INTERVIEW

吉川愛

ずっと一緒の演技と思われたくない。
声優初挑戦『ラーヤと龍の王国』


記者:鴇田 崇

写真:

掲載:21年03月05日

読了時間:約7分

 女優の吉川愛が、ディズニー・アニメーション最新作『ラーヤと龍の王国』で、ラーヤ役の日本版キャストとして主人公の声の演技に挑戦した。吉川にとっては声優初挑戦で大好きなディズニー作品への参加ということで、「うれしい気持ちでいっぱいです」と喜びを語ると同時に、「声だけで表現という作業はすごく難しかったです」と収録を述懐する。

 人を信じられず自分だけを信じて生きてきたラーヤが、人を信じすぎるほどに信じる“最後の龍”シスーとの旅、新しい仲間との出会いによって、世界を救う唯一の方法は、龍の魔法ではなく、別の方法であることに気付いていく物語。<世界を救う唯一の魔法>には、「自分自身も深く感動した」という吉川に、声優の仕事、ディズニー作品の魅力など、さまざまな話を聞いた。【取材=鴇田崇】

ラーヤと龍の王国

声だけで表現することの難しさ

――今回は念願のディズニーファミリーの仲間入りということで、心境はいかがですか?

 ディズニーの仲間に声優として加わるということで、うれしい気持ちでいっぱいです。自分がまさかディズニー作品に出られるとは思っていなかったので、ディズニーの作品に出るということを夢にすらしないくらい、現実味のない別次元のお話だと思っていました。なのでわたしにとってはうれしすぎて、ただただ感動しています。

――声だけで主人公を表現する作業は、いかがでしたか?

 今までは映画やドラマなどで自分の表現や行動で自分の感情などを伝えることができたのですが、声だけで表現という作業はすごく難しかったです。普段慣れている表情などで表現するお芝居が上手くできているかは分からないですけど(笑)、実際に自分で声だけで演じてみたら、声優さんてすごいなって思いました。自分の声を聞いて、変な感じもしましたね。

――ラーヤの声は、どういう感じで表現しましたか?

 声のトーンを低めにしてカッコよさを出したり、守護者らしさを出したり、そういう工夫をしました。セリフ自体も女の子らしい口調ではなく、どちらかというと男勝りな口調で、「〇〇なのよ」ではなく、「〇〇だから」みたいな感じが多くて、カッコよさだったり、芯の強さは表現出来たらいいなという話はしていました。

――アドバイスはありましたか?

 演出してくださる方がいらっしゃいました。オーディションの時も、まったくわからない未経験の状態で行ったので、助けていただきました。タイムコードの数字を見ながら英語版の声優さんによるラーヤの声を聞いて、画を見て台本を読み、けっこう大変でしたが、こういう風にやるのかと新鮮でもありました。発声練習の仕方も教えてもらい、それは受かった後に毎日のように家で練習しました。

吉川愛

吉川愛

ラーヤとの共通点

――ラーヤの性格については、自分に近いところはありましたか?

 わたし自身、初めてお会いする方に対して慎重になりすぎてしまうところがあり、そこはラーヤと似ているなと思いました。ラーヤのように信じた相手に裏切られてしまったというような経験はないのですが、大人になるにつれて慎重な感じが出てきたかなと思うことはありますね。そこは初めて台本を読んだ時も、彼女を演じている時も似ているなと思ったので、共感できました。

――観る人に注目してほしいポイントは?

 伝説の最後の龍シスーと出会って、ラーヤがどんどん変わっていくんです。彼女が成長をしていく姿を観られるところが何シーンかあり、そこが見どころです。シスーに言われたからラーヤも挑戦してみようと決意したり、そういうところが面白いポイントのひとつなのかなって思います。

――彼女の成長に合わせて声のトーンも変えたのですか?

 変えました。最初はわかりやすく言うと無の状態です。誰も信じていないし、何も信じないみたいな声色から、シスーと出会って、ちょっとずつ心を開いていくので、そういう変化もちょっと出せたらいいなと思って演じました。後半では笑うシーンも多くなったり、変化があります。それが声でも伝わるように努力はしました。

ラーヤと龍の王国

――ところで、ディズニーがお好きとのことですが、映画やパーク、ゲームなどいろいろあるなかで、どのジャンルがお好きなのですか?

 映画もパークも大好きです!オールディズニーで好きですね。小さい頃からディズニーチャンネルを観て育って、パークには1年で15回ほど行ったこともあります。リフレッシュできる場所で、別の世界に入った気持ちになれる場所。とても癒される場所ですよね。

――最初に観たディズニー作品は何でしたか?

 うろ覚えなのですが、たぶん『リトル・マーメイド』なのかなと思います。ずっとアリエルが好きだったので、『リトル・マーメイド』なんじゃないかなって(笑)。主人公が人魚であること、彼女の優しさ、人間になりたい想い、かわいさ、強さ、いろいろな要素に惹かれました。

――配信中の『ワンダヴィジョン』が話題ですが、ディズニープラスは観ますか?

 観ます!でも先日観たのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』です(笑)。「フィニアスとファーブ」が好きで、よく観ていますね。ほかにもいろいろ観ています。実写よりもアニメーションを観る機会のほうが多いかもしれません。実写の『ダンボ』は泣けてきそうなので、まだ観ていないんです。思い切り泣きたい時に観ます。

吉川愛

吉川愛

女優として意識していること

――さて、女優として日々大切にしていることは何でしょうか?

 初めての役を演じる時は、役のことを理解して、前と似た役ももちろんあるのですが、同じようにならないように気をつけようと思っていつも演じています。前も同じような役、ずっと一緒の演技と思われたくなくて、毎回毎回違うように演じていますね。

 あとは自分に自信を持てるような姿や、性格でいられるようにすることは大事だなって思っています。自信があると人前に出ても恥ずかしくないというか、あこがれてほしいという想いもあるので、そういう女優さんになりたいです。

――今回、あこがれのディズニー作品ということで大きな夢が叶いました。今の新たな夢は何でしょうか?

 今はまだ思いつかないですね。こういう役をやりたいとう希望も特にはなくて、新しいことに日々チャレンジできたらいいなと思います。そうなれば毎日楽しいだろうなって思います。

――課題はありますか?

 演技力?(笑)。それはこの仕事では必ず必要なもので、ずっと同じレベルでもダメかなと思うんです。作品をとおして仕事をしていくうちに、どんどん段階を超えて成長出来たらいいなと思っています。

――最後に『ラーヤと龍の王国』を待っているファンにメッセージをお願いいたします!

 この作品自体は信じあうことの大切さを教えてくれる作品で、わたし自身も慎重になってしまうという話をしたと思いますが、似たような方にもぜひ観てほしいですし、自分が信じると相手も信じてくれるということを教えてくれる作品なので、ハッとする瞬間が何度もあると思います。ぜひ観ていただけたらうれしいなと思っています。

吉川愛

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ヘアメイク:Kengo Kubota
スタイリスト:Akiyoshi Morita

3月5日(金)映画館andディズニープラス プレミア アクセス同時公開※プレミア アクセスは追加支払いが必要です。

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