INTERVIEW

大西桃香×飯窪春菜×増井みお

なでしこ童話『オズの魔法使い』鼎談


記者:木村武雄

写真:

掲載:21年12月06日

読了時間:約10分

 大西桃香、飯窪春菜、増井みおが、フォトブック『なでしこ童話vol.2~オズの魔法使い~』に参加した。名作『オズの魔法使い』をもとに、脚本・演出家のなるせゆうせい氏が新たなストーリーを書き加えた絵本のようなフォトブック。大西はドロシー、飯窪春菜はブリキとヘンリーおじさん、増井みおは北のいい魔女とマンチキンを演じる。付属する朗読ボイスCDではそれぞれ声優にも挑戦。更に主題歌の歌唱にも参加した。AKB48チーム8奈良県代表/チーム4の大西、モーニング娘。OGの飯窪、元PASSPO☆の増井。「アイドル」が共通点でもある3人に制作秘話、そして、12月19日開催のオンライン朗読イベントへの意気込みを語ってもらった。【取材=木村武雄】

人見知りは変わらず

――卒業して約3年が経ちますが、だいぶ落ち着きましたか。

飯窪春菜 いい意味で心が楽になりました。グループに在籍していた頃は、比較されることもありましたし、もっと目立とうと張り切ってしまうところもあって。今はそのプレッシャーがないので、少し気持ちは楽です(笑)

――PASSPO☆は解散して約3年ですね。

増井みお 私たちの場合は解散なので旅立ちに近い感覚です。それまで7人が家族同然に過ごしていたので、ある日ぽつんと一人になったという喪失感があります。でもいまは一人で頑張らなきゃという気持ちです。

――2人とも人見知りだそうですが、相手が元アイドルとなると親近感は?

飯窪春菜 アイドルだからということに関係なく誰にでも人見知りはします…(笑)

増井みお 同じくです(笑)。やっぱり直らないですね。解散してからは孤独感もあって、どんどん人と話せなくなっているんです。なにかポンと抜けたような感覚で、人見知りが更に強くになりました(笑)。

――大西さんは、飯窪さんと増井さんの印象は?

大西桃香 この作品で飯窪さんとはフィッティングの時からずっと一緒でしたが、増井さんとは長時間一緒になる機会がなかったのでもっとお話ししたかったです。増井さんはお顔が綺麗な方という印象があって、飯窪さんは、私のチームで以前共演していた子がいてその子の話をしたり、撮影で丸一日一緒だった時にも優しく接して下さったのですごく優しい方だと思いました。

――飯窪さん、大西さんの印象は?

飯窪春菜 フィッティングでお会いした時に可愛い子が来たと思いました。それと、すごく食が細いですよ。撮影中もプロ意識というか、私は結構お弁当をガッツリ食べていたんですけど、桃香ちゃんは「私大丈夫です」って制限されていて。こんな長丁場でお腹空くのに食べないのが衝撃でした。

――普段から食べないんですか?

大西桃香 いや、ご飯いっぱい食べます(笑)

飯窪春菜 そうそう思い出した!「歯ブラシを忘れたから食べるのをやめておこう」って。写真撮影だけだから、他の人には息とか分からないし、いいんじゃないかなと思ったんですけど、徹底されているなって。私だったら食べちゃうなって思いました(笑)

――増井さん、大西さんの印象は?

増井みお パンフレットの写真を見て、三つ編みがすごくお似合いだなって思っていたいんです。でも実際はショートカットだったからびっくりして。顔がお綺麗だからどういう髪型をしても似合うなと。もうちょっとお話ができたら良かったのになって。

大西桃香

ブリキ、のりのりで

――さて、今回の企画を聞いた時の最初の印象と、役柄についてどう感じたのか教えて下さい。

大西桃香 「なるせさんの企画なんだ!」って思って。今年5月に上演予定だった『Zip&Candy』という舞台があったんですけど、それもなるせさんが脚本されていて、内容が面白くて楽しみにしていたんです。でもコロナ禍で中止になってしまって残念だなと思っていたら今回お話を頂いて。脚本がなるせさんと知って更に嬉しかったです。担当したドロシーについては、根暗やマイナス思考、潔癖症という自分と通じるところが多いなと思いました。

――増井さんはいかがですか。

増井みお 最初は「朗読ボイス」って何だろうと思ったんですけど、その内容を知ってこのご時世でおうち時間で楽しめるすごくいい企画だなって。私はほとんど舞台をやっていないんですけど『ぜひやりたいです!』と即答しました。私はナレーションと北の魔女、マンチキンを担当しました。北の魔女は、ドロシーに選択肢を与えて導き出すキャラクター。パッと現れて大事なことを言って直ぐにいなくなるという感じもありました。マンチキンは3人いるんですけど、それぞれ特長が違って3人分けて写真を撮るのも楽しかったです。ナレーションもそんなにやったことはなかったんですけど、俯瞰した立場で物語のお話ができたので、それも楽しかったです。

