INTERVIEW

市原隼人×佐藤大志

『おいしい給食』対談、撮影秘話と見どころ ”奇抜“甘利田には「まだ慣れない」


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:22年05月12日

読了時間:約8分

 市原隼人が主演を務める『おいしい給食』。給食をかけて教師と生徒の熱きバトルを描いた本作は大好評を得て、ドラマ版シーズン1、『劇場版 おいしい給食 Final Battle』、更にドラマ版シーズン2と来て、今回、『劇場版 おいしい給食 卒業』が13日に全国公開される。中学1年生だった神野ゴウ(佐藤大志)も中学3年生。卒業を控えるなかで起きたのは「給食改革」。熱きバトルを繰り広げてきた教師・甘利田幸男(市原隼人)と、生徒・神野ゴウは手を組み、この戦いに挑む。果たして彼らの「聖域」は守られるのか。今回、市原と佐藤の対談が実現。この3年での変化とともに撮影の舞台裏、そして劇場版の魅力を語り合ってもらった。【取材・撮影=木村武雄】

“奇抜”甘利田、いまだに慣れない

――ドラマ版シーズン2に続き、劇場版第2弾、率直な思いをお聞かせください。

市原隼人 ひとえに、今作がシーズン2まで作られることになったのは、作品のファンの皆様のお気持ちの賜物です。本当に心から感謝しています。お客様の期待にしっかり応えられるよう、そしてご恩をお返しできるように、今回もしっかり務めさせていただきました。

佐藤大志 僕たちの夏休みをかけて撮った作品を楽しんで見ていただければと思っています。

――最初の頃とシリーズを重ねてお互いの印象は変わりましたか?

市原隼人 前回は13歳だったけ?

佐藤大志 そうです、13歳です。

市原隼人 今が15歳? 成長しているな~、と親戚のような感覚で見てしまいます(笑)。生徒役の皆さんは一新して替わっているんですけれども、大志はシーズン1から一緒なので、阿吽の呼吸を感じられて、すごく心強かったです。大志は(現場を)俯瞰で見て、監督に言われた演出などもしっかり自分の中で噛み砕いて理解し、どこか遊んでいるような感じもあり。僕が遊ばれているような感覚がありました(笑)。そこはすごく嬉しかったです。

佐藤大志 『おいしい給食』の撮影が始まる前までは、真剣で、ちょっと怖い人なのかなって思っていたんですけど、撮影が始まってみたらそんなことはなくて、いつも熱くて優しいけど、撮影になったら切り替えて、すぐに役に入るすごい方だと思います。表現力がとにかくすごくて。特に給食のシーンとか表情もそうですけど、動きもすごいです。

――現場では笑いを堪えるので必死と過去には話されていましたが、こう回数を重ねていくと慣れるものですか?

佐藤大志 いや、全然慣れなくて!(笑)本番は頑張って我慢するんですけど、段取りとか、やっぱりテスト中は、特に僕の周りの生徒とかは席が近いからすごく笑ってしまいます。
でも本番は頑張って耐えていました(笑)

――市原さんご自身は、自分でおやりになって自分で笑ってしまうことは?

市原隼人 いや、必死なので記憶がないんです、ほんとに(笑)。クランクインの前日は全く寝れなかったですし、監督も勢い余って初日で声を枯らすぐらいでした(笑)。やっぱり役者の醍醐味ですが、お客様のお声をいただいてシーズン2ができる、それに対しての思いというのは並々ならぬものがありましたので。記憶がなくなるほどに1シーン1シーンでしっかり甘利田幸男という男を演じ尽くしてお客様に楽しんでいただけたら嬉しいなと。滑稽な姿を見せたかったです。こんなにも一生懸命好きなものを好きと言い、子供に対して負けたら負けたと言える。素晴らしい人間だと思います。うらやましいほどに人生を謳歌していて、ぜひお客様にも人生を謳歌していただきたい、そのヒントになるようなキャラクターでいたかったんです。とにかく走り抜きました。

甘利田とゴウは同志

――シーズン2、劇場版と徐々にそれぞれのキャラクターの核、個性がより明確に表れてきていますが、お互いのキャラクターの印象は?

