INTERVIEW

宮本茉由

『ドクターX』研修医・虻川リサ役、才色兼備の素顔 エゴサーチで客観視


記者:木村武雄

写真:

掲載:21年12月14日

読了時間:約8分

 宮本茉由(26)が、現在放送中のテレビ朝日系『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』第7期に研修医・虻川リサ役として出演中だ。役柄も本人も才色兼備の彼女の素顔とは。【取材・撮影=木村武雄】

どんな声も自分の糧に

 透き通った肌に、少し赤らめた頬。ファインダー越しに見る凛とした佇まい。しかし、話せば人懐っこさがあり、素直。その心根は、役を演じる上でいい影響を与えている。「私は雰囲気に影響されやすく、顔に出やすいんです(笑)」

 人気シリーズの最新作。東帝大学病院の外科に籍を置く初期研修医の一人、虻川リサを演じている。

 同じ研修医の蟻原涼平(演・一ノ瀬颯)、矢島源五郎(演・上川周作)とは同じ立場で苦楽を共にしている一体感がある。それは、放送開始に先立って配信されたスピンオフドラマ『ドクターエッグス~研修医・蟻原涼平~』が大きく影響している。

 「出会って何カ月も経っていませんが、何年も一緒にいる感覚があり、周りからも『三つ子みたいだね』と言われています(笑)。そういう雰囲気が作れたのは『ドクターエッグス』のおかげ。そういう空気感は私にとって大切で、それがセリフだけでなく表情になって表れていると思います。改めて役柄の関係性を含めた役者同士の雰囲気作りは大切ということを学びました」

 2016年にオスカープロモーション主催『第1回ミス美しい20代コンテスト』で審査員特別賞を受賞。後に『CanCam』専属モデルに抜擢された。2018年にはテレビ朝日系ドラマ『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』で女優デビュー、初々しい芝居を見せた。その後も出演作を重ね、彼女ならではの独特の存在感を放つ。

 だが、撮影に臨む前の不安は今もある。クランクイン前は眠りにつけないこともしばしば。そんな彼女が習慣にしているのは、自身を客観視するため周囲の声を聞くこと、そして、生の声に触れるためのエゴサーチだ。

 「ダメな評価だったとしても、自分を変えるためのヒントになり勉強になります。逆に良い評価なら皆さんに伝えたいことが表現できていたんだと嬉しくなります」

 そうした声は、「女優・宮本茉由」に厚みをつける。

 今年7月期に放送された日本テレビ系『ボイスII 110緊急指令室』では緊急指令室の副室長・山城早紀を好演した。専門用語が多い上にセリフも長い。しかも事件現場ではない緊急指令室では、寄せられる“声”を頼りに現況を理解しなければならない。

 「大変な撮影でした。でも室長・橘ひかりを演じられた真木よう子さんはカラッとして元気、パワフルさもあって、その姿を見て私も頑張らないといけないと励まされました。真木さんもそうですが、出会う方から色々と学んでいて、そうした出会いの積み重ねで今の私が作られているのかなと思います」

 それは『ドクターX』も同じだ。主演の米倉涼子は、宮本のデビュー作『リーガルV』で主演を務めた。当時、「憧れの米倉さんと共演できて嬉しいです。ナチュラルな演技ができる女優さんになりたいです」と語っていたが、今も背中を追いかけている。

 「米倉さんはとても明るい方で、雰囲気作りもして下さっているんです。そうした雰囲気作りができる人間になりたいです」

 透き通る目の奥に溢れる好奇心。

 ここからは一問一答。

宮本茉由

緊張したデビュー作

――これまでの歩みをどう捉えていますか。

 人に恵まれていると思います。お仕事の現場や、スタッフの方、友達がすごく優しくて、素敵な方達に囲まれてここまで来られたのかなって思います。辛い事もありましたけど、それに勝るぐらい素敵な芸能生活です。

――デビュー作『リーガルV』は緊張しましたか。

 緊張しました。米倉さんが主演のドラマでしたが、小日向文世さんにワインをかけられるシーンと、かけられるシーンがあって、かけられるのは平気でしたが、かけるのはすごく緊張しました。監督からは「小日向さん着替えなきゃいけないから一回勝負だよ」って言われて、あの時は本当に緊張しました。かけるシーンの前に、米倉さんと向井理さんに相談する機会があって。その後お2人ともモニターでチェックしてくださっていて。私が1回でビシャっとかけられたときは「良かった」と言って下さっていたそうです。嬉しかったです。

――今は懐かしい思い出?