――飯窪さんはどうですか。

飯窪春菜 コロナ禍だからこその新しい試みだと思って「すぐにお受けします」と伝えました。でもその時はまだ自分の役柄は知らなくて。何を演じるのかも分からないままお受けしたんです。そうしたらフィッティング直前に自分がブリキとヘンリーおじさんだと知って「そうなんだ」と思っていたら、フィッティングでシルバーの全身タイツのような衣装を見てちょっと面白くなっちゃって(笑)。いい意味で楽しめるというか、お仕事だけど一種のお遊びみたいな感覚で楽しんでいました。

――ブリキに抵抗なかったですか。

飯窪春菜 正直言うと、抵抗ありましたよ(笑)

増井みお でも、すごい可愛かったですよ。私も初めはびっくりしたけど、愛らしくて好きですよ!

飯窪春菜 楽しいこと、面白い事は好きなので、ノリノリでやりました。

飯窪春菜

レコーディング秘話

――キャラクターに扮し写真を撮って、更に声を入れていくわけですが、役柄をどう捉えていましたか。

大西桃香 役を作り込むというよりも、自分をそのまま出した感じでした。始めは声優さんのようなお仕事をあまり経験したことがなかったので、どういうふうにしたらいいんだろうと不安もありましたが、台本が面白くて、これなら声を作るというよりも自分そのままの感情で大丈夫だと思いました。

――撮影はどうでしたか。

大西桃香 絵本のようなフォトブック自体が初めてでしたので、どういうポーズを撮った方が正解なのか分からなくて、現場でアドバイスを頂きながら撮っていった感じでした。

――普通のフォトブックと違って、物語に沿ってポーズを決めていく感じですよね。

大西桃香 そうです! ただ自分を決めて魅せるというよりかは、どれだけユニークに、ファンタジーに物語に沿った感じで表情やポーズを取るかが重要だったと思います。

――増井さんは?

増井みお 北の魔女は、「優しさが溢れる口調のいいお姉さんみたいな感じで」と言われ、私自身は苦手でしたが頑張りました! 撮影は北の魔女とマンチキンはソロショットで、誰とも絡みなく……北の魔女は仏様みたいな気持ちになってずっとほほ笑んでいました!

――ご自身との共通点は?

増井みお 人には優しくありたいというのは常日頃思っているので、優しくありたいという部分では共通しているかもしれないです。

――飯窪さんは?

飯窪春菜 レコーディングをする数日前にリモートで、なるせさんに演出を付けて頂く本読みがありました。そこで「こういうふうに言って欲しい」とか、「こういう感情だから」と明確にとおっしゃっていただけて、それを受けて稽古をしました。稽古もリモートだったんです。ヘンリーおじさんの声も担当しましたが、おじさんの声を出すのが難しくて! 自分が出来る一番低くしゃがれた声を出しました。

――どんな感じですか?

飯窪春菜 いま実演しないですよ(笑)。ぜひ買って下さい!

――ブリキの声は?

飯窪春菜 普段の声とあまり変わらないですけど、ちょっとサイコパス要素があるというか、ハートを手にするまでは無感情でやりました。

――それと主題歌「ムダ毛の処理を忘れる程に」の印象は?

大西桃香 歌のレコーディングは緊張しました。曲のタイトルは面白いんですけど、すごく素敵な歌なんです。一人一人のパートがあって、一人一人の思いがあって、最後の最後に面白いワードがあったりして、なるせさんワールドだなって思いました。

――飯窪さんは?

飯窪春菜 モーニング娘。を卒業してからレコーディングはほとんどやっていなくて久しぶりだったんですけど、モーニング娘。の歌とは違うというか、リズムを意識するというよりかは、キャラクターの気持ちや感情を大事にする感じでしたのでとても新鮮でした。

増井みお

大切なもの

――この作品のキャッチコピーが「大切なものはいつもそばに」ですが、ご自身の大切なものはなんですか。

増井みお マインドの部分も大事ですが、物で言うと、いま「BabooBee」というバンドでベース&ボーカルを担当しているんですけど、使っているベースが私の師匠から受け継いだものなんです。それが私の人生のなかで上位に入るくらい大事なもので、ずっと大切に弾いていきたいです。師匠にはずっと教わっていて、でも亡くなられて…それでご家族から頂きました。

――楽器はその人のクセが出ますが、何か残っていますか?