佐藤大志 神野ゴウは、甘利田先生のことを闘う相手だとは思っているけど、やっぱり大好きな先生でもあって、ただただ戦う相手だけじゃなくて信頼している。シーズン1からシーズン2になるにつれて増していっていて、信頼している大好きな先生だと思っていると思います。

――劇場版では特に、甘利田の弱い部分も垣間見えますが、その辺は?

佐藤大志 甘利田先生の弱い部分ですか?え、あったかな~、そんな感じはなかったです。

市原隼人 甘利田は負けてばっかりだったから(笑)

佐藤大志 ずっと圧勝して(笑)

市原隼人 圧勝して…(笑)

――圧勝しすぎて気付いていないのかも。

市原隼人 (うなづく)

佐藤大志 気付いてないだけかもしれないです(笑)

――市原さんは、甘利田は神野ゴウをどう見ていると思いますか?

市原隼人 神野ゴウというのは甘利田にとって自分の居場所です。大切な共闘する相手でもあるし、横に並んで好きなものに向かっているという同志のような。見せなければならない姿と見せてはならない姿とで混沌としていくんですけれども、そのなかでもやっぱり給食に翻弄されて見せてはいけない姿を見せてしまう。そういう弱い部分はたくさん出てきますが、全てを委ねられる居場所ですね、神野ゴウという存在は。

――佐藤は神野ゴウを演じていてどうですか?

佐藤大志 自分でやってて楽しいです。シーズン2とだんだん現場に慣れていくにつれて、自分が楽しむだけじゃなくて、相手、受ける側のことも考えながらできるようになってきたのかなって感じます。

――市原さんもそれは感じていますか?

市原隼人 すごく感じます。現場でも少しだけお話しさせていただいたのですが、役者という職業とか、映画、ドラマ、舞台はなくても成立してしまうんですよ。衣食住の中に入っていないですから。だからこそ、その作品が存在する意義を、そして役者が存在する意義を自分で見いだしていかなきゃいけない、しっかりと「おいしい給食」という作品の中でそれに向かって共闘しましょうと大志と話していて、それをベースにしっかり楽しもうと。しっかり自分の看板を背負って、本気で泣けて、本気で悔しがって、本気で笑う、そんな現場でした。夏、40度を超える中で、ほかの生徒たちも一生懸命に走り抜いてくださったと思います。僕はこの先、可能性に満ち溢れた子供たちとひと夏共に過ごし、一緒に共闘して何かに向かっていける、という経験はなかなかできないと思うので本当に感謝しています。

撮影終わりの“卒業式”

――前回の『劇場版 おいしい給食 Final Battle』のメイキング映像に、撮了後に市原さんが生徒役に卒業証書を渡されていました。今回も?

佐藤大志 ありました! 前回は卒業証書だけだったんですけど、今回はそれにプラスしてみんなと集合写真も撮って、泣いてる人もいました。市原さんからのお話もあったことで、すごく思い出に残りました。

――佐藤さんにとっては本当の先生のような?

佐藤大志 先生でもありますし、僕は師匠だと思っています。

市原隼人 恐れ多い…(照れ笑い)僕の方が教わることが多いです。だんだん歳をとっていくうちに、自分の中で概念や、いろんなものが固まってきてしまうことがあるんです。(生徒役らは当時)14歳、15歳とまだ固定概念とか自分の中のアイデンティティがしっかり固まっていない、本当に生々しい人間くさい歳頃で、繊細であり、時にものすごく豪快さもあって、みんなが一生懸命努力してる姿を見て本当に感動させられました。最後に卒業証書を渡す時に、本当にみんな泣いていて、それほど一生懸命に向き合ってくれたんだと感じました。ちょうどコロナ禍の中での撮影でいろいろな壁があったと思うんですけれども、しっかり耐えて我慢してやり抜いてくださったので、ぜひ皆様にも子供たちを応援していただきたいです。

もしかしたら続編も!?