 そうですね(笑)。本番前、水を使ってスタッフの方を相手に練習させて頂いたんです。その方が何回も水をかけているのにずっと無表情で。普通はちょっと演技して下さったり、水をかけられるのでしかめたりすると思うんですけど全くの無表情。それがツボにはまって、小日向さんの時に笑っちゃったらどうしようって思うほど緊張がほぐれました。その方に感謝しています。

――普段お芝居をするにあたって、意識されている点はありますか。

 練習してきた通りにやらない事です。自分の中で相手はこうお芝居するだろうなと想像しながらセリフの言い方を作りますが、全然違う返しが来た時に、戸惑って言えなくなってはいけないので、どんな風に来ても柔軟に対応できるようにしないといけないと思っています。即興じゃないですけど、アドリブが多い方もいらっしゃるので、現場で臨機応変に対応できるように意識して毎回動いてます。

――役になり切っていないと返せないですもんね。なり切るためには色んな事をされているんですね。

 色んなドラマや映画を観たり、現場のリハやドライ(ドライリハーサル=カメラ無しでのリハ)とかでその俳優さんがどういう演技をされるのか、その方が出演されている作品を観るようにしています。

宮本茉由

芝居に活かされる「想像力」

――普段はどういう事に興味があるんですか。

 もしもの世界が大好きで、現実に起こりそうなことよりもサメに襲われたらとか。ゾンビの世界になったらどうやって大切な人を助けながら生き延びられるかなとか。そういうのを普段から考えるのが好きなんです。

――芝居では想像力も求められると聞きますので、良い趣向ですね。

 本を読んで、本の世界を絵にするのが好きで、そういうのは台本を読んでいるときに役に立っているのかなと思います。

――『ボイスII』は特にそういう事が求められたのではないかと。

 『ボイス』はもともと、『ボイスⅠ』も観ていましたので、現場でもある程度は想像できました。でも長セリフや専門用語が多くて大変でした。

学びが多い『ドクターX』

――それを経ての『ドクターX』です。

 スピンオフで『ドクターエッグス』をやらせて頂きました。ほぼ3人がメインで3人の掛け合いが中心でした。ただ私はそういうこと自体が初めてだったので、タイミングがちゃんと取れるか不安でした。でも、『ドクターエッグス』のおかげで、本編の『ドクターX』でも自然な演技が出来きましたし、テンポ感を掴めたのはお二人のおかげです。スタッフさんや米倉さんからも面白かったと言って頂けたのが嬉しくて、良い環境で撮影できました。

――演じる虻川リサはどんな人物ですか。

 今どきの女の子で、研修医になって医者を目指していますが、ちょっと違う面も持っていて、医者になるか、ならないか迷っている状態です。研修医になって大学病院に入ったら、大門未知子というすごい存在がいて、自分に自信があったのに、すごい人達に打ちのめされたことで、逆に医者になってみたいと思っている状態でもあります。

――役を掴めた瞬間は?

 『ドクターエッグス』の時に入り込めました。研修医という新しいキャラクターで、どういう人物かという『ドクターX』では描くことができないその背景を詳しく取り上げていただき、私自身もそこでリサという人物を理解し、掴むことができました。

――米倉さんとはいかがでしたか。

 すごく優しい方で、『リーガルV』ではあまりご一緒するシーンがなかったので、覚えて下さっていないだろうなと思いながら現場に入ったら、米倉さんから「久しぶり!」って声を掛けて下さって。フレンドリーで、スタッフさんや私たちのような若手にも変わらず優しくて、手術シーンなど大変なシーンの日には、必ずお菓子とかの差し入れをして下さるんです。そういう細かな気遣いもされて、親切で優しい。でも強くて、みんなを引っ張って下さる。要素がいっぱい入った方だなと思います。

――米倉さんから引き出されるものはありますか。

 セリフで「手術」が突然言えなくなっちゃったんです(笑)。最初は言えていたのに、何カットも撮っているうちに途中から言えなくなっちゃって。そういう時も、「何て言った?」とツッコんで笑いに変えて下さって。それによって緊張が解けて言えるようになりました。相手の事を考えて、ツッコんで下ったり、そういう雰囲気じゃない時には話しかけないとか、周囲を見て色々なことを考えて動いてらっしゃるんだなと思いました。

――現場は楽しいですか?

 すごく楽しいです! 現場の雰囲気がとても大切でズンと重たいだけの環境では良いシーンは作れないと思います。撮っていないところでも、みんなが楽しい気持ちでいれるように米倉さんが雰囲気を作って下さるので、楽しく撮影ができているなと思います。

――今回の作品の体験はご自身にとってどういうものになりますか。

 どの作品も勉強になっていますが、今回は現場の雰囲気作りがとても勉強になっています。その雰囲気は演じていて表情にも出て、セリフがないシーンでも影響してくると思うんです。そうしたことが自然と生まれるために雰囲気作りは大切なんだなということを学びました。

――では今後に活かされていく?

 活かしていきたいです。今回は仲が良い役でしたが、別の作品で敵対する役の方がいた場合はきっとその方とは必要以上に仲良くしない方がいいのかなと思ったり。出ているシーン以外でも自分の感情や気持ちを作ることは大切で、特に私は影響を受けやすいので、相手が仲良い女の子だと顔の表情が「好き」ってなっちゃいそうなので気を付けないといけないと思います(笑)。

――素直だから出てしまうんですね。それは良いことですね。

 ありがとうございます(笑)

宮本茉由

(おわり)

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