増井みお ベースの裏側がめちゃくちゃ剥げているんですけど、何年も使ってズボンのベルトにこすれて剥がれたようなんです。使っていないと出ないような傷がすごく付いていて、使っていた証というのが刻まれています。

――飯窪さんはいかがですか。

飯窪春菜 私は本当に周りの人に恵まれているという自信があって、友達もそうですし、良い人ばっかりなんです。誰に紹介してもみんな「いい人だね」と言ってくれる人ばかりなので、人に恵まれていると思います。

――類は友を呼ぶと言いますから。

飯窪春菜 でも私、結構毒吐きますし、思った事がすぐ顔に出ちゃうタイプですよ!(笑)

――裏を返せば、素直ということですね。

飯窪春菜 裏表はない方だと思います(笑)

――大西さんは。

大西桃香 本当に大切にしているものは家族になるんですけど、それ以外で言うと、最近大切にしている事があって、自分自身に余裕を持つことなんです。有難いことに舞台やAKB48のシングル(根も葉もRumor)選抜入りとか、色々なお仕事をさせて頂いて、毎日お稽古とかが続いて自分の時間が減ってきているんですけど、私は自分の時間がなくなると、わーってなっちゃうタイプで、どんどん下に沈んでいっちゃうことがよくあるんです。そうなると、楽しめる余裕がなくなってしまうので1回自分の中で深呼吸して頭を真っ白にしてから「よし大丈夫!」と余裕を持つようにすると、何でも楽しく出来たりします。全部のお仕事を大切に楽しくやっていきたいと思っているので、最近は余裕を持つ事を大切に毎日過ごしています。

――深呼吸でリセットされるものなんですね。

大西桃香 それだけじゃ足りないものもあるかもしれないけど「いま自分に余裕がない」と気付ける事が一番大事かなと思います。

――増井さん、マインドも大切と言っていましたが、具体的には何かありますか。

増井みお 人を羨ましがらないという事を大切にしています。何をやっても上手く行かない時に、同世代で輝いている人がいると、視界に入ってしまい羨んじゃうんです。でも、誰に対しても「その人はその人の魅力があるし、私には私の魅力があるから大丈夫」って思うようにしていて、私もネガティブになり下に下にいく事もたくさんあるので、「大丈夫」と自分に言い聞かせて、人を羨ましがらず、「私は私、頑張ってね」って自分に言って心を保つようにしています。

――自分のモノサシでということですね。飯窪さんは?

飯窪春菜 私もネガティブになってしまうんです。ただ私の場合は、一人の時間を減らすようにしています。一人になると考えなくてもいい事を色々と考えてしまうから。なので予定を詰め込んだりします。舞台など忙しいと何も考えなくていいですしね、その方が私は楽です。

シャッフル企画も

――12月には発売を記念したオンライン朗読イベントもあります。意気込みを。

大西桃香 そのイベントでキャスト全員にお会いできるのが楽しみですし、このご時世で、稽古してきたのに舞台が中止になり、世に出なかったものもあるなかで、絵本で楽しめるというのは新鮮です。たくさんの方に知って頂けるイベントになったらいいなと思います。

飯窪春菜 生で朗読があると聞いてすごく楽しみです。私はヘンリーおじさんの声を生でお届けするのがちょっと恥ずかしいんですけど…(笑)、羞恥心を捨てて楽しみたいなって思います。それとイベントで会った時には、(増井)みおちゃんに人見知りを発揮しないように、絡みたいと思っています(笑)

増井みお 私も!(笑)

――ブリキの格好では出ないんですか。

飯窪春菜 絶対出ないです(笑)。写真だからいいんですけど…(笑)、見栄えを美しくするために衣装が結構繊細なので用意するのが難しいと思います…(笑)。

増井みお 私も皆に会えるもの楽しみです。ただ私は早口で活舌も悪いんですけど、そこの部分は落ち着かせていいお姉さんとして、北の魔女とナレーションを頑張って、みなさんに心地よい朗読をお届けしたいなと思います。

――北の魔女を見せるためにこの期間仕上げていくんですね。

増井みお 毎日発声とかして頑張っていきたいなと思います。

スタッフ シャッフル朗読というのも企画していますので、誰がどの役に当たるのかも楽しみにしてほしいです。お客様の投票で誰が何の役かその場で決まるイベントをやります。もしかしたらみおちゃんがヘンリーおじさんをやるかもしれないですね!

増井みお えー! いまからヘンリーおじさんの声作らないと!

(おわり)

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