INTERVIEW

安部若菜

アイドルとオタクの禁断の恋を描いた小説に込めた思い「一緒に夢や恋に悩んでほしい」


記者:ポッター平井

写真:ポッター平井

掲載:22年11月25日

読了時間:約10分

 NMB48の最新シングル『好きだ虫』の選抜メンバーで、テレビやラジオ番組などでも活躍中の安部若菜(愛称:わかぽん)が、初めて執筆した小説『アイドル失格』(KADOKAWA)を11月18日に出版した。現役アイドルの彼女が選んだテーマは、「アイドルとオタクの恋愛」。どんな物語が展開され、どんな結末を迎えるのか、興味深い1冊であることは確かだ。今回は、小説発売直前の11月9日、NMB48劇場にてインタビューを敢行。「アイドル」に加えて、「落語家」や「YouTuber」など、多くの肩書きを有する彼女のそれぞれの一面を掘り下げつつ、「小説家」としてのデビュー作について、たっぷり語ってもらった。【取材・撮影=ポッター平井】

安部若菜のプロフィールの疑問を解決

――わかぽんの公式プロフィールで気になっている部分をお聞きします。「好きな食べ物:パフェ、インドカレー」とありますが、そんなイメージは全くないです(笑)

(笑)“パフェキャラ”を目指していた時期もあったんですけど、財布とカロリーの都合ですぐにあきらめました(笑)。でも、甘い物は大好きで、インドカレーもプライベートではよく食べに行きます。

――私の中のイメージでは「好きな食べ物:和食(サバ、味噌汁)」です。

 好きな食べ物のところだけ、アイドルらしさを残しておこうと(笑)

――確かに「特技:円盤投げ」は、アイドルらしくはないですけど(笑)

 NMB48に加入した時から、そこだけは一貫して…

――自己紹介のキャッチフレーズも円盤投げが由来ですよね?

 そうです。「くるくるまわして投げちゃうで~」の部分ですね。

――中学時代に陸上部で円盤投げをやっていたという話は聞いていますが、その映像を観たことがないので…

 加入して数ヶ月ぐらいの時に、YNNさんで一度だけやったことがあるんですけど、それ以降は披露したことがないです。

――今、「円盤投げをやってみて」と言われたら、出来る自信はありますか?

 それなりには出来ると思うんですけど、筋力もなくなって、衰えていると思います。

安部若菜

ターニングポイントは「落語」

――わかぽんは多趣味で肩書きが多いので、それぞれの肩書きを掘り下げていきたいと思います。まずは核となっている「アイドル」について。AKB48グループの第3回ドラフト会議で、NMB48チームNの5巡目で指名されて加入しましたが、デビュー当時を振り返って、「全く人気がなかった」と語っていました。

 握手会も5人ぐらいとか、ずっとガラガラの時期が続いていた記憶があります。

――選抜メンバーを決める投票イベント「NAMBATTLE2~愛~」では4位にランクインするほどの人気メンバーにまで“のし上がった”と思います。手応えを感じ始めたターニングポイントはいつ頃ですか?

 (2018年12月1日に)NMB48劇場で初めて落語を披露したことが大きなきっかけだったと思います。それからだんだん握手会に来てくれる人も増えましたし、「落語をしている子」ということで覚えてもらえたので。

――9月に行われた12周年ライブでは、センターで披露した曲も多かったですね。

 私がセンターの曲からライブが始まる日が来るとは思っていなかったので、いまだに信じられないです。今でも私でいいのかな?って、弱気になることもあるんですけど、そういう評価をしていただいていることも受け入れたいと思っています。

――センターを経験したメンバーからは「責任を感じて、プレッシャーが大きい」という話をよく聞きます。

 もちろん私もそう感じます。「ライブ怖い~!」って泣いたりした時もあったんですけど、いざライブが始まったら、センターで歌うのは気持ち良いです。最近、『甘噛み姫』のセンターをさせていただくことが多いんですけど、「『甘噛み姫』のわかぽん、めっちゃ好き!」って、たくさん言っていただいたりして、ちょっとずつ自信がついてきました。

――わかぽんのパフォーマンスを観ていると、「この曲のメッセージを伝えたい!」という熱量を感じます。そこは意識していますか?

