーカルには元オアシスのノエル・ギャラガー(現ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ)を迎えて繰り出すというケミ必殺のコラボレーション楽曲。ビートルズの原曲(Tomorrow Never Knows)で聴けるサイケデリックな雰囲気を更にアップデートさせたロックなダンスビートと、一つのベースフレーズ上で歌い上げるノエルのボーカルの相性は抜群。この組み合わせに、逆回転音声、パンニング(音をスピーカー左右に揺らす効果)、デジタルなエレクトロサウンド手法で融合させる妙技はケミカルブラザーズならではだ。リリース当時、日本の企業CMにも起用された曲で、「聴いた事ある」という方も多いのではないだろうか。

※1999年発表「Surrender」収録作品
「Brock Rockin' Beats」

 1997年アルバム「Dig Your Own Hole」のトップを飾るロッキンダンスナンバー。ドラムの音をこれでもかと言うくらい派手に太く仕上げて組み立てられたバキバキのブレイクビーツ。70年代のクラッシックロックを匂わせる「ギターリフ」的なループフレーズ。これが延々5分以上ループし、エレクトロサウンドの、サイレンの如き咆哮を交え繰り返される大迫力のビッグビートは必聴だ。「ロックとダンスミュージックの融合」とケミが評される由縁は、この「Brock Rockin' Beats」を聴けば、「なるほどね」とご納得頂ける事が約束できる程。

※1998年グラミー賞「Best Rock Instrumental Performance」受賞作品
「Star Guitar」

 サマソニの様な大規模ロックフェスの為にある様な楽曲「Star Guitar」。野外フェスでケミカルブラザーズがこの曲を披露しなかったらめっぽうガッカリしてしまうという方は多々居られる事だろう。冒頭から、踊る衝動を徐々に煽り立てるクラップ(手拍子の音)。その絶妙なアクセントは、もはや楽曲のメインとなるパートといって過言ではないだろう。6分以上ある大曲ながら体感的には遥かに短く感じるという、ダンスミュージックとして完璧な展開を持った美しいハウスナンバー。この楽曲の幻想的なシンセサイザーサウンド、後半のサラウンドの様なコーラスが誘う美しい時空世界。踏み入れたStar Guitarのその時空世界からは、そこから本当に帰りたくなくなってしまう。

※2002年「Come With Us」収録作品
「Galvanize」

 冒頭の強烈なSE から中東音階のサイケデリックなオケフレーズ。曲開始からたった5秒で掴まれる。絶好のミドルテンポHIP HOPビートに米ラッパー「Q-Tip」の実に取っ付きやすいRAP。全てのパートとグルーヴがこれ以上ないバランスで絡み合う、ケミカル・ブラザーズのシングル曲の中でも特筆すべき、恐るべく完成度を持つ楽曲だ。エレクトロミュージック、ダンスミュージックに殆どまだ触れていないという方であろうが、この「Galvanize」という楽曲の前では、その魅力に5秒で掴まれるのではないだろうか。

※2006年グラミー賞「Best Electronic/Dance Album」部門、「Best Dance Recording」部門ダブル受賞
「Swoon」

 ギターのリフフレーズから思いついて仕上げたというこの楽曲。ケミお得意の「1フレーズ推し」からの縦横無尽なエレクトロサウンドの洪水、これでもかというくらいの容赦無きドラマッチクな展開。美麗なコーラスワーク。幻想的なキラキラ感を全開にポップに仕上げた様な「正にTHE CHEMICALBROTHERS!」というロッキンエレクトロチューンだ。この楽曲もまた、「Star Guitar」に並びフェスにはうってつけの曲だろう。

 ケミ期待のニューリリース、オリジナルフルアルバムは2010年の『Further』以来5年ぶりとなる。今年7月発売の新作のタイトルは『Born In The Echoes』。今年も日本の夏フェスに降臨するTHE CHEMICAL BROTHERSのステージに更なる期待がプラスされる新譜リリースだ。  【文・平吉賢治】

THE CHEMICAL BROTHERS オリジナルアルバム発表作品

1995年「Exit Planet Dust」
1997年「Dig Your Own Hole」
1999年「Surrender」
2002年「Come With Us」
2005年「Push the Button」
2007年「We are the Night」
2010年「Further」

2015年07月17日リリース 「Born In The Echoes」収録曲

01. Sometimes I Feel So Deserted
02. Go
03. Under Neon Lights
04. EML Ritual
05. I’ll See You There
06. Just Bang
07. Reflexion
08. Taste Of Honey
09. Born In The Echoes
10. Radiate
11. Wide Open
[Deluxe only]
12. Let Us Build A City(Bonus Track)
13. Wo Ha(Bonus Track)
14. Go(Extended Mix) [Bonus Track]
15. Reflexion(Extended Mix) [Bonus Track]

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