元ジュディマリTAKUYA、佐久間氏と目指した音楽とは
INTERVIEW

元ジュディマリTAKUYA、佐久間氏と目指した音楽とは


記者:編集部

撮影:[写真]TAKUYA、佐久間正英氏と目指した音楽とは

掲載:14年12月11日

読了時間:約18分

理解するのではなく、本能で感じる音楽

――今やっている音楽で大衆に訴えかけるものは?

TAKUYA 皆が求めているような、例えばジュディマリのような曲を聴きたいようであれば、既に別のアイドルのプロデュースでやってるし。やりたいのはダンスミュージックなのでメッセージ性はない。踊れるとか、来てくれたお客さんには何かしら不可解な“乗ろうとしても乗れないけど体は動いてしまうんだ”というのは感じてもらいたい。そこが大事。考えようとするからダメなんだよね。どうしても日本人は頭が良いせいか、理解しようとするから。もっと普通に楽しんで感じていれば勝手に乗れたりする。裏表が変わろうが、もっと動物的に踊れるというか。律儀な国民性だからすごい頭で考えて理解しよう理解しようとするんだけど、それをどんなに思っても理解ができないものを作ってみようと思う。

――それがバンドのコンセプトに

TAKUYA そうそう。そういうのをずっとやっていくと皆諦めてくるから。まあもうちょっと数年。今のところレパートリーが9曲ぐらいあるんですけど、それに昔の曲とかも混ぜてたりしてて、1時間ぐらいやらせたら僕ら相当えげつないことをすると思う。1時間超えるとどうしても割り算できる歌が発生してくるので、まあライブでは後半に行くまでは訳の分からない感じで、最後の方でボーナストラックじゃないけどやっと乗れるみたいに。メインディッシュのあとのデザートみたいな感じなのを。まあ、お楽しみ、って感じだよね。

――千明さんからすると皆さんは大先輩にあたるんですかね。そうしたなかでやっているプレッシャーとかは

かどしゅんたろう そんなプレッシャーに感じていないんじゃないの。

千明 いやそんなんでもないですよ。結構、家で練習していますし。

TAKUYA まあ恵まれた環境だよね。最初にバンドでレコーディングした時に、僕もベースは出来るし、佐久間さんも達人だし。3人とも千明ちゃんがダメだったときに弾くくらいの気持ちで現場行ったんですけど、よく考えたら左利きだから俺たちできないや、みたいな。できない時とは同じ音で一か所だけ僕が弾く事もあるんですけど、それも無理だなって2人で気が付いて。でも1曲目で真後ろに座っているのが僕と佐久間さんだから、それはすごいプレッシャーだろうなって。でもそこは女の子なんだろうかやってのけて、すごい度胸で大したもんだと。

千明 ダメだったら(2人が)やろうというのが分かっていたので、意地でも弾いてやるみたいな。

TAKUYA 今じゃどんどんうまくなって。最近、私立恵比寿女子中学の歌を僕が作ったんですけど、バンドの部分のドラムとベースは生で2人(カドと千明)が参加していて、このバンドで2年間ぐらい培ってきたグルーブを、しかも割り算できる普通の拍子の曲だから新鮮だねって。(笑い)

佐久間氏との師弟関係で生まれる感覚

――佐久間さんが晩年やろうと思っていたものはTAKUYAさんが今やっているものと重なる?

TAKUYA どうだろ。僕の印象では…。佐久間さんは年齢もあるのか分からないけど、音楽シーンからちょっと離れたいというか腐り気味だったので、僕らから見ると、なんか面白くないなっという佐久間さんの気持ちが伝わってきて。だったら佐久間さんが面白いというものを俺が作ってやろうみたいなって思って。

――今やっていることが佐久間さんにどう届くと思いますか

TAKUYA 届いていたら良いなというより、確実にいないけど参加しているんで。肩身のギター1本僕のところに来てるんですけど。ジュデュマリ時代によく僕が借りてたやつで。それを使ってレコーディングを夜中にやっていて。そのギターと僕がいると、佐久間さんの実態はないんですけど完全にいるわけ。すごいよね。本当にスターウォーズの世界みたいにヨーダとか死んでも出てくるじゃん。ああいう感じ。完全にいるわけ。これはすごい修行をした人の師弟関係のなかだけに起こり得ることだと思う。そこはルーカス深いなって思った。こんな体験を生でするとは思わなかったから。師匠クラスになると不死なんだなって。

若菜拓馬 先日、ある取材案件で佐久間さんの機材を借りに行ったんですが、検品するとコンディションが悪くなっていてビックリしました。

TAKUYA 楽器がボロボロだった。一瞬でね。楽器とか触れないとこんなにもダメになるものかって。僕のところに届いた時もなんだこのギターはって思った。こんなもんだったかなって。ケースを開けてすぐしまうみたいな感じだった。それがちょこちょこ触っているとだんだん息を吹き返してきて。不思議だけどね。

――今ではちゃんと音が鳴る?

TAKUYA この間ぐらいから甦ってきて。夜中に仕事が終わった後に、あの時は空気もヒンヤリして雨も降っていて、非常にロンドンぽかった日だったんだけど、その日は1人でウイスキーを入れて、あの頃よくやっていた、良いプレイをしたときにちょっとスタジオの後ろのソファで無駄話している感じの。それに近い感覚があった。

――見てる方も感じるものがあるかもしれないですね

TAKUYA そうだと言いですけどね。

若菜拓馬 逆に両方知っている僕らからしたら後ろ姿がTAKUYAさんと佐久間さんがそっくりな時があるんですよ。

12月25日のクリスマスライブに懸ける想い

――改めて12月25日のライブに懸ける想いを

TAKUYA なんかすごい上手になってきたんで楽しみなんですよ。やっていてニヤッとしちゃうんだよね。よくこんなのやれているなって。サーカスじゃないけど綱渡りのような事を4人揃ってやっているなって。(ライブでやる曲も)だんだん減ってきた。前はやっぱりそういうのがない分、数であの曲もこの曲も満足させようかなっていう悪い心があったけど、だんだんビシってなってきたから、曲数に頼らずとも良いところまできているから。

――ライブに向けて一言お願いします

かどしゅんたろう そうですね。間違わないことですね。それを目標に、まあやるんですけど、それをやりつつ、Fillとかドラム的なおかずとかもその場で盛り上がった分なりにやりたいなって思っています。生っぽさも感じてもらえたら嬉しい。

若菜拓馬 僕も難しい演奏ですけど、楽しくやれたらいいなって。お客さんが見てて曲芸みたいなものを見るのも意外と面白んだよ、という所を分かってもらいたい。あとは曲順を間違わないことですかね。(笑い)

千明 体力勝負なので。

若菜拓馬 一番若いのに?

千明 手がつらないようにとか。難しい曲も最初にライブでやっていた時よりもお客さんも楽しめるようになってきている、変わってきているので、それをもっとグルーブを挙げて楽しませていきたい、それが楽しみですね。

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