――劇場版での印象的シーンは多くありますが、なかでも甘利田が机の上に飛び込むシーンはすごかったですね(笑)

佐藤大志 さすがに驚きました(笑)台本にも書いてないですし、事前に知らされるわけでもなく、段取り中にいきなり僕の机に飛び込んでこられたので、すごく印象に残っています(笑)、すごいな、表現力すごいなって、想像がまったくつかないので。

市原隼人 本当に記憶にないんです。なんでダイブしたのかって(笑)憑依していると思うんですけれども、とにかく自分の中の甘利田の欲を満たすことに精一杯で、なんでダイブしたんだろうって(笑)

――それ以外で印象に残っているシーンは?

市原隼人 ドラマから映画になることによってより物語性がしっかりしていって、それぞれの登場人物の感情が浮き彫りになってきます。自分と向き合う感情やその感情を誰かにぶつける様(さま)が描かれていますので、そういった姿が印象的です。

佐藤大志 僕が印象に残っているのは「まずい給食のシーン」です。(給食メニュー改革で給食の味が変わり)みんな訴えかけるように甘利田先生を見るところがあるんですけど、あのシーンは僕から見ていても、ジーンときます。考えさせられるシーンでもあったのでそれが印象に残ってます。

――『劇場版 おいしい給食 卒業』ではシーズン2最終回の伏線の回収も見られます。それを踏まえての見どころは?

市原隼人 給食のために学校に通っていると言っても過言ではない、そんな男が一生懸命に、滑稽な姿を見せながら、好きなものを好きだと、子供に対しても負けたら負けたと認める、こんなにも人生を謳歌している人はいないのではないかと思うほど。その姿を見て皆さまに活力を与えられたら。老若男女すべての方々に楽しんでいただける作品だと思っています。今はいろいろな壁が出てくる時代。この作品は1980年代が舞台。密になることで、互いをたたえて支え合う、顔を合わせて笑い合ったりと。今一度、わびさびじゃないですけど古き良き心を思い出させていただける作品なのでそんな思いも感じていただけたら嬉しいです。

――シーズン2の最終回のセリフにもあった「いかめし」が劇場版のキーワードですね!

市原隼人 「いかめし」ですね! 実はシーズン1が終わって打ち上げの時に、企画の永森さん(※脚本も手掛ける)が「シーズン2を書いていいですか」と言われて、、、。今回も終わって「ちょっとご飯食べましょう」と声をかけられたので、さぁ、それがどうなるのか(笑)。皆様のお声次第だと思います。まずは劇場版「おいしい給食 卒業」を観ていただいて考えたいなと思います。

――ではもしかしたら続編も!?

市原隼人 まだまだ何とも言えないんですけれども、お楽しみに!

――佐藤さんが思う見どころは?

佐藤大志 ほかにない、給食を使っての教師と生徒のバトルもそうですし、映画では給食危機が訪れて、それにゴウと甘利田先生がどう行動を起こすのか、というところが見どころだと思います。

「おいしい給食」の魅力を漢字2文字で

――劇中では生徒が漢字2文字を習字にしたためるシーンがあります。劇場版の魅力を2文字で表すなら?

市原隼人 え!? 漢字2文字…。これしかない。「給食」!(笑)。(ポスターのロゴを指さして)ここにちょうどいいのがあったから(笑)。「給食」まんますぎるか…(笑)。

――佐藤さんはどうですか? 「給食」以外で。

佐藤大志 給食以外でしたら「笑顔」。作品自体も面白いですし、ゴウはずっと笑っているので笑顔で!

(佐藤大志の言葉に大きくうなづく市原隼人。その眼差しは生徒を見守る先生のように優しいものだった)

(おわり)

この記事の写真
木村武雄

記事タグ

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事