INTERVIEW

梶裕貴

夢の受け継ぎ 子供の頃に体験した感動と興奮を今の子供たちにも:『ゴーストバスターズ/アフターライフ』


記者:木村武雄

写真:提供

掲載:22年02月15日

読了時間:約6分

 声優・梶裕貴が、映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』で、主人公フィービーの兄・トレヴァーの日本語版吹替声優を務めた。15歳と思春期を迎えた不器用な性格のトレヴァーだが、自らの手で復活させたECTO-1を使って妹のフィービーと共にゴースト退治に挑む。彼はその過程で大きく成長していく。演じるのはハリウッドで注目されるフィン・ウルフハード(19)だ。そして今回監督を務めたのは、『ゴーストバスターズ』、『ゴーストバスターズ2』を手掛けたアイヴァン・ライトマン監督の息子、ジェイソン。梶は「夢のバトンが受け継がれていくようで感慨深い」と語る。梶自身も小さい頃に『ゴーストバスターズ』を父と見たことがあったといい、最近は本作を始め当時見ていた作品の続編やリメイク作品に携わる機会が増え「まさに夢のよう。とても嬉しい」と感無量。そんな夢心地のなかで本作にどう挑んだのか。【取材=木村武雄】

トレヴァーの成長を意識

――トレヴァーの印象とどう声を入れていかれたのでしょうか。

 思春期らしく、ちょっと斜に構えていて、けれどウブなところもある少年。大人びたいけれど、どこかカッコがつかないというか、抜けている印象のあるキャラクターでしたね。“黙っているとクール、だけどコミカルに”という演出をいただき、そのバランスを意識しながら演じさせていただきました。

――音響監督から最初に言われたことは何でしょうか?

収録前に音響監督さんに言われたのは「“声優が演じる足し算の部分と、主役を演じる女優さんのナチュラルなお芝居との、ちょうど間を狙って調整できるとありがたい”ということでした。実に難しい注文ですよね…(笑)。しかも、収録順で言うと僕が一番最初。その絶妙なさじ加減を探りながらのアフレコでした。とはいえ本作は、あの「ゴーストバスターズ」の続編。自分が子どもの頃に触れた、あの憧れの“洋画吹替の世界観”も念頭に置きつつイメージを固めていきましたね。現代人らしい、どこか崩したような喋り方とミックスさせてお芝居しました。

――トレヴァーの人物像をもう少しお聞きしたいのですが、祖父のイゴン・スペングラーが住んでいたサマーヴィルに引っ越す前までは卑屈な感じもありましたが、新天地に行ってからどんどんと心を開き、殻を破っていく印象でした。その辺はどう意識されて演じようと思われたのでしょうか。

 まずトレヴァーは、あまり人付き合いが得意ではない少年なんだろうなと感じました。けれど、そんな彼がラッキー(声・日笠陽子)との出会いを通して変化していく。それまで抑え込んでいたような感情を少しずつ吐き出していくんです。なので、僕が意図的に芝居を調整するというよりも、物語の展開に合わせて、素直に彼の気持ちをなぞっていくような形でしたね。大人びたい年頃だけれど、まだまだ自分の狭い範囲でしか物事を捉えられていない、等身大なティーンの雰囲気が出せればいいなと思いながら演じていました。

――実際に梶さんの声からその変化が伝わってきました。そのなか、彼自身の大きな分岐点はどこだと思いますか?

 やはりラッキーとの関係性というのは大きかったと思います。それと、ECTO-1との出会い。よく知らないが故に、それまで疎ましくさえ感じていたイゴン・スペングラーという存在を、シンプルに「すごい人だったんだ」と思えたことが、彼にとってすごく勇気をもらえた出来事だったんじゃないかと感じています。もちろん彼だけでなく、フィービーも…もっと言えばお母さんもそう。考え方や視野が広くなった瞬間でもあったのかなと。

梶裕貴が日本語版声優を担当したトレヴァー

キャラクターに深みを

――改めて吹替の魅力は何だと思いますか?

 作品の理解度が抜群に上がることだと思います。字幕だけだと、物語の展開スピードによっては、どうしても文章量的に抑えていかなければならないですからね。でも吹替にすることで、純粋にテキストを増やすことができるし、視聴者としても字幕を目で追う必要がなくなるから、より映像としてのメッセージも入ってくるわけです。飛躍的に作品からの情報量が上がるんじゃないかと思っていますね。

――吹替を臨むにあたって普段準備されていることは何でしょうか?

 演じられている俳優さんそれぞれに個性や特徴がありますので、それをしっかりと汲み取り、日本語としての芝居と違和感がないように組み合わせていくことが大切だと考えています。なので、とにかく反復練習が大切なのかと。それと、役者さんによって喋るテンポや呼吸のリズムが全く違ってくるので、そのあたりは強く意識するようにしています。たとえば、喋り始める前に必ずと言っていいほど「スーッ」と息を吸われる俳優さんや、国によっては舌打ちかは入る台詞が多い俳優さんもいらっしゃるので。台本によっては、文章の前に「(息)」や「(舌)」とあらかじめ書かれていることも。そういったものも含めて、演じる役者さんの癖などを細かく見て、アフレコに臨むようにしています。

梶裕貴

小さい頃の記憶を呼び起こすもの

――主題歌を聞いた瞬間に当時見ていた記憶が呼び起こされる人もいるかと思います。そのように、梶さんが小さい頃の記憶が呼び起こされる作品やアイテムなどはありますか?

 最近は、子供の頃に見ていた作品の続編やリメイクが製作されるムーブメントが多く、個人的にすごくテンションが上がっています。純粋に嬉しいですね。この『ゴーストバスターズ/アフターライフ』もそうですし、『バイオハザード』もそう。他にも、僕は小さい頃から戦隊ヒーローに憧れていたのですが、ありがたいことに今、『機界戦隊ゼンカイジャー』という作品で、そのヒーローの一員として参加させていただいておりまして。子供の頃、戦隊ごっこをする時に、よく変身時の掛け声なんかを真似していましたが…そのセリフを今、プロの声優になって、本物として言えているという事実が、とても感慨深くて。夢が叶ったなと嬉しく思います。

 こういったご時世なので、ヒーローショーを行っても声出し応援ができないという状況なのですが…それでも、マスクをした子供たちが一生懸命にサイリウムを振ってエールを送っている様子を見ると、やはり胸を打たれますね。まさに、かつての自分の姿を見ているようで、その当時の記憶が呼び起こされました。それから、まもなく公開される『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』にも、ありがたいことに出演させて頂いているのですが、この作品は1985年に公開されたタイトルのリメイクで。というのも、1985年というのは、ちょうど僕の生まれた年なんです。『ゴーストバスターズ』もそうですが、やはりどこか不思議なご縁を感じざるを得ませんね。本当に本当に嬉しいです。

――では今は夢の連続なんですね。

 2021年になって、この「ゴーストバスターズ」シリーズが、初代から続く物語として新たに製作されたことも夢のようですし、それに参加できることも奇跡のように感じています。頑張ってきて良かったです、本当(笑)。これを励みに、さらに気を引き締めて努力していきます!

 この『ゴーストバスターズ/アフターライフ』という作品、そんな素敵なご縁を感じているからこそ、絶対に観ていただきたいんですよね。僕が子供の頃に感じた、このシリーズに触れての感動と興奮の体験を、今の世代の若い子たちにも届けたい。心からそう思うんです。それがきっと、作品への恩返しにもなるような気がしていて。何はともあれ、絶対に満足していただける内容です。ぜひ映画館でご覧ください。よろしくお願いします!

梶裕貴

(おわり)

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