Major 1st Full Album『事象の地平線』を3月2日にリリースした4人組ロックバンドの神はサイコロを振らないが3月20日、自身初となる日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ『東阪野音Live 2022「最下層からの観測」』を開催した。久しぶりのワンマンとなった日比谷野外大音楽堂でのライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】(※一部ネタバレあり)

みんなの人生を引っ張っていきます

 前日の夜まで降っていた雨は上がり、晴天が広がった日曜日。午後は曇り空となってしまったが、この日を待ち侘びていた多くのファンが続々と日比谷野外大音楽堂(以下:野音)に集まった。現在、神サイが注目されているのかがわかる光景だった。

神はサイコロを振らない【撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)】

 定刻でライブはスタート。4月10日にライブを行うので、詳しくは書けないが、オープニングから彼らの世界観が存分に打ちだされたナンバーでクライマックスのような空間を作り上げた神サイ。まだメジャーデビューして約1年8カ月、貫禄すらも感じさせるステージ展開で序盤からオーディエンスの心を掴んでいった。その後も緊張と緩和といったセットリストで、野音の空に爆音を響かせ、オーディエンスもビートに乗ってクラップや腕を振り上げ応えていく。

 そのオーディエンスの熱に呼応するようにバンドの熱量も上がっていく。インディーズ時代のEP『理-kotowari-』に収録されている「illumination」を披露するなど、新旧入り乱れたセットリストで展開。やはり生で体感することが至高だと思わせてくれるロックバンドの醍醐味が詰まっていた。音源制作でもグルーヴへの追求をしていた神サイ。それはライブでも遺憾無く発揮されていた。「タイムファクター」のような絶妙なテンポ感の楽曲も、桐木岳貢(Ba)と黒川亮介(Dr)のグルーヴで我々の高揚感を煽る。

 柳田周作(Vo.Gt)は、このライブに「緊張や不安もなく楽しみしかなかった」と話す。さらに続けて「周りのバンドへの劣等感を感じながらの7年間、それを音楽にぶつけていく」と届けられた「パーフェクトルーキーズ」。反骨精神を感じさせる歌と吉田喜一(Gt)のアグレッシブなギターが際立つパフォーマンス。迫真の演奏に会場のテンションはどんどん上がっていく。

神はサイコロを振らない【撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)】

 神サイは昨年コラボ曲を2曲リリース。ロックバンドではない同年代のアーティストとコラボすることで起きる化学反応を求めて、n-buna from ヨルシカ、アユニ・D(BiSH/PEDRO)、そして、キタニタツヤという今のシーンを代表する3人とコラボしたのも記憶に新しい。

 この日比谷野音ではアユニ・Dがゲストとして登場。大きな拍手で迎えられたアユニ・Dは「緊張していましたが、ここまでライブを見ていて、この空間が神サイさんと神サイさんのファンの皆さんの愛で溢れているなと心が温かくなったので、私も温かい気持ちで歌わせていただきます」と歌唱への姿勢を話し、「初恋」を披露。柳田と向き合いながら、美しいハーモニーを届けた。アユニ・Dは「特別な夜に呼んでくれてありがとうございました」と感謝を告げ、ステージをあとにした。柳田は「アユニ・Dさんとみんなのおかげで優しい空間が作れた」と、手応えを感じていた。

アユニ・D【撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)】

 1stアルバムの1曲目を飾るテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『愛しい嘘~優しい闇~』の主題歌「イリーガル・ゲーム」をライブ初披露。ステージ後方でゆらめく炎とスモークの演出が、この楽曲の世界観をより強固にし、ストリングスのサウンドとバンドサウンドの融合でスケール感の大きさを感じさせた。

 この曲とセットといっても過言ではない同ドラマの劇中歌で極上のバラードナンバー「あなただけ」と、「イリーガル・ゲーム」とは対称的な楽曲でぐっと心を掴んだ。バンドの力量が顕著に出るバラード。それを高次元で聴かせることができるのは、神サイの武器の一つだ。

 そして、「争いのない、ましてや戦争なんかが起こらない平和な日々を僕らで紡いでいきましょう」と、平和を願い届けた「LOVE」は、これまでの曲とは違ったエネルギーを放ち、神サイの愛に包まれているような瞬間だった。

 柳田は「ロックバンドとして届けられる言葉はラブアンドピースしかないと思います。もともと神サイは愛や恋を歌うようなバンドではなくて。今年で7周年を迎えますけど、こんなに守るべきものが出来てしまったら歌う内容も変わる、みんなのことを愛しているし、それを音楽家として歌にしなければいけないと思いました。僕は今ついて来てくれているみんなを最大限に愛して、信頼しています。みんなの人生を引っ張っていきます。僕らの音楽で愛と平和を紡いでいきたい」と、決意を熱く語った。

神はサイコロを振らない【撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)】

 曇天を突き抜けるような輝きを終始放ち続けた神サイ。4月10日に開催される大阪公演では、どのような姿を見せてくれるのか、この公演のパフォーマンスを観てしまったら、期待を抱かずにはいられない。

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