INTERVIEW

城 桧吏

北川景子の目に役作りのヒント
『約束のネバーランド』レイ役


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:20年12月18日

読了時間:約4分

 城桧吏(じょう・かいり=14)が18日公開の映画『約束のネバーランド』に出演する。『万引き家族』(18年)などで圧倒的な存在感を示した彼が本作で挑むのはクールで現実主義のレイ。「自分にはないものだった」という役どころで、模索するなかでヒントになったのは北川景子の「目」だった。【取材・撮影=木村武雄】

北川景子との芝居で見出したもの

 先日行われた映画のオンラインイベントで、アニメ版レイの声を演じる伊瀬茉莉也は城桧吏にこう期待感を示した。「レイはクールで内に秘めている男の子。それをキラキラした目でどう演じるのか楽しみでした。拝見したらレイそのもので嬉しかった」

 周囲を明るくさせる雰囲気がある。彼自身も「もともと明るい性格なんですよ! 学校などでも周りから『うるさい!』って言われることもあるので」と笑う。しかしスクリーンの向こうの彼はまた異なる。第71回カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した『万引き家族』(18年)、そして、NHK大河ドラマ『西郷どん』(同)。いずれも感情を多くは出さない役どころだった。本作のレイも感情を激しく出すタイプではない。しかし、彼にとっては挑戦だった。

 もともと原作が好きだった。お気に入りは今回演じたレイ。「本当に嬉しくてびっくりしました」と目を輝かせるも「嬉しいけど、感情をどう表現するのかが難しいと思いました」。レイは、孤児のなかでエマ(浜辺美波)、ノーマン(板垣李光人)とハイスコアの成績を有する優等生。なかでもレイはクールで現実主義者。

 監督からは「もう少しクールに! もっと自信を持て! 冷静でいながらも堂々としろ! 相手の話にかぶさるように行け! もっと見下せ! 抑揚をつけろ!」と叱責された。「戸惑いもありました」。“クールさ”は一緒でも過去に演じてきた役柄とは明らかに違った。

 そのなかで、見出したのが「目」で表現することだった。

 「撮影期間中、家のお母さんにも目がキツいと言われて驚きました」。クールな顔を作り上げるために鏡の前で様々な表情を練習した。母にそう言われたとき「それほど役にのめり込んでいると思い、役作りは間違っていない」と確信した。

城 桧吏

城 桧吏

 レイを表現するために「目」を意識する。ヒントになったのは、孤児院のシスターでママと慕われるイザベラを演じた北川景子と対峙するシーンだった。

 「北川さんが現場に入られた時は一瞬にして空気感が変わりました。緊張もありましたが、背中をさすって『大丈夫』と言ってくれて。まさにママでした。普段は優しいイザベラですが怖さを見せるときがあります。その北川さんが演じたイザベラの雰囲気はレイにも通じるのではないかと。2人のシーンの時に北川さんの目が本当にきつくて。表情は変わらないのに、目から怖さが滲み出ていて、それをレイにも活かそうと思いました」

 「目」で表現する。過去の作品でも目で何かを語る、という雰囲気はあった。無意識のうちに表現出来ていたことを、本作では模索し、そのなかでヒントを得て、意識的に表現した。それこそが成長の証と言える。

城 桧吏

共演者から学び、強くした思い

 一方、浜辺美波の存在も大きかった。

 「年上で大人の女性なので最初は緊張しました。でも気さくに声をかけて下さってしゃべりやすかったです。お姉ちゃんみたいでした。僕は、朝ご飯はあまり食べないんですけど、お菓子をくれたり、成長期だから食事は大丈夫かと心配してくれて。浜辺さんが僕らをまとめてくれて、大きな存在でした」

 そして、クローネを演じた渡辺直美からも学びがあった。「面白くて笑いを堪えるのが大変でした。でも、更にその上その上を行って。渡辺さんがいるだけでスタッフも周囲が明るくなって凄いなと思いました」

 浜辺美波、北川景子、渡辺直美のように過去の作品の共演者からも多くを吸収している。「リリーさんは面白くて親しみやすかったです。皆さん、ゆっくり動いても不自然ではなくて雰囲気にぴったりはまって、僕もそう演じられるようになりたい」

城 桧吏

 そうした先輩たちの背中を見て強くした思いがある。

 「引っ張っていけるような人になりたい」

 来年には自身初の主演映画『都会のトム&ソーヤ』が公開される。どのような姿を見せてくれるのか。

 作品毎に現れる“壁”を乗り越え、成長し続ける。

城 桧吏

(おわり)

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