 以前、小嶋花梨さんと上西怜さんに「自分のパフォーマンスの良さがわからない」という話をした時に、「わかぽんはガムシャラなのがいい」って言っていただいてから、このままでいいんやと思って、自分の素直な気持ちのままパフォーマンスするようにしています。

――ダンスの先生から、レッスン中によく「ダンスが変だ」と言われるそうですが、本番のステージでは全く感じません。

 『夢は逃げない』という曲で、走る振付があって、ずっと「ださい」と言われ続けていたんですけど、この間、「ださくなかった」って言ってもらえて、すごく嬉しかったです。

安部若菜

ラジオのおかげで人見知りも改善

――先ほど、落語がターニングポイントになったという話もありました。もともと落語が大好きだったそうですが、実際に落語をやってみて、いかがでしたか?

 NMB48劇場で初めて披露した時は、一人でステージに立つのも初めてで、今までで一番緊張した瞬間だったと思います。それがあったから度胸もついたし、普段なにげなく聴いていた落語が、こんなにも奥深くて難しいものだったんだって気付いて、落語をより好きになりました。

――天満天神繫昌亭やテレビ番組でも落語を披露しました。その実績があるので、堂々と「落語家」という肩書きも掲げていいのでは?

 いやいやいや、恐れ多いです。落語を好きな分、「落語をやっています」って言うのが恥ずかしいというか申し訳なくて、「趣味でやっています」って小さい声で言うようにしています(笑)

――「グラビアアイドル」という肩書きもありますが、最近はお休み中ですか?

 そうですね。またやりたいなと思っているんですけど、タイミングを見ています(笑)

――わかぽんのグラビアを見て、ファンになった方も多いと思います。

 初選抜入りしたタイミングで初グラビアがあって、その流れも良かったんじゃないかなと思います。ファンの方から「雰囲気が好き」って言ってもらえることが多くて、それが武器なのかなって。でも、自分ではあまりピンと来ていないです(笑)

――「人妻感がある」とよく言われていましたが、最近は言われなくなりましたよね?

 髪を切ってからあまり言われなくなりました。でも、インスタとかで普通に投稿しただけで、「人妻っぽい」って言われたりして、ちょっと複雑な気持ちです。若いやろ!って思っています(笑)

――ゲーム実況系の「YouTuber」という肩書きもあります。

 もともとゲームが大好きなので、自分が楽しむついでに皆さんに見てもらえるのは、一石二鳥やなって(笑)。「ゲーム実況から好きになりました」というファンの方も多いので、やってよかったなと思います。

――ゲーム実況以外の動画をアップしようという構想はありますか?

 最近、Vlog(ブイログ)にハマっていて、Vlogを撮りたいと思っているんですけど、編集が出来ないので、誰かやってくれる方がいたら、載せてみたいです。

――そして、「ラジオパーソナリティ」という肩書きについて。私もご一緒させていただいている『NMB48のTEPPENラジオ』(MBSラジオ・毎週土曜21:45~22:00)のレギュラーパーソナリティに就任したのが21年4月なので、1年半たちました。

 就任させていただいた時は、「わかぽんが!?」ってビックリされることが多くて、自分でもビックリしたんですけど、喋ることも大好きで、ラジオもずっとやりたいなと思っていたので、嬉しかったです。これからも一生懸命守っていきたいと思います。

――番組の収録をきっかけに、今まであまり話せていなかったメンバーとの距離が縮まるというメリットもあるかなと。

 それはすごくあります。最近は収録に向かう車の中でも喋ることを心掛けています。もともと人見知りなので、特に先輩メンバーとはあまり喋れなかったんですけど、最近は誰とでも喋れるようになって、ラジオのおかげかなと思っています。

安部若菜

『アイドル失格』は誰もが悩む部分にもスポットを当てた物語

――この度、「小説家」という肩書きが新たに加わります。デビュー作『アイドル失格』が11月18日に発売されるということで、おめでとうございます!

 ありがとうございます!

――取材日の今日は11月9日ですが、9日後に発売を控えた心境は?

 今日、本が手元に届いて、形になったことを実感して、すごく嬉しいです。「早く読んでほしい!」という気持ちが一番なんですけど、「ファン以外の方にも読んでほしい!」という気持ちも強いので、発売してからが勝負だなと思っています。

――そもそも小説を出版することになった経緯は?

