[写真]ゲリー・カーの作品がハイレゾ配信で甦る

ハイレゾ配信が始まった「アルビノーニのアダージョ」

 高音質音源いわゆるハイレゾ音源による配信が増加傾向にあるなかで、世界的著名なコントラバス奏者のゲリー・カー(73)の作品のハイレゾ配信が17日に始まった。

 「コントラバスの歴史を塗りかえた男」「史上初・世界最高峰のコントラバス・ソリスト」などの異名を持つ世界的著名なコントラバスのソロ奏者、ゲリー・カー。その魅力が余すとこなく伝わるハイレゾ配信が開始された。

 オリジナル・アナログ・マスターテープから、キング関口台スタジオの誇るKSMDシステムを採用して、アナログ音楽信号を高速1ビットのデジタル信号に変換、ダイレクトに記録する、いわゆるDSD音源化した。

 100kHzをカバーする再生周波数範囲と可聴帯域内120dB以上のダイナミックレンジを確保することで「原音」に極めて近い音質再生を実現した。圧倒的な重低音、繊細な弦のニュアンスから録音会場の空気感、臨場感までも余すところなく自然に再現した、DSDならではの仕上がりとなっている。

配信作品

<アルビノーニのアダージョ/ゲリー・カー>
アルビノーニのアダージョ/ソナチネ(ベートーヴェン)/小品V(フランク)/ソナタ ロ短調(ヘンデル)/アヴェ・マリア(バッハ/グノー)
ゲリー・カー(コントラバス、1611年製アマティ)/ハーモン・ルイス(オルガン、スイス、クーン社製)
録音:1981年9月22日 宝塚ベガ・ホール 
※オリジナル・アナログ・レコーディング

<甘き死よ来たれ/ゲリー・カー・バッハを弾く>
甘き死よ来たれ/主よ、人の望みの喜びよ/G線上のアリア/目覚めよ、と呼ぶ声が聞こえ/羊は安らかに草を喰み/ほか
ゲリー・カー(コントラバス、1611年製アマティ)/ハーモン・ルイス(オルガン、オランダ、フレントロープ社製)
録音:1985年6月9日・10日 松戸聖徳学園・川並記念講堂 
※オリジナル・アナログ・レコーディング

<祈り/ゲリー・カー>
エリ・エリ(祈り)/オー・ホーリー・ナイト(アダン)/アヴェ・マリア(アルカデルト)/神の子羊(間奏曲)(ビゼー)/星に願いを(ハーライン)/ほか
ゲリー・カー(コントラバス、1611年製アマティ)/ハーモン・ルイス(オルガン、オランダ、フレントロープ社製)
録音:1985年6月10日・11日 松戸聖徳学園、川並記念講堂 
※オリジナル・アナログ・レコーディング

<コル・ニドライ/ゲリー・カー>
コル・ニドライ(ブルッフ)/祈り(ブロッホ)/スケルツォ(ヴァン・ゲーンズ)*/アリオーソ(恋するガリア)(バッハ)/深い河(黒人霊歌)/ほか
ゲリー・カー(コントラバス、1611年製アマティ)/ハーモン・ルイス(オルガン、K.シュッケ製/*ピアノ、シュタインウェイ製)
録音:1980年6月6日、代々木・宗教法人「妙智会教団」本殿/*1980年5月29日、キングレコード音羽第1スタジオ 
※オリジナル・アナログ・レコーディング

<アルペジョーネ・ソナタ/ゲリー・カー>
アルペジョーネ・ソナタ(シューベルト)/ヴォカリーズ(ラフマニノフ)/白鳥(サン=サーンス)/ジ・エンターテイナー(スコット・ジョプリン)/荒城の月(瀧廉太郎)/鳥の歌(カザルス編)/ほか
ゲリー・カー(コントラバス、1611年製アマティ)/ハーモン・ルイス(ピアノ、スタインウェイ)
録音:1980年5月28日・29日 キングレコード、音羽第1スタジオ
※オリジナル・アナログ・レコーディング

<夢のあとに/ゲリー・カー>
夢のあとに(フォーレ)/ガヴォット(ロレンツィーティ)/マドリガルイ短調(グラナードス)/精霊の踊り(グルック)/サマータイム(ガーシュウィン)/夕星の歌(ワーグナー)ほか
ゲリー・カー(コントラバス、1611年製アマティ)/ハーモン・ルイス(ピアノ、スタインウェイ)
録音:1981年9月20日・21日 宝塚ベガ・ホール
※オリジナル・アナログ・レコーディング

ゲリー・カーとは

 1941年ロサンゼルス生まれ。7代にわたって多くのコントラバス奏者を輩出してきたロシア系ユダヤ人の家系。20歳の時、バーンスタインに認められ、ニューヨークフィルと共演した「動物の謝肉祭」のなかでチェロの曲“白鳥”をコントラバスで録音。いちやく“史上初のコントラバス・ソリスト=ゲリー・カー”の名前は世界に広まった。

 1980年5月22日東京文化会館小ホールで行われた初来日のリサイタルは、日本の聴衆の度肝を抜いた。豊満、重厚な低音旋律楽器としてコントラバスを縦横無尽に操るゲリーの演奏を目の前にしたからだ。

 この直後、キング音羽スタジオで初の日本制作アルバム「アルペジョーネ・ソナタ」を録音、翌年9月には前年に完成したばかりで音響効果の良いことでも有名な宝塚ベガ・ホールで、パイプ・オルガンをバックに「アルビノーニのアダージョ」、ピアノをバックに「夢のあとに」と、2枚のアルバムを録音。

 とくに前者のタイトル曲は、録音スタッフも思わず涙を流してしまったという感動的エピソードと、オーディオ・リファレンス的話題をもたらし、LP→スーパー・アナログ・ディスク→CD→XRCDとパッケージメディアの変遷を受けながらも、ロングセラーを記録している。

 これらを含めて全16枚のアルバムをキングに録音。ゲリーのファン、コントラバスの教習者、オーディオ・マニアから根強い支持を得ている。

 2001年還暦を機に公式演奏会から引退していたが、2011年東日本大震災が発生するや、同年9月、自らの強い申し出により復興支援コンサートを仙台で開催した。

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