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俳優の醍醐虎汰朗が、公開中の映画『野球部に花束を』に出演。主人公の黒田鉄平を演じる。『野球部に花束を』はクロマツテツロウ氏の同名コミックを実写映画化した青春コメディ。劇場アニメ『天気の子』で森嶋帆高の声優を務めた醍醐虎汰朗が黒田役で主演を務め、チームメイトの桧垣主圭を黒羽麻璃央、野球部の原田監督を高嶋政宏(高ははしごだか)が演じる。インタビューでは、寒さとの戦いだったと語る撮影、部活で仲良くなった友達みたいな感覚があったと話す共演者とのエピソード、醍醐がいま手に入れたい役者としてのスキルなど話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】
ちょっとダサいと思える格好のつけ方を意識
――髪、だいぶ伸びましたね。丸刈りはいかがでした?
丸刈りにしたのは中学生ぶりで、部活でサッカーをやっていた頃に一回したことがありました。でも、最初の2日間くらいはその姿に見慣れていなくて、鏡を見ては「これ本当に自分なの?」みたいな感覚はありました。
――主演と聞いてどんな心境でした?
実写映画では初めての主演になるので、すごく嬉しいという気持ちと同時に、野球を題材にした作品ということで少し不安がありました。それは、僕が経験したことのないスポーツだったからなんです。役として説得力を持たせるためにしっかり練習しないといけないなと思い、事前にジムに通ってトレーニングをしっかりやって、野球の練習をクランクイン前に2週間ほどコーチに基礎から教えていただきました。キャッチャーとしての練習が主だったんですけど、ひたすら球を捕る練習をやっていました。
――台本を読んだ時の感想は?
原作を先に読ませていただいたのですが、とても面白くて一気読みしました。でも、これをどうやって映画化するんだろうと思いました。ですが、全く無駄のない奇麗な脚本になっていて飯塚(健)監督の台本はすごいなと思いました。役作りに関しては、本読みが終わった段階で監督と話し合ったのですが、その話し合いはすぐ終わりました。イメージのすり合わせの必要がないくらい、思い描いていたものが一緒でした。
――醍醐さんが演じた黒田鉄平はどんな人物だと思いました?
本当にどこにでもいるような普通の高校生なんだと思います。芯が凄く純粋だからこそ、格好つけているところから最後、野球部に染まるところまでの振り幅みたいなものをしっかり見せてあげたいと思いました。一言でいったらイキリみたいな感じです。例えばお弁当を食べる時も普通に食べればいいのにわざと足を開いて、「自分、格好いいでしょう?」といったような、少しダサいと思える格好のつけ方は意識してました。
――共演者は個性豊かな方が多いですが、印象的だったことは?
高嶋政宏さんは脚本を読んだ時のキャラからは想像できないくらい役を膨らませていたのが印象的でした。高嶋さんは日常も面白いと噂で聞いていたんですけど、ピンク系のお話が多いんですよ。すごく生き生きした顔で楽しそうにお話されるので、もはやそれが変なことに聞こえないくらいで(笑)。そのお話を聞いて僕が知らないことが世の中たくさんあるなと思い、自分は大人の階段をまだ少しも上ってないんだと思いました(笑)。
――共演した黒羽麻璃央さんはどんな方でしたか。
面倒見のいいお兄ちゃん、といった感じでした。現場でも気さくに話しかけてくださって、歳も僕より7つくらい上なはずなのに、同じ目線でずっと喋ってくださったのがすごく嬉しかったです。
――他の共演者の方とは仲良くなれました?
もう仲間って感じです。過酷なことを一緒にやって過ごしていたので、撮影中も部活で仲良くなった友達みたいな感覚でいれたと思います。
――もし、醍醐さんご自身がこの映画作品の中に入れたとして、誰と友達になりたいですか。
難しいですね。あえて選ぶとしたら桧垣かなと思います。でも、桧垣というよりも、もはや麻璃央くんが演じていたからというのもあると思います(笑)。
過酷だった真冬の撮影
――撮影はいかがでしたか。
撮影は真冬だったので、半袖シャツでのグラウンドのシーン、全裸での体育館のシーンは寒さとの戦いでした。でも、みんな全裸になっての前バリの張りあいは楽しかったです。撮影ではその前バリが映らないように着替えなければいけないのですが、何回やってもどうしても見えてしまうんですよ。あと、貼るのがヘタクソな人もいて、もう前バリが緩くて意味をなしていなかったり、逆に剥がすときに痛かったこともすごく良い思い出です(笑)。
――印象的だったシーンは?
“引退ノック”のシーンです。飯塚監督は極限まで追い込んだ様を撮りたかったと思うんですけど、倒れたら「カット」がかかってしまうんです。身体に乳酸が溜まって動けなくなるくらいハードな撮影だったので、終わってから10分くらい動けない人もいました。でも、限界まで追い込むことによって生まれた、芝居を越えた瞬間のみんなの表情がとても綺麗だなと思いました。
――この作品を通して発見や気づきはありましたか。
もう反省点ばかりでした。表情や目線で余計なものを入れてしまった、ここをもっとこうすれば良かった、といったことの連続なんです。自分が出演した作品を純粋に楽しむことは、まだなかなか出来なくて…。
――そんなストイックな醍醐さんが、手に入れたい役者としてのスキルは?
感受性の強さ、感覚的にやれるスキルが欲しいです。それは、自分が持っていないものなので、それによってどんな世界が見えるんだろうと気になります。
――今後挑戦してみたい役はありますか。
僕は格闘技が好きで自分もやっていた経験もあるので、ボクサーの役をやってみたいです。あと、アクション系の役にも挑戦してみたいです。
――最後に読者へメッセージをお願いします。
この作品は男子ノリがたくさん詰まった映画で、きっと皆さん映画を観終わった後に「何を見たんだろう?」と思われるかもしれません(笑)。でも、気軽に楽しめて明るい気持ちになれる作品でもあるので、この作品通じて高校野球や青春時代を共に過ごした仲間というものの魅力が伝わったら嬉しいですし、自分自身の学生時代にも照らし合わせて何かを感じ取ってもらえたら更に嬉しいです。
(おわり)
作品情報
野球部に花束を』(公開中)
醍醐虎汰朗 黒羽麻璃央 駒木根隆介
市川知宏 三浦健人/里崎智也(野球解説者)
小沢仁志/髙嶋政宏
原作:クロマツテツロウ『野球部に花束を ~Knockin' On YAKYUBU's Door~』(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊)
主題歌:電気グルーヴ「HOMEBASE」 (C)macht inc.
音楽:海田庄吾
監督・脚本:飯塚健
製作:森田圭、沖浩 エグゼクティブプロデューサー:多田一国、大野高宏 プロデューサー:金山、宇田川寧、吉田憲一
共同プロデューサー:田口雄介
撮影:川島周 Bカメラ:初野一英 照明:本間大海 録音:鈴木健太郎 美術:稲付正人 装飾:篠田公史 編集:森下博昭
音響効果:松浦大樹 衣装:白石敦子 ヘアメイク:内城千栄子 杉山裕美子 スクリプター:石川愛子
キャスティング:梓菜穂子 助監督: 松下洋平 制作担当:田口大地 ラインプロデューサー:島根淳
製作幹事:KDDI 制作プロダクション:ダブ 配給:日活
(C)2022「野球部に花束を」製作委員会
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