INTERVIEW

大盛真歩

「ありのままに」等身大のアイドル像
『未成仏百物語』インタビュー連載


記者:鴇田 崇

写真:鴇田 崇

掲載:21年09月12日

読了時間:約7分

<『未成仏百物語』インタビュー連載>大盛真歩

 AKB48から選出された8名のメンバーが、巷に溢れている不可解な出来事やミステリアスな世界、心霊現象などを成仏させるという、かつて類を見ない怪談エンターテイメント映画『未成仏百物語~AKB48 異界への灯火寺~』に出演した。8名それぞれが怪談エピソードを座談会で語り合い、その後供養するドキュメント形式で、メンバー全員が紹介するエピソードのうち、小栗有以、倉野尾成美、込山榛香、武藤十夢はドラマパートとなり、坂口渚沙、鈴木優香は事故物件サイトの運営でおなみの大島てる氏との事故物件現場による対談。行天優莉奈は都内某所による心霊スポットへの体験ツアーへ向かい、大盛真歩は“怪談語り”と様々なアプローチで怪談話を披露する。今回、MusicVoiceでは8人全員のインタビューを連載。アイドルとしての笑顔を封印して映画に身を投じた彼女たちは、出演を経て何を想い、何を感じたのか。話を聞いた。【取材・撮影=鴇田崇】

「語り」の裏側

――「語り」の担当で、大変そうでしたね。

 とても大変でした(笑)。当初、原稿用紙の内容を7分間で話すということだったのですが、試してみたところ倍の時間がかかってしまったので、慌ててしまいました。覚えていないところがあると緊張してしまい、思い出そうとするとつまずいてもしまうので、自分なりに要点をアレンジすることで乗り切りました!

――稲川淳二さんの怪談のようでした。

 そうなんですよ!なかなかこういう機会もないので貴重な体験だと思い、自分の出来る限りの努力で精一杯やらせていただきました。でも真似してできるものでもないので、自分が語る物語の世界観を想像しながら話しましたね。普段の話し方とも違いますし、声のトーンも自然と低い感じにして、怖い感じを出しました。「いい声してるね!」と言われたのでうれしかったです。

――お寺にも行かれていましたが、怖い体験などは?

 わたしは怖い体験みたいなものはなかったですね。お寺では、みんなの話を聞いていただけなのですが、それは怖かったです(笑)。

大盛真歩

推しこみはる

――メンバーの活躍する姿を観ていかがでしたか?

 込山榛香さんが素敵でした(笑)! わたしはもともと自分がアイドルになる前の推しメンがこみさんだったのですが、なかなかこみさんが演技している姿を、ファンとして観たことがなかったんですよ。AKB48のドキュメンタリー映画を観て以来の大ファンで、握手会も何度も行っていて、だからこうしてお仕事をさせていただけることがありがたい状況なんですよね。

――今ではこうして同じ映画に出ているわけですよね。

 だからこそこみさんのお芝居が観られてうれしかったです! 心臓が飛び出るくらいの怖いシーンのこみさんのドキドキした表情や読み取れる感情に、わたしもドキドキして。それが印象に残っていますね。

――普段はインスタ女王としてキラキラしていますが、それを封印していますしね。

 そうなんです! なかなか観られないこみさんだったので、初めてみせるような姿が新鮮でした。ファンとしてもうれしかったですし、メンバーとしてもさすがこみさんだなと、こういうメンバーに自分もなりたいと尊敬しましたね。代表してわたしが言いますが、こみさんのファンは驚くと思うので、映画絶対観てほしいです(笑)。

大盛真歩

上を目指したい

――それにしてもあこがれの人がいるグループに入り、一緒の映画に出るとはすごいですよね。

 夢が叶っちゃったみたいな感じです!

――叶った今はどういう感じなのですか?

 自分がアイドルになってみたら、もっと上を目指したい、選抜に入りたいなど、アイドルとしての自覚が生まれたと思います。今まではただアイドルが好き、かわいい衣装が好き、それだけの薄い感じであこがれの部分が強かったので最初は深く考えずにやっていたのですが、それ以上に上を目指したい気持ちが芽生えてきたのでアイドルとして頑張りたいと思うようになりました。

――実際になってみて気づいたアイドルの素質は何だと思いますか?

