福地桃子×岡山天音、映画「あの娘は知らない」メインビジュアル公開
主演・福地桃子、監督・井樫彩の映画『あの娘は知らない』のメインビジュアル(ポスターとチラシ)が発表された。『君の名前で僕を呼んで』『花束みたいな恋をした』などを手掛けた石井勇一氏のデザインによるメインビジュアルは、チラシとポスターで異なるものとなっている。
本作は、海辺の町でひっそりと旅館を営む中島奈々(福地桃子)と、喪ってしまった恋人の足跡を辿りその町に行き着いた⻘年・藤井俊太郎(岡山天音)、お互いに「喪失」を抱えた二人の新しい紐帯と希望を描く作品。
ポスターでは、複雑な感情を抱える奈々と俊太郎の表情にフォーカスしたスチールが使用され、2人は何を感じ、何を思っているのか、観客の想像力を刺激するビジュアルになっている。 かつての映画ポスターがそうであったように、「自分の部屋に飾りたくなるようなポスター」を意図された今回のビジュアル。
チラシではゴミ捨て場で抱き合う奈々と俊太郎を捉えたスチールが使用されており、幻惑的な照明と相まって、本作の世界観を象徴するビジュアルになっている。また、チラシの裏面には折田侑駿氏(文筆家)と児玉美月氏(映画執筆家)のコメントも掲載されている。
『あの娘は知らない』は2022年9月23日から新宿武蔵野館ほか全国で公開予定。
折田侑駿(文筆家)コメント
井樫彩という映画作家の作品には、彼女が生み出す物語を生きる者たちにとっての「アジール」が 必ず登場する。「アジール」とは「聖域」のことであり、「避難所」を意味するものだ。それはある 特定の者を除き、何人たりとも立ち入ることの許されない神聖な世界であり、傷を負った者につか の間の安らぎを与えるオアシスである。井樫監督の作品にはしばしば傷ついた者たちが登場するの だが、一見、救いのない状況下に置かれているかに思えるこの人々を、彼女は「アジール」へと誘 導する。果たしてそこでは何が起こっているのだろうか──⻑編第三作となった『あの娘は知らな い』における「アジール」は、〈夜の海〉である。
児玉美月(映画文筆家)コメント
男女の関係の最上位は決して恋愛ではないはずであり、女性は女性だけと分かり合えるわけでもな い。近年はとりわけ女性同士の連帯を示す「シスターフッド」という言葉が活況を呈した。そして 2020 年代の半ばへと進みつつあるなか、セクシュアリティの違いやジェンダーの非対称性を抱え込 んだ男女が紐帯を結べる希望をみせてくれる『あの娘は知らない』は、今まさにわたしたちの元へと 届けられるべきだろう。
石井勇一コメント
たくさんのひと夏の光が散りばめられた
まるで宝石箱のような
男女の新しい紐帯を描いた奇跡の体験。
人は繋がり続けることで
成⻑して変わり続けられるのだろう。 終始、美しいスチール群に酔いしれた制作に当たっての宣伝ビジュアルは、 まるで記憶の走馬灯を眺めているかのように表現しています。
石井勇一