 去年の春頃に、<よしもと作家育成プロジェクト>という企画があって、出版社の方々の前で自分の本のプレゼンをして、KADOKAWAさんにお声がけをいただきました。

――KADOKAWAさんは、この小説のどんなところが良かったと?

 現役のアイドルが書く、アイドルとファンの恋愛という攻めた内容とか、小説の冒頭の部分も書いてプレゼンの資料に入れていたんですけど、それも読んでくださって、「ぜひお願いします!」と。

――『アイドル失格』というタイトルの由来は?

 すごく悩んでいたんですけど、本屋さんでいろんな本のタイトルを見てまわった時に、『人間失格』(太宰治)が目に入って、「これだ!」ってビビッと来たものがあって、『アイドル失格』になりました。

――あらすじを紹介して下さい。

 主人公はアイドルをやっている高校3年生の実々花(みみか)で、進路のことに悩んでいます。もう一人の主人公がオタクのケイタくんで、ケイタは実々花にガチ恋をしています。ある日、実々花がケイタに会いに行ってしまうところから話が動いていって、実々花が恋を取るのか夢を取るのか、という恋愛かつ成長の物語になっています。

――そんな禁断の恋を現役アイドルのわかぽんが書くことに対して、少なからず抵抗や葛藤もあったと思います。

 めちゃくちゃありました。アイドルを主人公にする時点で、私と重ねて読まれてしまうんじゃないかなとか、アイドルの裏側みたいな部分も書くことで、こんなふうに思っているのかって思われてしまうのかなとか。でも、そこは重ねられないぐらい、実々花としてのキャラクターをちゃんと成立させたらいいのかなと思って、わりきって書きました。

――『アイドル失格』の冒頭部分が無料で公開されています。その狙いは?

 やっぱりアイドルが書く小説って、そんなになんじゃないの?みたいなイメージもあると思いますし、私がどんな文を書くのかもわからないと思うので、冒頭を読んで、気になってもらえたらいいなと思いました。

――その冒頭部分で、ケイタのオタク仲間の「ネギ」が登場します。どんなキャラクターにしようと思いましたか?

 「ネギ」は私の中でお気に入りのキャラクターなんですけど、主人公のまわりにいる、うざくて、チョロチョロした奴みたいな(笑)。ちょっと重めの話なので、いいバランスを取ってくれていると思います。

――『アイドル失格』のこだわりポイントは?

 こだわりポイントは、アイドル目線とオタク目線と2人の主人公で交互に描いているところです。きっとどちらにも共感できると思います。“気持ち”を繊細に書くことを心掛けたので、登場人物のみんなのことを好きになると思いますし、もどかしくなったり、苦しくなったり、一緒に夢や恋に悩んでほしいなと思います。

――よく写真集を出版したアイドルさんに「自己採点すると何点ですか?」という定番の質問がありますが、この小説を自己採点すると何点ですか?

 今となっては、ここをああしたかったとか思う部分もあるんですけど、1年半かけて全力を出したので、「100点!」と言っておきたいです。

――この小説を書くにあたって、映像化や舞台化などは意識しましたか?

 書いた時は意識していなかったんですけど、最近KADOKAWAさんに行って、映画化、漫画化、アニメ化などに向けて、担当の方にプレゼンをしたので、目指してはいます。

――ちなみに、2作目の小説の構想はありますか?

 「これ!」と決めたものはないんですけど、なんとなく思いついたこととかはメモするようにしていて、また書きたいなぁとは思っています。

――新たに加えたい肩書きはありますか?

 最近特に料理と野球とゲームセンターのストリートファイターにハマっていて、その中でも料理の仕事を出来たらいいなと思っています。

――料理関連の資格もたくさんありますしね。例えば、わかぽんは株や投資をやっているので、「ファイナンシャル・プランナー」はいかがですか?

 いいですね~。まだ考えていなかったです。ファイナンシャル・プランナーの資格を取りたいです。

――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします!

 『アイドル失格』にはアイドルとしての経験も、もともと私がアイドルを好きだった経験も全部詰め込みました。アイドルとオタクの恋愛というテーマではあるんですけど、それだけじゃなくて、自分のやりたいこととか、夢とか、誰もが悩む部分にも焦点を当てて書き上げたので、絶対共感するところもあると思います。ぜひ手に取って、読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします!

安部若菜

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