 アイドルの定義って難しくて、みんな人それぞれ求めるものがあると思うんです。わたしもAKB48に入る前は、かわいいものとして幻想を抱くところがありました。いざ自分がアイドルになってみたら、やっぱりアイドルも人間だなって思うんです。

 嫌なことは嫌だし、アイドルなのでいろいろあるじゃないですか。叩かれてしまうとか、普通に生きている人よりも多いと思うんです。アイドルでも傷つくことは傷つくし、それは身をもって実感したし、だからこそわたしは幻想的なアイドルよりかは、人間に近いアイドルだよと言っていて。

――人間に近いアイドルって面白いですね。

 みんなと同じようにいっぱい食べるし、ファンの方と友だちのようにしゃべるよっていう意味の(笑)。いろいろなアイドルがいていいのかなと思うようになりました。

――その人間味は、自分らしさに通じますね。

 そうですね。わたしは我慢をしないようにしているというか、それは時には大事ですが、何もかも抑えつけてアイドルという概念に囚われて自分が好きなことを発信できなかったかりとか、自分がやりたいことができないまま活動することは苦しい。嫌になってしまうと思うんです。続かないと思うので、アイドルを楽しく続けたいから、ありのままの素の自分で常にいるようにしています。

大盛真歩

オタク気質

――ちなみに今の夢は?

 まずは選抜に入りたい、歌番組にいっぱい出たいです。選抜しか出られないので。アイドル以外では、アニメの声優さんをやってみたいですね。生まれつき何かに熱中したいタイプみたいで、今でもアイドルやかわいいものが大好きで、好きになったらとことん!というところがあるので、オタク気質みたいなところはあります。

――普段アイドルとして元気や感動を届ける側かと思いますが、反対に自分が元気をもらうものはありますか?

今だったらアニメを観る、ですね(笑)。もともとファンですが、ここまで好きになったのは最近で、本当にアニメから学ぶことはめちゃくちゃ多いなと思っています。「スラムダンク」もよく観ていたんですよ。スポーツとしての学びの中に人生の学びになる言葉、セリフが心に刺さることってあるじゃないですか。

――“あきらめたらそこで試合終了”みたいな?

 そうです! そういう言葉は試合を飛び出して人生にも言えることなので、そういうアニメの名セリフを定期的に聞いたりして、自分も頑張らなければと思うんです。主人公がここまで頑張っているわけだから、わたしにもできるはず、と。自分に力を与えてくれる存在だなと思ってアニメを観ています。

大盛真歩

ザ・少年

――最近のヒットは何でしたか?

 今だったら『鬼滅の刃』煉獄さんの「心を燃やせ、胸を張って生きろ」ですかね(笑)。あのシーンのセリフは一通り好きなんですけど、自分の心に毎日入れていて、どんなに辛くても胸を張って、心を燃やして行きたいなと思っています、映画は3回観て、DVDも買いました(笑)。

――余談ですけど、この秋にはUSJで無限列車の牛鍋も出る予定ですよね。

 そうなんです!すごく行きたいです!「うまい!うまい!」って真似しちゃいますよね(笑)!

――大盛さんは熱い方なんですね。

 見た目だけだとふわふわしていると思われがちで、しゃべりもヘンなことを言ってしまうので、天然だと思われているかも知れません。でも意外と中学のバスケ部の影響が大きくて、走った分だけ強くなれる教訓を元にやってきたのでザ・少年なんですよ。熱い心で育てられてきたので、サバサバしているかも知れないですね。

――アイドルとして、人間として、今の課題は何でしょう?

 自分の中では感謝を持って、いろいろなことに取り組みたいなと思っています、当たり前のことはこの状況下では一個もないと思わされることがたくさんあり、握手会やコール、今まで当たり前のようにしていたけれど、それができないんですよね。もどかしい気持ちもあるのですが、「ありがとう」とひとつひとつのことに感謝しながら生きていきたいなと、日々思いますね。

――最後になりますが、映画を待っているみなさんへメッセージをお願いいたします。

 「語り」は初めての経験で、わたしのファンの方はわたしがしゃべれないことは知っていると思うので、すごく不安に思っているはずなんです(笑)。そういうことができないキャラなので、とりあえず親心で温かく見守ってもらえればと思いますね。ぜひ観てください!

(おわり)

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鴇田 崇

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